焼け取り範囲を自動判定・自動経路生成 レーザー焼け取りロボットシステムを開発
~AIとロボットの技術を活用 人手不足解消・人と環境にやさしい工法を実現~


株式会社スギノマシン(富山県滑川市)は、独自のセンシングと画像処理の技術を用いて、レーザー照射で金属の溶接後の焼けを除去する「レーザー焼け取りロボットシステム」を開発しました。AIやロボットの技術を活用し、溶接焼けの範囲や部品の形状を自動判定し、その対象範囲に応じた最適なレーザー照射経路を生成した上で、自動で焼け取りをします。本システムにより、従来の焼け取り作業で発生する人体や環境への悪影響を低減し、溶接板金現場で問題となっている労働力不足の解消に貢献します。
当社は、7月16日から19日に東京ビッグサイトで開催され「MF-TOKYO 2025」に出展し、本システムや溶接ロボットシステムを展示します。
1.開発の背景
溶接板金業界ではブランク加工(※1)や曲げ加工の自動化が進んでいるのに対して、溶接工程や溶接後の仕上げ工程においては、多品種少量製品に対する段取り替えの難しさから自動化が遅れています。そのため、当社は2024年に溶接工程向けにティーチレス(※2)の溶接ロボットシステムと、新機能「アクティブトラッキング」(溶接経路の自動補正機能)を市場投入しました。
焼けとは、金属に溶接などの加工を施した時に表面にできる焦げたような跡のことです。外観を損ねるだけでなく、金属の種類などによっては、腐食の原因にもなります。そのため、溶接作業において、焼け取りは必要不可欠な工程です。焼け取りの一般的な方法としては、機械を使って削り取る、強酸に付け込んで洗浄処理する、電解液で電気分解する、などの方法があります。
今回、溶接後に必須である焼け取り作業に着目し、工法としてレーザー光を照射して焼けを除去する「レーザークリーニング」を採用しました。レーザークリーニングは、非接触で加工するため、金属へのダメージが少なく、薬品処理が不要などの特長があります。また、薬品を使う場合より、後処理を含むトータルの工程短縮が可能です。
その上で、当社がこれまでの開発で培ったロボット制御技術やセンシング技術を結集させて、ティーチレスであることにこだわった「レーザー焼け取りロボットシステム」を完成させました。
2.製品詳細



◆本システムの特長
① センシング技術による、高精度な焼け取り
・独自のセンシング技術(画像処理技術)により、
溶接焼けの範囲や色の濃淡を自動判定
・自動でレーザーのパラメータを最適化

② AI技術による、汎用性の高い自動化
・部品形状や焼け範囲に応じて自動でロボット経路を生成
・人による事前プログラミング作業を大幅に削減し、省人化と精度向上を両立
・類似形状品や多品種の板金加工ラインにも適応可能

③ レーザークリーニングによる、環境や品質の改善
・化学薬品を使用しないため廃液処理が不要で、人体や環境にやさしい
・錆や黒皮、被膜の除去などにも適用可能
・加工する金属へダメージを与えず、溶接強度への影響が少ない
3.主な製品仕様
・使用ロボット:6軸CRb(シーアールビー、当社製)、または6軸協働ロボット
・使用レーザー:ファイバーレーザー発振器(100w) & ガルバノヘッド(2軸ウォブルリング付)
※お客様指定可
・判別方法:産業用3Dカメラ & 画像処理ソフト
・経路生成:ロボットシミュレーションソフト「CROROROS」(当社製)
・対応素材:SUS、SPCCなど
・付帯設備:集塵装置、レーザー遮光ブース等
4.発売情報
・受注開始:2025年7月1日
・販売予定台数:3年間で50台
5.注釈
※1ブランク加工
板金加工の最初に行われる、部品の輪郭や内側の穴などを切り出す工程のことで、抜き加工とも呼ばれる。主にタレットパンチプレスやレーザー加工機が用いられる。
※2ティーチレス(ティーチングレス)
ロボットに特定の作業や動作を、現場で記憶させるプロセス「ティーチング(教示作業)」が不要であること。ロボットの先端ツールが対象部品や周囲設備との干渉を避けるように、オフラインで動作経路を定義し、自動でプログラムに変換する手法などがある。
6.参考
・【ニュースリリース】新センシング技術搭載 ファイバーレーザー溶接ロボットシステムを開発 | 株式会社スギノマシン(2024年12月16日配信)
・MF-TOKYO 2025 第8回プレス・板金・フォーミング展
〈本件に関するお問い合わせ先〉
株式会社スギノマシン RI事業部 RI技術部
TEL:076-477-2554
<会社概要>
■会社名:株式会社スギノマシン
■代表者:代表取締役社長 杉野 良暁、代表取締役副社長 杉野 岳
■本社所在地:〒936-8577富山県滑川市栗山2880番地
■TEL:(076)477-2555(代)
■創業:1936年3月1日
■事業:高圧ジェット洗浄装置、超高圧水切断装置、原子力発電保守用機器並びに廃炉機器、湿式・乾式微粒化装置、ドリリングユニット、タッピングユニット、マシニングセンタ、拡管工具・装置、抜管装置、鏡面仕上工具、バイオマスナノファイバー、産業用ロボット等の開発、設計、製造、販売
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