神田外語大学附属図書館 主催第3回神田佐野文庫常設展示 「終戦後の英語ブーム」
2024年9月20日(金)~2025年7月31日(木) 開催
神田外語大学(千葉市美浜区/学長:宮内孝久)附属図書館は、2024年9月20日(金)から2025年7月31日(木)にかけて、連合国軍占領とともに始まった英語ブームをテーマに、第3回神田佐野文庫常設展示「終戦後の英語ブーム」(参観無料・事前申し込み不要)を一般向けに開催します。第1回「諳厄利亜(あんげりあ)語、エゲレス語、エンケレセ―『英語』になるまで―」、第2回「大黒屋光太夫のロシア文字『福寿』」に続いて、戦後の日本社会における英語学習とその急速な普及、その背景にある社会的、文化的な変化を読み解きます。本学日本研究所の客員教授であり、京都大学名誉教授の松田清による監修のもと、神田佐野文庫の資料17点を複製し、神田外語大学附属図書館の展示室にて公開します。
■神田佐野文庫について
本学附属図書館神田佐野文庫は江戸時代後期から明治維新を経て、連合国軍占領期まで(1780年代から1950年代)の約170年間に、日本で刊行あるいは書写された西欧語・西欧文化の教育研究資料、および同時期に西欧世界で出版された日本関係洋書を幅広く収集した特色ある神田外語大学の文化交流史資料コレクションです。※パンフレット別添
■「終戦後の英語ブーム」 概要
主 催:神田外語大学附属図書館
期 間:2024年9月20日(金)~2025年7月31日(木) 平日10:00~16:00
2024年10月26日(土)、27日(日) 10:00~17:00
※神田外語大学1号館2F 総務部にて入構手続きが必要です。
※本学、学園祭(浜風祭)開催日の10月26日(土)、27日(日)のみ入構手続きなしで観覧可能。
会 場:神田外語大学附属図書館 展示室
(神田外語大学3号館1階/千葉県千葉市美浜区若葉1丁目4−1)
監 修:松田 清(神田外語大学 日本研究所客員教授、京都大学名誉教授)
ペリー来航(1853年)によって海防が叫ばれ、オランダ語ブームが起きました。最初の英語ブームは明治初年の文明開化期でした。日本の近代化の成果は昭和20(1945)年の敗戦によって崩壊し、昭和20(1945)年9月8日の連合国軍進駐とともに、2回目の英語ブームが到来しました。
本展示では神田佐野文庫の資料から、以下の17点を複製し、終戦後の英語ブームを紹介します。
発行年月日
1 英訳戦陣訓 昭和16年6月16日
2 English-Japanese phrase card. May 1945.(昭和20)
3 日米会話手帳 昭和20年10月 3日
4 日本語英語商品名早わかり表 昭和20年10月10日
5 ラジオテキスト実用英語会話 昭和20年11月 1日
6 ラジオテキスト英語会話No.1 昭和21年 2月 1日
7 日英米ポケット会話 昭和20年11月10日
8 ポケット米日会話 昭和20年11月20日
9 速成日米会話 昭和20年12月15日
10 英語会話必携 昭和20年12月20日
11 フクチャンABC 昭和21年 3月20日
12 日米エホン 昭和21年 4月 7日
13 少国民の英単語 昭和21年 4月10日
14 ハル ナツ アキ フユ 昭和21年 5月15日
15 ガリバー旅行記 昭和21年 9月30日
16 ラジオテキスト基礎英語No.1 昭和22年 4月 1日
17 とても面白い英語すごろく 刊年不明
<展示資料から>(展示品は複製です)
1 英訳戦陣訓
Field Service Code (Senzinkun). Adopted by the War Department on January 8, 1941, and translated into English by the Tokyo Gazette. Price: 30 Sen. (4), 21 pp. 181x127mm
昭和16(1941)年6月16日 情報局内東京ガゼット発行
『戦陣訓』は日本陸軍将兵の戦場における道徳向上のため、昭和16(1941)年1月8日、陸軍大臣東条英機が示達した文書です。陸軍将校以下全員に印刷配布する通達が出されました。古来の武士道精神に基づいて、難解な表現が多く用いられていました。
内閣直属の情報局では、同局編集の「週報」をもとに国策宣伝の月刊英文誌Tokyo Gazetteを局内の東京ガゼット発行所から発行していましたが、昭和16(1941)年6月16日、「東京ガゼット叢書第一輯」として、同所から『英訳戦陣訓』Field Service Code (Senzinkun)を出版しました。訳者はキリスト者・筧光顕(かけい・みつあき)。印刷は研究社印刷所が行いました。
