【台湾情報】ロシアのウクライナ侵攻が工作機械産業へ及ぼす影響<ワイズ機械業界ジャーナル2022年4月第2週号発行>
〜台湾機械業界の最新動向を分析する〜
ワイズコンサルティング グループ(本社:中華民国台北市、代表取締役:吉本康志)は台湾機械業界専門誌「ワイズ機械業界ジャーナル」の2022年4月第2週号を発行しました。今週号では、工作機械業界、医療器材業界、自動車用ピストン部品メーカーの正道工業(ライトウェイ インダストリアル)、機械産業のスマート製造について紹介します。
<最新号目次>
- ロシアのウクライナ侵攻が工作機械産業へ及ぼす影響
- 台湾医療器材産業の概況及び2022年の展望
- 精密加工技術を持つ自動車用ピストン部品メーカー、正道工業(ライトウェイ インダストリアル)
- 智慧機械雲サービス開始、機械産業のスマート製造を推進
一、台湾工作機械産業のロシア、ウクライナ市場進出状況
対ロシア輸出
2021年の対ロシア輸出額は前年比25.6%増の1億米ドルで、台湾工作機械産業の輸出相手国で4位だった。主要輸出項目の上位3位は順に▽旋盤(3,780万米ドル)▽マシニングセンタ(3,600万米ドル)▽研削盤(710万米ドル)だった。
対ウクライナ輸出
21年の対ウクライナ輸出額は前年比1.5%減の560万米ドルで、主要輸出相手国で37位だった。主要輸出項目の上位3位は順に▽旋盤(240万米ドル)▽マシニングセンタ(160万米ドル)▽研削盤(50万米ドル)だった。
ロシア市場における台湾企業の投資状況
経済部投資業務処の資料によると、現在ロシアに拠点を構える台湾メーカーは20社余り、工作機械メーカーの達佛羅(Buffalo machinery)はサンクトペテルブルクで子会社を設置しており、機械設備・金型メーカーの紐強国際(Neotronics)はエカテリンブルクに販売拠点を構えている。
原材料とサプライチェーン
21年の台湾の主要輸入相手国のうち、ロシアは15位だった。輸入額は前年比54.2%増の49億9,000万米ドルで、輸入項目別では、エネルギーと原材料が90%以上を占めた。内訳では、石炭(23.5%)、天然ガス(23.2%)、石油(17.5%)を含む鉱物性燃料が64.2%、鉄鋼製品(24.7%)、アルミニウム製品(4.6%)を含む金属鉱物が占める。なお、工作機械の主要原材料は鉄鋼、鉄、アルミニウム、銅だ。
二、ウクライナ侵攻が台湾工作機械産業へ与える影響
1.工作機械メーカーの経営への影響
ロシアは台湾工作機械産業にとって第4位の輸出相手国であるものの、輸出額と輸出割合は低い。また近年、台湾メーカーはリスク回避のため、輸出市場の分散を加速してきた。また一部の台湾メーカーは第三国経由でロシアに製品を輸出しているものの、年間販売台数は数百から千台程度にとどまる上、入金後に出荷しているため、台湾メーカーの経営への影響は軽微とみられる。
2.サプライチェーン断絶の可能性
ロシア産原材料の世界市場における輸出割合は▽ニッケル、49%▽パラジウム、42%▽アルミニウム、26%▽鉄鋼、7%▽銅、4%、▽プラチナ、3%となる。ウクライナ侵攻が発生してから、各国がロシアへ経済制裁を実施した影響で一部金属価格が高騰し、世界と台湾のサプライチェーンに影響を与えている。また、ウクライナ侵攻が長期化し、台湾メーカーの原材料在庫が切れた場合、原材料需供ひっ迫が発生する懸念がある。
3.原材料価格高騰による影響
ウクライナ、ロシア産の鉄鋼製品は低価格のため、熱間圧延鉄材、冷間圧延鉄材、鉄インゴット、銑鉄で両国とも世界的輸出大国だ。中でもウクライナ産鋼材の年間生産量は2,100万トンに達し、その70%を輸出している。ロシアも世界的に鉄インゴットの輸出大国である。このため、ウクライナ侵略が発生してから、鉄鋼市場の低価格商品は衝撃を受けている。工作機械と関連部品の主要原材料である鉄鋼、鉄、アルミニウムと銅を含む。ウクライナ危機が長期化した場合、原材料価格の高騰が続き、台湾工作機械メーカーの利益に打撃を与える恐れがある。
三、ウクライナ侵攻への対応
1.ロシアの輸入代替政策への対応
ウクライナ侵攻以前から、ロシアは工作機械を輸入代替政策の対象に入れていたため、将来的にロシアの台湾工作機械に対する調達需要は徐々に減少すると見られる。台湾メーカーはロシアの輸入代替政策の動向に注意し、影響を最低限に抑える。
2.代替市場の開発
台湾当産業の輸出状況を見ると、ウクライナとロシアへの輸出額は低いものの、両国以外の代替市場開発を検討する。また両市場に製品輸出をしている台湾当産業メーカーには他市場への展開を支援し、ウクライナ侵攻が及ぼす影響の軽減を図る。
3.サプライチェーン
ウクライナとロシアからの原材料調達需要を低減するため、台湾のエネルギーと金属鉱物原材料需要を分析し、その他第三国からの調達計画を立てる。
四、まとめ
台湾工作機械産業への影響まとめ
1.ウクライナ侵攻が欧州に与えた影響は台湾より深刻のため、台湾メーカーにとっては欧州市場のシェア拡大の機会でもある。
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