NPO法人クリーンオーシャンアンサンブル調査チーム、第6弾コラム「海洋ごみゼロを目指す方程式:ごみの蓄積を減らす回収と定量化の重要性」を公開
流出抑制だけでは減らない蓄積ごみに着目し、回収量と流出量の関係から読み解く海洋ごみゼロの条件を解説。
海洋ごみ問題の解決に向けて活動するNPO法人クリーンオーシャンアンサンブル(香川県小豆郡小豆島町、代表理事:江川裕基、田中秀典)の調査チームは、連載コラム第6弾「海洋ごみゼロを目指す方程式:ごみの蓄積を減らす回収と定量化の重要性」を公開しました。
本コラムでは、海洋ごみ問題を、自然界への新たなごみの流出抑制と、すでに自然界に蓄積したごみの回収の両面からアプローチします。そのうえで、「回収量が流出量を上回る状態」を継続することが、ごみの蓄積量を減らす条件であることを、図と数式を用いて分かりやすく解説します。

コラムURL:https://cleanoceanensemble.com/columns/column6/
筆頭著者:石山 翔午(ほか4名との共著)
コラムの概要
OECDの報告によると、2019年には、世界の海洋、河川、湖沼などの水域へ約610万トン/年のプラスチックごみが流出したと推計されています。また、別のOECD報告では、河川や海洋に蓄積したプラスチックごみは、2020年の約1億5,200万トンから、2040年には約3億トンに達する見通しが示されています。
第6弾コラムでは、新たなごみの流出を抑えるだけでは、すでに自然界に蓄積したごみは減らないという視点から、海洋ごみの流出量、回収量および蓄積量の関係を図と数式で解説しています。流出抑制の重要性を前提としながら、蓄積量を実際に減らすには回収も不可欠であることを示します。さらに、ごみを分別、計量および記録して回収量を定量化し、流出量と同じ単位で比較することで、回収活動の成果を「証明できる実績」に変えていく必要性を解説します。
コラム中の主要な数値
【世界全体】
・2019年の水域へのプラスチックごみ流出量:約610万トン/年(OECD, 2022)
・2020年の河川・海洋におけるプラスチックごみ蓄積量:約1億5,200万トン(OECD, 2024)
・追加対策を講じない場合の2040年の河川・海洋におけるプラスチックごみ蓄積量:約3億トン(OECD, 2024)
【日本】
海洋へのプラスチックごみ流出量:約1.3万~3.1万トン/年(環境省, 2025)
【海洋生物や経済への影響】
・ごみの誤食や絡まりなどの影響が報告されている海洋生物:約700種(Gall and Thompson, 2015)
・海洋プラスチック汚染による経済的コスト:世界で60~190億米ドル規模(Deloitte, 2019)
流出を抑えるだけでは、蓄積したごみは減らない
海洋ごみの影響は、景観の悪化に加え、約700種の海洋生物で誤食や絡まりなどが報告されているほか、マイクロプラスチックによる人の健康への影響も懸念されています。また、2018年に87の沿岸国で生じた海洋プラスチック汚染による清掃費や観光、漁業・養殖業への経済的損失は、年間60億~190億米ドル規模に上ると推計されています。
こうした影響を抑えるため、プラスチックの使用量削減やポイ捨て防止、廃棄物管理の改善など、新たなごみの流出を抑える対策は極めて重要です。一方、仮に新たな流出を完全に止めることができても、2020年時点で河川や海洋に蓄積していた約1億5,200万トンのプラスチックごみが自然に消えるわけではありません。海洋ごみ問題には、新たに自然界へ出ていく「流出」と、これまでにたまった「蓄積」の両方があります。したがって、自然界に存在するごみの総量を減らすには、流出抑制に加えて、すでに蓄積したごみを「回収」する取り組みが必要です。
海洋ごみを減らす条件を数式で示す
ここで、最初から自然界に蓄積しているごみの量をS₀、k年目に新たに流出した量をLₖ、同じ年に回収した量をRₖとすると、t年後の蓄積量Sₜは次の式で表せます。

この式が示すのは、毎年の「流出量-回収量」の差が、蓄積量の増減を左右するという関係です。
回収量が流出量より少ない状態が続けば、ごみの蓄積量は増え続けます。両者が同じであれば、蓄積量は増減しません。回収量が流出量を上回る状態を継続し、「回収量-流出量」の累積が初期の蓄積量以上になれば、理論上、蓄積量をゼロに近づけることができます。
例えば、ある海岸に過去からごみが蓄積しており、ある年に100 kgを回収し、同じ年に60 kgが新たに自然界へ流出したとします。単純化して考えると、その年のごみの蓄積量は差し引き40 kg減ったことになります。
重要なのは、一度だけ大量に回収することではなく、社会全体で「回収量が流出量を上回る状態」を継続できる仕組みをつくることです。
調査チームコメント
海洋ごみ問題は、新たな流出を減らすだけでなく、すでに自然界に蓄積したごみをどう減らすかという視点が欠かせません。回収量を測り、流出量と同じ単位で比較することで、回収活動は「たくさん拾った」という感覚から、効果を検証できる社会的な対策へ変わります。本コラムが、回収を持続可能な仕組みとして考えるきっかけになれば幸いです。
今後の展開
クリーンオーシャンアンサンブルでは、今後も現場で得られた回収データと文献調査をもとに、海洋ごみの実態や回収の有効性に関する科学的・実践的な知見を蓄積し、コラムの発信や研究成果の公開を通じて、継続的に社会へ発信してまいります。
得られた知見を、海洋ごみ問題への理解促進と、回収・流出抑制対策の検討や実践につなげていきます。
コラムURL:https://cleanoceanensemble.com/columns/column6/
クリーンオーシャンアンサンブルは共に未来を変える仲間を募集しています
クリーンオーシャンアンサンブルは、海洋ごみゼロの世界の実現を目指し、日々挑戦を続けています。
この取り組みをさらに前進させるためには、皆さまの力が必要です。
以下の方法で、ぜひご支援・ご参加ください。
●寄付・協賛で支援する
いただいた寄付は、海洋ごみ回収装置の設置、データ化ツールの開発、現場活動の継続などに活用されます。
単発寄付/マンスリーサポーターとしてのご参加、いずれも歓迎しております。
▶詳細はこちら: https://donation.cleanoceanensemble.com/
企業様におかれましては、CSR活動の実践として、当団体HPへのロゴ掲載、回収支援証明書の発行、
共同PRなどの連携が可能です。
▶詳細はこちら:https://cleanoceanensemble.com/support/partner/
●ボランティア・プロボノとして参加する
当団体では、以下の分野のスキルを活かしてくださる仲間を募集しています。
-
ITエンジニア
-
マーケティング
-
営業・協賛パートナー支援
-
人事
-
現場エンジニア(小豆島)
詳細を知りたい方は月1回プロボノ説明会を開催しておりますので是非ご参加ください。
プロボノ参加以外に当団体の活動などに対する質問も受け付けております。
▶ プロボノ/ボランティア説明会はこちら:https://peatix.com/group/12922636
団体概要
・名称:NPO法人クリーンオーシャンアンサンブル(NGO Clean Ocean Ensemble)
・住所:香川県小豆郡小豆島町坂手甲986番地
・設立:2020年12月
・代表理事:江川 裕基、田中 秀典
・主な活動国:日本、東ティモール
・公式サイト:https://cleanoceanensemble.com/
・公式SNS:https://cleanoceanensemble.com/support/follow/

すべての画像