2 English-Japanese phrase card.
War Department pamphlet No. 21-32. War Department, Washington 25, D.C. 28 May 1945. 1 sheet 132x105mm
米軍将兵が日本兵に日本語で指示命令するための英和会話カード。三つ折り。1枚。アメリカ陸軍省 1945年5月28日発行。
「About, face! ma-WA-ray! Meeg-EE! 廻れ右」
「Surrender! KO-sahn shee-RO! 降参しろ」
など30のフレーズからなります。
3 日米会話手帳
編者・訳者匿名 昭和20(1945)年10月3日
科学教材社刊 洋装 中綴じ 1冊 32 pp.
90x125mm
表紙「日米会話手帳 ANGLO-JAPANESE CONVERSATION MANUAL 1945」。戦後最初に企画発行された出版物として知られています。
奥付に「昭和20年10月1日印刷 昭和20年10月3日発行 定価停八十銭 東京神田錦町2の5 科学教材社刊」とありますが、実際には、昭和20年9月15日に初刷を発行し、3ヶ月で360万部のベストセラーになったといいます。また、企画発行の実際は誠文堂新光社が行い、科学教材社の名義を借りたといいます。停は価格等統制令による停止価格を示します。
参考: 『「日米会話手帳」はなぜ売れたか』
朝日新聞社編(1995)
5 ラジオテキスト実用英語会話 第一輯 再版
日本放送協会編 昭和20(1945)年11月1日
30000部
日本放送出版協会発行 折丁 1冊 14 pp.
204x135mm
未裁断。表紙に「ラジオテキストPRACTICAL ENGLISH CONVERSATION 実用英語会話 第一輯 講師 杉山ハリス 西内正丸 このテキストは昭和二十年九月十九日より開講され、更に十一月一日から繰返し放送される講座用として作られたものです。日本放送出版協会発行 ¥0.35」と印刷されています。
昭和20(1945)年10月25日発行の初版は、80000部。
13 少国民の英単語
木村郁太郎著
昭和21(1946)年4月10日 大阪 有文社刊
表紙とも15, (1) pp. 184x128mm
絵入り英単語帳。前書きに「今や英語に対する親しみは小さな児童の心を揺つてゐます。本書は国民学校の児童達に覚え易く、親しみ易く英語に慣れしめる様に工夫しました」とあります。奥付で「定価金弐円¥5」と価格を訂正しています。
国民学校制度は昭和16年3月1日公布の国民学校令により、従来の小学校制度を廃止し、皇国民錬成を目的として同年4月から施行され、昭和22年3月に廃止されました。
■神田外語大学日本研究所客員教授 松田 清
1947年愛知県生まれ。京都大学名誉教授。研究分野は、日本洋学史、日欧知識交流史、書誌学、近世京都学。主な著書に『洋学の書誌的研究』(臨川書店、1998年)、『訓読豊後国志』(共編、思文閣出版、2018年)、『京の学塾(まなびや)山本読書室の世界』(京都新聞出版センター、2019年)などがある。
■参考リンク
神田外語大学 https://www.kandagaigo.ac.jp/kuis/
神田外語大学 日本研究所 https://www.kandagaigo.ac.jp/kuis/main/labo/rijs/
神田外語グループX(旧Twitter) https://x.com/kandag_official
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