偏光ゼーマン原子吸光光度計「ZA4000」シリーズ4機種を発売
複数元素の連続測定を実現し、高精度かつ効率的な分析業務に貢献
原子吸光光度計は液体中に含まれる金属元素を測定する装置で、試料を加熱することで金属を原子化して測定します。加熱方法には炎を用いるフレーム法と電流を用いるグラファイトファーネス法の2種類あり、本シリーズにおいては、フレーム・グラファイトファーネス両用機「ZA4000」、フレーム専用機「ZA4300」、グラファイト専用機「ZA4700」、さらにこのたび複数元素の連続測定を実現したラピッドシーケンシャルフレーム機「ZA4800」の計4製品をラインアップしました。
本シリーズは、測定対象以外の共存物などによる測定結果への影響を取り除くバックグラウンド補正機能である日立独自の偏光ゼーマン補正法*1とデュアル検知方式*2を前シリーズから継続して搭載し、安定した高精度分析を提供します。今回新たにラインアップしたラピッドシーケンシャルフレーム機「ZA4800」では、測定に必要な波長の光を分光する回折格子の駆動機構を新たに設計し、さらに光源であるホローカソードランプの4本同時点灯を実現しました。これにより、同一試料に対して最大12元素の連続測定が可能になり、分析業務にかかる時間を大幅に削減します。また、試料注入、測定終了などのタイミングを自動通知する機能や、グラファイトファーネス法においては装置からのコンタミネーション*3を診断する機能により、操作性が向上したことで、分析業務に不慣れな方や初めて日立ハイテクサイエンス製の原子吸光光度計を使用する方でも、簡単に操作することができます。
本シリーズの販売により、高精度で高信頼な分析装置の提供およびお客様の分析業務の効率向上に貢献します。
*1 偏光ゼーマン補正法:原子吸光スペクトルに磁場を印加することでバックグラウンドを補正する方法
*2 デュアル検知方式:バックグラウンド補正を行うために測定する二つの信号を独立した検知器で検知する方式
*3 コンタミネーション:測定試料以外からの目的元素の汚れ
■本シリーズ開発の背景
原子吸光光度計は、環境・食品などさまざまな分野において研究・開発や品質管理に用いられ、私たちの生活の安全安心を支える重要な役割を担っています。近年、各分野において金属元素の含有に関する規制の強化や基準が厳しくなるなど、測定頻度は増加傾向にあり、高精度かつ迅速な分析へのニーズが高まっています。
■本シリーズの特長
1.偏光ゼーマン補正法とデュアル検知方式の融合による高い分析精度の提供
偏光ゼーマン補正法は、高精度なバックグラウンド補正および全波長領域において安定したベースラインの実現が可能です。またデュアル検知方式との併用により、精度の高い分析を提供します。40年以上の実績を持つ安心で高品質な分析機能の搭載により、お客さまの分析業務に貢献します。
2.複数元素の連続測定の実現による分析時間の短縮
ラピッドシーケンシャルフレーム機「ZA4800」においては、新設計の回折格子機構とホローカソードランプの4本同時点灯により、同一試料に対し最大12元素の連続測定を実現しました。試料を導入し波長を切り替えながら、連続して複数の元素を測定することができ、お客さまの分析時間短縮*4に貢献します。
*4 測定条件により短縮時間が異なります。
3.ユーザーフレンドリーな機能の搭載
グラファイトファーネス測定を用いた極微量分析*5において、新たに搭載した診断機能で装置からのコンタミネーションを検知し、測定前の装置の状態確認や異常発生時の原因分析などにかかる時間と手間を軽減します。フレーム測定では試料注入、測定終了のタイミングを自動判断し音声でお知らせする機能や、一定の吸光度を確認した試料において自動で測定を開始するオートスタート機能など、ソフトウェアによる測定サポート機能を搭載しており、誰でも簡単に分析業務を実施できます。
*5 極微量分析:目的元素の含有量が非常に少ない(数μg/L程度)試料の分析
4.環境に配慮した設計
偏光ゼーマン補正法による測定開始までのウォーミングアップ時間の短縮やラピッドシーケンシャルフレーム機「ZA4800」に搭載した新機能による測定時間の短縮に加え、一定時間経過するとホローカソードランプを自動で消灯する省電力モードを搭載することで、消費電力削減やホローカソードランプ交換回数が減ることによる廃棄物量削減に貢献します。また、フレーム・グラファイトファーネス両用機「ZA4000」では、一定の待機時間を超えた場合、自動で冷却水の通水を停止する節水モードを搭載し水使用量も削減するなど、環境に配慮した製品設計をしています。
本製品は2023年9月6日(水)から8日(金)まで、幕張メッセ国際展示場(千葉県)で開催される「JASIS2023(最先端科学・分析システム&ソリューション展)」において、実機の展示を行う予定です。
日立ハイテクサイエンスは、幅広い分野における研究・開発、品質管理業務を支え、人々の QoL 向上に貢献していきます。今後も日立ハイテクグループは、「解析・分析」のコア技術を磨きあげ、「環境・レジリエンス・安全安心」の分野における社会やお客さまの課題解決に貢献していきます。
■「ZA4000」シリーズ製品サイト
<ZA4000>
https://www.hitachi-hightech.com/jp/ja/products/analytical-systems/aas/za4000.html
<ZA4800>
https://www.hitachi-hightech.com/jp/ja/products/analytical-systems/aas/za4800.html
<ZA4300>
https://www.hitachi-hightech.com/jp/ja/products/analytical-systems/aas/za4300.html
<ZA4700>
https://www.hitachi-hightech.com/jp/ja/products/analytical-systems/aas/za4700.html
■日立ハイテクについて
日立ハイテクは、2001年、株式会社日立製作所 計測器グループ、同半導体製造装置グループと、先端産業分野における専門商社である日製産業株式会社が統合し、誕生しました。2020年、日立製作所の完全子会社となり連携を強化していくことで、社会課題の解決に貢献し、持続可能な社会の実現をめざしています。
医用分析装置、バイオ関連製品、分析機器、半導体製造装置、解析装置の製造・販売に加え、社会・産業インフラ、モビリティなどの分野における高付加価値ソリューションの提供を通して、グローバルな事業展開を行っています(2023年3月期日立ハイテクグループ連結売上収益は6,742億円)。
詳しくは、日立ハイテクのウェブサイト(https://www.hitachi-hightech.com/jp/ja/)をご覧ください。
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