ホロラボが椅子研究家・織田憲嗣氏の自邸を3D Gaussian Splattingでデジタルアーカイブ
ハンス J. ウェグナーやアルネ・ヤコブセンの至宝が息づく空間を最新技術で写実的にデジタルアーカイブ〜1,000脚以上の名作椅子が構成する空間を精密再現
株式会社ホロラボ(本社:東京都品川区、代表取締役:中村 薫、以下「ホロラボ」)は、株式会社レディット(本社:北海道東川町、代表:堂用 晶義)が進めるデジタルアーカイブプロジェクトに参画し、世界有数の椅子研究家・研究者である織田憲嗣(おだ のりつぐ)氏の自邸「織田邸」の内外観を高精細にデジタル化いたしました。

本プロジェクトは、2025年9月に予定されていた織田氏の転居に伴い、長年膨大なコレクションと共にあった「生活の記憶」としての空間を、物理的な移動の前に最新の3Dスキャン技術で永遠に固定することを目的として実施されました。
1. プロジェクトの背景:失われる「生きたデザインミュージアム」の記録
北海道東神楽町に拠点を置く織田憲嗣氏の自邸は、ハンス J. ウェグナーや、アルネ・ヤコブセンといった20世紀デザインの巨匠たちによる名作椅子をはじめ、数千点に及ぶ家具、照明、日用品が日常の風景として美しく配置された、まさに「生きたミュージアム」です。
「椅子は座るものであり、生活の中で使われてこそ価値がある」という織田氏の哲学が反映されたこの空間は、世界中のデザインファンや研究者にとって聖地とも呼べる場所でした。転居によりこの独自の空間構成が失われることを受け、最新のデジタルアーカイブ技術を用いた保存が急務となりました。
2. 技術的こだわり:レーザースキャンと3DGSによる「質感」と「精度」の融合
本プロジェクトの実務を担当したホロラボは、建築的な正確さと、工芸品としての家具の繊細な質感を両立させるため、独自のハイブリッド・ワークフローを構築しました。
空間の骨格を定義する「地上型レーザースキャン」
5つの居室、地下収蔵庫、および邸宅を囲む屋外庭園を精密に計測。ミリ単位の精度を持つ点群データを取得することで、壁面の垂直性や家具の正確な配置など、デジタルツインの基礎となる「器」としての空間を数学的に正しく構築しました。

反射と透過を再現する「3D Gaussian Splatting (3DGS)」

最新技術3DGSを活用。数千枚の撮り下ろしRAWデータから、従来のフォトグラメトリでは再現が困難だった「反射」「透過」「柔らかな光の拡散」を再現しました。ウェグナーの椅子に見られる滑らかな木肌の艶、ポール・ヘニングセンによる照明から漏れる光のグラデーション、さらには窓外に広がる東川町の豊かな緑まで、その場の「空気感」ごとデジタル化することに成功しました。
高精細アーカイブへのこだわり
3DGS生成にはスマートフォンアプリやハンディ型スキャナによるワークフローもあるなかで、今回はディテイル再現を追求するため地上型レーザースキャナに加え、一眼レフ写真4900枚を撮影しての3DGS生成を行いました。


結果として、織田氏が膨大な知識を蓄積してきた書斎の本棚は、一冊ごとの背表紙のタイトルが視認できるほどの解像度を実現しました。

「生活の主」を空間に合成:物語のあるアーカイブ
技術的なハイライトとして、書斎で研究を行う織田氏自身の姿を、3DGSの空間データ内に高精度に合成しました。単なる無人の建物記録ではなく、そこに住まう人物の気配をアーカイブすることで、資料的価値を超えた「物語」のあるアーカイブを実現しています。

3. 今後の展望:
今後同アーカイブにつきましては、織田コレクション協力会が同会員様に向けて公開を検討中とのことです。
■ プロジェクト体制
プロジェクト企画・推進: 株式会社レディット
撮影・制作実務: 株式会社ホロラボ
協力: 織田憲嗣氏 / 織田コレクション協力会 / 株式会社2M house
■ 織田憲嗣(おだ のりつぐ)氏 プロフィール
1946年高知県生まれ。イラストレーター、研究者、東海大学名誉教授。20世紀の家具、日用品を収集・研究。そのコレクションは内容・質ともに世界有数。 特にデンマークの家具デザイナー、ハンス J. ウェグナーとは深い親交があり、その作品の収蔵数は世界一を誇る。ウェグナーの椅子を系統立てて分類した著作は、世界中の研究者やコレクターの「バイブル」となっている。2025年から2026年にかけては、渋谷(Bunkamura ザ・ミュージアム)等にて「ハンス・ウェグナーの椅子100選」を含む織田コレクション展が開催されるなど、その功績は今なおデザイン界に多大な影響を与え続けている。
■ 株式会社レディットについて
建築CG・プロダクトCGの制作を行っております。
■ 株式会社ホロラボについて
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ホロラボは、XRや空間コンピューティング、デジタルツイン技術を中心に、最新のテクノロジーを実社会に実装する研究開発集団です。文化財のデジタル保存から産業用DXまで、3Dデータを基軸とした新しい体験価値の創造に取り組んでいます。
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