「夏場の農園におけるWBGT観測調査」を実施 日中は作業を中断、ウェアラブルデバイスを活用 農業従事者の熱中症対策

「熱中症ゼロへ」プロジェクト

 一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:渡邊 一洋、以下「日本気象協会」)が推進する「熱中症ゼロへ」プロジェクト(以下、本プロジェクト)は、全国農協青年組織協議会(本社:東京都千代田区、会長:星 敬介、以下「JA全青協」)の協力のもと、農園でのWBGT観測と、農業従事者の方へ「夏の暑さを考慮した働き方」に関するインタビューを行いました。詳細は、本プロジェクト公式サイト 熱ゼロ研究レポート(https://www.netsuzero.jp/netsu-lab/lab16)で2026年5月15日(金)に公開します。

■調査サマリー

① 観測日(塩久園:2025年8月20日 荒井農園:2025年8月22日)暑さのピークは12:00~14:0

  0、日最高WBGTは両農園とも35.7℃を記録した。

  農作業はこの時間帯を避けて早朝に行い、複数人の作業によって時間を短縮するなど、暑さを避け

  る工夫を取り入れていた。

② インタビュー先の農園では、天候や体調に応じて作業や休憩の計画を立てているほか、ファン付き

  ウェアやウェアラブルデバイスなどの暑さ対策グッズも活用し、複合的な熱中症対策を実施してい

  た。

③ 1人作業や離れた場所での作業時でも、定期的に連絡を取り合い、互いの体調を見守る体制づくり

  が重要。

 本プロジェクトでは、2025年8月にJA全青協の協力のもと、若手青年農業従事者90人(20代~50代)を対象にした「農作業と熱中症に関する実態調査(https://www.netsuzero.jp/netsu-lab/lab14)」を行いました。夏の暑さによる働き方の変化について聞いたところ、回答者の90%以上が「作業環境や働き方、作業時期に影響があった」と回答し、休憩頻度を増やす、作業時間を調整するなど、暑さを避けるための工夫も明らかとなりました。一方で、熱中症に注意が必要なシーンについては、環境・内容・体制によって異なることや、対策の程度は個人の経験則に依る部分も多く、より現場の実態に根差した啓発が求められる結果ともなりました。

 この調査結果をより具体的な予防・対策に役立てるため、真夏の露地・ハウス栽培におけるWBGTの観測と、働き方の異なる2つの農園の方へインタビューを行いました。結果を通じて、農業に従事される方や趣味で家庭菜園や園芸を楽しむ方に向けて、暑い時期の農作業の注意ポイントや実践的な対策についてお伝えします。

1.   WBGT観測調査 調査概要

・塩久園 塩野雅之さん(JA埼玉県青年部協議会 委員長)

 【日時】2025年8月20日(水) 7:00~16:00頃

 【場所】埼玉県三芳町

 【天候】晴れのち曇り、最高気温 36.6℃(最寄りの観測地点 所沢にて観測)

 【環境条件】①露地(土の上)、②作業小屋(窓開放、扇風機2台稼働)

・荒井農園 荒井俊一さん(JA東京青壮年組織協議会 委員長)

 【日時】2025年8月22日(金) 7:45~16:00頃

 【場所】東京都調布市

 【天候】晴れ時々曇り、最高気温 36.4℃(最寄りの観測地点 府中にて観測)

 【環境条件】①露地(土の上)

2.   観測結果(1)塩久園でのWBGT推移

 塩久園では、露地は日ざしや風の影響を受けやすく、WBGTは変動幅が大きい結果となりました。日ざしが強まった10:00~13:00頃にはWBGT31℃以上の「危険」ランクの時間帯が多く見られ、12:13に最高値35.7℃を記録しました。直射日光の遮られた作業小屋では、WBGTの変動幅は比較的小さく、多くの時間帯で露地よりも低い値で推移しました。ただし、露地で最高値を記録した時刻とほぼ同時刻の12:25には32.1℃を記録し、「危険」ランクに達する時間帯もありました。13:00以降は雲が広がりはじめ、露地、作業小屋ともWBGTは緩やかに低下しましたが、この時間帯はいずれも「厳重警戒」レベルと、日ざしがなくても油断はできない状況でした。

 塩野さんは、散水やパイプ挿し、播種(はしゅ)、耕耘(こううん)などの農作業を早朝から昼前までに行い、暑さがピークとなる時間帯は作業を中断していました。自分の体調と相談し休憩をこまめにとるなど、作業時間帯を工夫した働き方を実践していました。

