東北自動車道 竜ヶ森トンネル補強工事にワンバインドクロス®を初適用

トンネル覆工補強工事の工程削減を実現

株式会社大林組

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:佐藤俊美)は、東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:大矢光雄)、コニシ株式会社(本社:大阪市中央区、社長:松端博文)、株式会社ケミカル工事(本社:神戸市東灘区、社長:國川正勝)と共同で、シート繊維が2方向の炭素繊維シート接着工法「ワンバインドクロス」を開発し、現在施工中の東北自動車道 竜ヶ森トンネル補強工事(岩手県八幡平市)に初適用しました。

1.開発の背景

トンネルや道路橋といった高度経済成長期以降に整備された国内の社会インフラは、現在老朽化が社会問題となっています。トンネルについては2040年には約半数が建設から50年を経過することから、補強工事などのリニューアルが急務です。

トンネル覆工補強工事では、覆工コンクリートの表面に炭素繊維シートをエポキシ樹脂で貼り付けて補強する炭素繊維シート接着工法が採用されています。本工法は、目付量(※1)200g/m2の1方向に対して補強効果のあるシートを縦・横方向に交差させ2層に貼り付けるため、1層ごとに樹脂を塗布し、シートを貼り付けていく作業が必要です。そのため工程数が多く、樹脂の硬化養生も必要なため、交通規制期間の長期化が課題となっていました。

そこで、交通規制期間短縮を目的に、作業効率向上を実現させた、炭素繊維シート接着工法を開発しました。

竜ヶ森トンネル補強工事でのワンバインドクロスの施工状況

2.ワンバインドクロスの特長

(1)2方向に対して補強効果のある炭素繊維シートで高強度な品質を確保

ワンバインドクロスは、特殊な製法により縦・横2方向に織り込まれた炭素繊維シートを使用します。トンネル覆工補強工事で使用される従来のシートは、1方向に引きそろえられ200g/m2の目付量ですが、ワンバインドクロスで使用されるシートは、2方向それぞれに200g/m2の目付量で、1層で従来の2層貼り付けと同等の補強効果を確保しています。また、繊維交点に含浸孔を設けることで、シートを覆工コンクリート表面に接着させるエポキシ樹脂の含浸性を確保しています。

(2)施工効率の向上

ワンバインドクロスにより、トンネル覆工補強工事におけるシートの貼り付け作業は従来の2層貼り付けから1層に半減し、従来工法の11工程から8工程に短縮されます。さらにシートの幅を従来の500mmから1,000mmに大判化したことで作業回数が削減し、炭素繊維シート接着工作業工程の約20%の削減効果が期待できます。

ワンバインドクロスで使用する炭素繊維シートの特長

従来工法とワンバインドクロスの工程比較

3.東北自動車道 竜ヶ森トンネル補強工事での効果

東北自動車道 竜ヶ森トンネルは1982年に供用開始され、覆工コンクリートおよび監視員通路に経年劣化による損傷・劣化が生じています。そのため本工事では覆工コンクリートのひび割れ補修、劣化・損傷部分の断面修復、背面の空洞への注入を行い、コンクリート前面に炭素繊維シートを貼り付けて覆工コンクリートの補強を行います。

大林組は、本工事でワンバインドクロスを初適用し、さらにトラック積載型システム足場「フラップリフト®(※2)」を導入することで高い施工性を確保しています。これによりシートの貼り付け作業では、高所作業車で1方向の炭素繊維シートを貼る従来の作業方式と比較して、施工効率が約2倍に向上しています。

フラップリフト上でのワンバインドクロスの施工状況(動画再生時間:30秒)

4.今後の展望

今後、ワンバインドクロスのさらなる高強度化を図り、トンネルに加え、橋梁下部工の耐震補強や橋梁の桁補強、建築構造物の耐震補強など、適用範囲の拡大を目指します。

大林組は、ワンバインドクロスを積極的に提案し、迅速なリニューアル工事でインフラの長寿命化に貢献します。

※1 目付量
   布などの単位面積当たりの重量

※2 トンネル覆工コンクリート補修・補強工事用システム足場「フラップリフト™」を開発(2021.10.04付)

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ビジネスカテゴリ
建設・土木その他
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会社概要

株式会社大林組

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URL
https://www.obayashi.co.jp/
業種
建設業
本社所在地
東京都港区港南2-15-2 品川インターシティB棟
電話番号
-
代表者名
佐藤 俊美
上場
東証プライム
資本金
577億5200万円
設立
1936年12月