シリコンスタジオ、NVIDIA Omniverseを活用した3Dデジタルツインによる実寸大の仮想空間を開発
人協調型ロボット開発のためのシミュレーション環境を筑波大学に提供
エンターテインメント業界を中心に、自動車、映像、建築など、さまざまな業界向けにデジタルコンテンツ関連ビジネスを展開するシリコンスタジオ株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:梶谷 眞一郎、東証グロース:証券コード3907、以下「当社」)は、国立大学法人 筑波大学(以下「筑波大学」)が実施する人協調型ロボット開発の研究プロジェクトで用いるシミュレーション環境として、NVIDIA Omniverse(オムニバース、以下「Omniverse」)を活用した3Dデジタルツインによる実寸大の仮想空間を開発・提供したことをお知らせします。

当社が開発した仮想空間は、現実空間に存在するロボットや居室などに取り付けられた各種センサーデータのほか、ロボットの動作のモーションキャプチャーデータなどをシミュレーター上の3Dモデルに反映させることにより、事前のシミュレーションを可能にするものです。筑波大学の研究プロジェクトにおいて、開発した人協調型ロボット(※1)の動作試験を行うために利用されています。
筑波大学が実施した研究の詳細については下記をご参照ください。
原著論文:Development of human collaborative robot to perform daily tasks based on multimodal vital information with cybernics space., A. Uehara, H. Kawamoto, and Y. Sankai, Frontiers in Robotics and AI, (Sec. Biomedical Robotics, Volume 12 - 2025, DOI 10.3389/frobt.2025.1462243)
筑波大学プレスリリース:「サイバニクス空間で日常生活を支援する人協調型ロボットを開発」(2025.03.19)
URL https://www.tsukuba.ac.jp/journal/technology-materials/20250319140000.html
当社は、クラウド上のデータにアクセスしてOmniverse(※2)に取り込むため、独自のExtension(機能を拡張するためのプラグイン)もPythonスクリプトで開発、実装しました。また、仮想空間で発生したロボットとほかのオブジェクトとの衝突結果をROS(※3)連携でOmniverse外に通知する仕組みも構築しています。
仮想空間には、筑波大学の研究棟建屋のほか、歩道や障害者駐車スペースと車道を含む周辺、センター内部のエントランスやエレベーター、いくつかの居室、廊下などが含まれます。
3Dモデルは、高精度なレーザースキャナーによる点群データ(※4)と一眼レフカメラによるフォトグラメトリ(※5)をベースに制作しました。当社テクニカルアーティスト(TA)が、現場の写真を参照しながら形状が正しくない箇所の修正、樹木に隠れた外壁などの測定されていない箇所の補足、ガラスの透過率の調整などの作業を施しています。照明やエアコン、家具、家電製品など、一部の3Dモデルは既成のデータを活用して組み合わせ、仕上げました。また、制作した3DモデルはOmniverse上に配置し、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)に表示することで、ドアの開閉やエレベーターのボタン操作をすることもできるようにしています。
なお、このたびの仮想空間の開発・提供について、筑波大学の上原助教より以下のコメントをいただいております。
本内容はサイバニクス空間のプラットフォームの基盤の一部として発展しうる可能性を秘めているものと考えています。今後は研究成果の社会実装に向けて研究開発をさらに推進していきます。
筑波大学 システム情報系 助教 上原 皓
建物モデル(サイバニクス研究センター)制作過程



シミュレーション環境としての仮想空間

(筑波大学 システム情報系 上原皓助教より提供)
※1 人協調型ロボット:人とサイバー・フィジカル空間を融合する「HCPS(Human -Cyber-Physical-Space、融合人協調ロボティクス)」の取り組みを基盤とした、人とテクノロジーが共生・協調して相互に支え合う社会の実現に資するロボット
※2 NVIDIA Omniverse:NVIDIA社が提供する3D設計コラボレーションおよびデジタルツインシミュレーションの開発プラットフォーム
※3 ROS:ロボットアプリケーションを開発するためのオープンソースのフレームワークとツールセット
※4 点群データ:3Dレーザースキャナーなどで計測することにより得られる、無数の点の集合体として取得された座標情報(XYZ)と色情報(RGB)を持つ物体表面の形状情報
※5 フォトグラメトリ:対象物をさまざまな角度から撮影した複数の写真から3Dモデルを作成する技術
■ シリコンスタジオ株式会社について
当社は、ゲームや映像制作スタジオ向けに加え、自動車、映像、建築など、さまざまな業界向けに3DCG技術等を提供する開発推進・支援事業と、クリエイター職の派遣・紹介に特化した人材事業の2つの事業を展開しております。企画、技術、人材、運営など、ゲーム企業が抱えるすべての課題をワンストップで解決できること、および、ゲーム業界で培った3DCG技術等を他業種にも展開できることが強みです。ポストエフェクトミドルウェア『YEBIS』、リアルタイムレンダリングエンジン『Mizuchi』、リアルタイムグローバルイルミネーション『Enlighten』といった、高度な技術をゲーム制作現場に提供するシリコンスタジオのミドルウェアは、これまでワールドワイドで数多くのAAAタイトルに採用されてきました。また、Unreal EngineやUnityなどのゲームエンジンを活用した非エンターテインメント領域における案件に対し、コンサルティングから企画、設計、開発、運用まで、ワンストップで対応できるスキルと体制を有しています。
https://www.siliconstudio.co.jp/
※ NVIDIAおよびNVIDIA Omniverse は米国およびその他の国におけるNVIDIA Corporationの商標または登録商標です。
※ その他、記載されている名称は各社の商標または登録商標です。
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