3.   観測結果(2)荒井農園でのWBGT推移

 荒井農園では、塩久園と同様に露地では日ざしや風の影響を受け、WBGTは変動幅が大きい結果となりました。露地の日最高WBGTは14:03に35.7℃を記録しました。ハウスでは、空気循環設備2台とミスト散布管を稼働させ、ハウスの壁面には遮光シートをつけて観測しました。暑さの立ち上がりは露地よりも遅い結果となりましたが、日ざしがある程度差し込む環境であったことから、露地と似た時系列変化をとりました。なお、11:00頃および13:00頃には雲が広がったため、露地・ハウスともにWBGTは一時的に30℃前後へと下降しました。14:45以降は、周囲の建物により日ざしが遮られ、WBGTの変動は比較的穏やかとなりましたが、露地・ハウスともに「厳重警戒」のランクで推移していました。

 荒井さんは、計測開始前の明け方から昼前にかけて、出荷作業や露地でのナス・ピーマンの収穫、草刈り作業を行っていました。暑さがピークとなる時間帯を避けた作業計画を立て、またパート従業員の方と複数名で作業を行うことで、作業時間自体の短縮も実践されていました。また、帽子やファン付きウェアを着用するなど暑さから身を守る工夫や、ウェアラブルデバイスのアラート機能を使った暑さに対するリスク管理も行われていました。

【農作業をするときの熱中症対策のポイント】

  • 作業は早朝や夕方など、なるべく涼しい時間帯に行いましょう。

  • 天気予報や暑さ指数(WBGT)の情報を事前に確認し、体調や作業量に合わせて、無理のない計画を立てるようにしましょう。

  • 屋外での作業は、直射日光に特に注意が必要です。帽子や暑さ対策グッズを活用し、こまめに涼しい環境で休みましょう。

  • ハウス内や、作業小屋などの屋内であっても、高温多湿、風通しが悪い環境では熱中症に注意しましょう。設備の見直しや、換気や遮熱対策など複合的な対策を意識することが大切です。

 塩久園、荒井農園へのインタビューでは、「草むしりも夏場は大変」「農薬散布の作業は、空調服が着られずマスク必須のため体に熱がこもりやすい」といった夏場の苦労や、「一人作業のため体調や作業量に合わせて時間を調整し、無理をしない」「パートさん向けに空調服・保冷剤付きベスト・ウェアラブルデバイスの3点を貸与している」など、それぞれが行っている具体的な対策についてお話いただきました。

「熱中症ゼロへ」プロジェクトでは、農業をはじめとする、熱中症に注意が必要な環境で働く方々に向け、今後も熱中症対策について調査・情報発信を続けていきます。

【熱中症ゼロへ 熱ゼロ研究レポート 農作業と熱中症に関する実態調査】

https://www.netsuzero.jp/netsu-lab/lab14

【熱中症ゼロへ 熱中症について学ぼう:こんな人は特に注意!「屋外で働く人」】
https://www.netsuzero.jp/learning/le06

【熱中症ゼロへ 熱中症について学ぼう:応急処置のポイント】

https://www.netsuzero.jp/learning/le03

■「熱中症ゼロへ」プロジェクトとは

 熱中症にかかる方を減らし、亡くなってしまう方をゼロにすることを目指して、一般財団法人 日本気象協会が推進するプロジェクトです。2013年夏のプロジェクト発足以来、熱中症の発生に大きな影響を与える気象情報の発信を核に、熱中症に関する正しい知識と対策をより多くの方に知ってもらう活動を展開してきました。活動14年目となる2026年は「熱中症予防を担う方をサポートする」をテーマに、熱中症の予防啓発活動を実践します。激甚化する昨今の暑さに伴い、2025年6月から企業の熱中症対策が義務化されるなど、熱中症予防のケア人材をサポートする重要性が社会的に高まっています。組織や社会を見守る立場の方へ、啓発支援につながる情報発信を行い、社会全体での防災意識を高めます。

■一般財団法人 日本気象協会について

 日本気象協会は、民間気象コンサルティング企業の先駆けとして1950年に誕生しました。防災・減災や洋上風力発電の分野以外でも、気象データを活用した商品需要予測や電力需要予測、気候変動対策などのコンサルティングを通じ、気象データのビジネスでの利活用を提案しつづけています。所属する気象予報士の数は370人を超え、日本最大級の規模を誇る気象の専門家集団として企業のESG投資やSDGs活動への支援も積極的に展開中です。

・「熱中症ゼロへ」は日本気象協会の登録商標です。

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会社概要

URL
https://www.netsuzero.jp/
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
東京都豊島区東池袋3-1-1 サンシャイン60 55階
電話番号
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代表者名
渡邊 一洋
上場
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資本金
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設立
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