第42回「石橋湛山賞」受賞作決定

  2021年度・第42回の「石橋湛山賞」(石橋湛山記念財団主宰、東洋経済新報社・経済倶楽部後援)は、宇野重規氏の『民主主義とは何か』(講談社現代新書、2020年10月刊)ならびに西野智彦氏の『ドキュメント 日銀漂流――試練と苦悩の四半世紀』(岩波書店、2020年11月刊)に決定しました。
 全国の有識者から推薦いただいた40余の著作・論文の中から、厳正なる審査を行いました。最終選考委員会での選考に残った両氏の著作は極めて水準が高く、異例ですが、今回は2氏への同時授賞となりました。
 宇野重規氏の『民主主義とは何か』は、ポピュリズムの台頭や独裁的指導者の相次ぐ登場など、危機に瀕した民主主義を、古代ギリシャ以来の歴史的時間軸の中でとりあげ、「民主主義を巡る諸問題」とその解決の方向性を、わかりやすく説明した書として、高く評価されました。また、ルソー、トクヴィル、ミル、バジョット、ウェーバーなどの「民主主義」論を考察していますが、彼等の中には石橋湛山の「自由主義・民主主義」の思想形成に寄与した論者も多く、その意味からも本書は石橋湛山賞にふさわしいものといえます。
 一方、西野智彦氏の『ドキュメント 日銀漂流――試練と苦悩の四半世紀』は、1997年の日銀法改正以来、松下・速水・福井・白川・黒田の5人の総裁のもとで、ゼロ金利から量的緩和、リーマン・ショック、異次元金融緩和、そしてコロナショックと激動する経済情勢に日銀はどう対応してきたか、綿密な取材と関係者の記録や証言を集めて、その政策形成過程をあますことなく明らかにしています。
 岸田内閣のもとで「新しい資本主義」が提唱される中、アベノミクスと「異次元金融緩和」の批判的検証は喫緊の課題であり、客観的で公平な筆致で日銀の四半世紀を描いた本書への授賞は時宜を得たものと考えられます。
なお、授賞式は11月29日(月)、東洋経済ビルで行われます。


宇野 重規著『民主主義とは何か』(講談社現代新書 2020年10月刊)
 宇野 重規(うの しげき)氏   略歴
 1967年東京都生まれ。東京大学法学部卒業。同大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。現在、東京大学社会科学研究所教授。専攻は政治思想史、政治哲学。
主な著書に『政治哲学へ 現代フランスとの対話』(2004年渋沢・クローデル賞LVJ特別賞受賞)、『未来をはじめる「人と一緒にいること」の政治学』(以上、東京大学出版会)、『トクヴィル 平等と不平等の理論家』(講談社学術文庫、2007年サントリー学芸賞受賞)、『保守主義とは何か 反フランス革命から現代日本まで』(中公新書)などがある。


西野 智彦著『ドキュメント 日銀漂流――試練と苦悩の四半世紀』(岩波書店 2020年11月刊)
 西野 智彦(にしの ともひこ)氏   略歴
 1958年長崎県生まれ。慶應義塾大学卒業。時事通信社で編集局、東京放送(TBS )で報道局に所属し、日本銀行、首相官邸、大蔵省、自民党などを担当。「筑紫哲也NEWS23」「報道特集」「Nスタ」の制作プロデューサーを務めた。その後、TBSテレビ報道局長、総務局長などを経て、現在、㈱TBS ホールディングス常勤監査役。
主な著書に『検証 経済失政─誰が、何を、なぜ間違えたか』(共著、岩波書店、1999年)、『検証 経済迷走─なぜ危機が続くのか』(岩波書店、2001年)、『検証 経済暗雲――なぜ先送りするのか』(岩波書店、2003年)、『改革政権が壊れるとき』(共著、日経BP、2002年)、『平成金融史』(中公新書、2019年)などがある。


授賞式
 日時:2021年11月29日(月)14時~
 会場:東洋経済ビル 9階 経済倶楽部ホール(東京都中央区日本橋本石町 1-2-1)


「石橋湛山賞」について
石橋湛山賞は、石橋湛山記念財団により、東洋経済新報社と経済倶楽部の後援の下に、1980年に創設されました。政治経済・国際関係・社会・文化などの領域で、その年度に発表された論文・著書の中から、石橋湛山の自由主義・民主主義・国際平和主義の思想の継承・発展に、最も貢献したと考えられる著作に贈られています。 
政界・経済界・学界・マスコミ関係者から寄せられた推薦論文・著書をもとに、財団理事・評議員らによる選考委員会が授賞候補を数点に絞ります。この中から最終選考委員の奥村洋彦(学習院大学名誉教授)、田中秀征(福山大学客員教授)、加藤丈夫(前国立公文書館館長)、柴生田晴四(経済倶楽部理事長)、山縣裕一郎(東洋経済新報社 代表取締役会長)各氏の合議を経て、最終選考委員会の場で決定します。
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