富山大学附属病院 吉田丈俊教授がシンガポールKKH「頭のかたち外来」を訪問

赤ちゃんの頭のかたち健診とヘルメット治療の国際的な標準化・均てん化を通じた頭蓋健診と頭蓋矯正治療の質の担保のため、シンガポール最大の小児病院で実地視察・研修を実施。日本とシンガポールとの共同研究も決定

 株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー(東京都中央区、代表取締役CEO 大野秀晃、以下当社)は、当社提携先医療機関である富山大学附属病院 周産母子センター長/教授 吉田丈俊先生が、シンガポールのKK Women’s and Children’s Hospital(以下KKH)「頭のかたち外来(PlagioCentre)」を訪問し、外来を見学するとともに、現地の医師・義肢装具士・理学療法士に対し頭蓋健診とヘルメット治療に関する指導を行い、多職種チームと議論・意見交換を実施したこと、さらに第13回SiPPAC 2025に参加されたことをお知らせいたします。

 本件は、赤ちゃんの「頭のかたち」に関する国際的な診療プロセスの標準化、評価指標の整備、共同研究推進の新たなステップを示すものです。

◼︎KKHにおける「赤ちゃんの頭のかたち外来」

 シンガポール最大の女性・小児専門病院であるKKHでは、乳児における位置的頭蓋変形症の診療が年々増加しています。2022年の年間症例数は800件超でしたが、2024年には1,000件を超え、36%以上の増加となりました。

 こうした医療ニーズの高まりを受けて、KKH内には乳児の頭のかたちに特化した専門外来「PlagioCentre(日本語訳: 頭のかたち外来)」が開設されました。

KKHのPlagioCentre(頭のかたち外来)のページ

 PlagioCentreでは、小児科医、新生児科医、理学療法士、義肢装具士など多職種から成るチームが、適正な頭蓋健診、理学療法による変形予防、そしてヘルメット治療まで一気通貫して行っています。当社が開発・製造するクルムフィットが唯一のヘルメットとして、シンガポール政府の正式な入札を経て、外来開設時より現在も採用されております。

 シンガポール初となる公的病院での頭のかたち外来は、1858年開院という約150年の歴史を持つKKHの伝統と革新に裏打ちされた、適正な頭蓋健診とヘルメット治療によって、治療効果の最大化が図られています。

 専門外来の開設にあたっては、KKHで頭蓋矯正治療に携わる専門チーム(小児科医、理学療法士、義肢装具士)が2024年10月に来日、一般社団法人日本頭蓋健診治療研究会の行う研修を受講するとともに、一般社団法人日本ヘルメット治療評価認定機構の認定医療機関を訪問しています。

 来日時の研修を通じ、KKHの専門チームは日本式の頭蓋健診と頭蓋矯正治療についての学びを深め、2024年11月からシンガポールでの臨床にあたっています。

 日本・シンガポール間の緊密なコミュニケーションにより、日本発の乳児の頭蓋変形に対する取り組みが世界的に見ても標準的な治療として拡大しています。

関連プレスリリース:日本式の「赤ちゃんの頭のかたち」矯正治療(ヘルメット治療)が海外へ進出/ジャパン・メディカル・カンパニー社製のヘルメットを用いた頭蓋矯正治療がシンガポールで開始

【参考サイト】

一般社団法人日本頭蓋健診治療研究会

一般社団法人日本ヘルメット治療評価認定機構

■ 訪問の意義

 吉田教授は2022年より富山大学附属病院で「頭のかたち外来」を主導してきた経験をもとに、KKHの外来を実際に見学。その後、同院の頭のかたち外来チームに対し、位置的頭蓋変形(斜頭症・絶壁など)と病的頭蓋変形(頭蓋縫合早期癒合症)の鑑別やヘルメット治療の適応判断について講義と指導を行いました。

 富山大学附属病院の診療の現場で行われているプロセスを取り上げ、低線量スズCTを用いた非侵襲的頭蓋健診の活用、患者・家族への説明方法、フォローアップ体制の整備といったテーマについて、KKHの小児科・脳神経外科・看護師・リハビリスタッフなど多職種チームと活発な議論を交わしました。

 吉田教授による具体的症例の共有は、KKHの臨床チームからも高い評価を得ており、今後の相互研修や共同研究につながる礎となりました。

吉田先生(写真中央)とKKH頭のかたち外来の新生児科医Kavitha Sothirasan先生(左から3人目)、義肢装具士・理学療法士等の外来スタッフ
吉田先生による講義(富山大学附属病院における低線量スズCTを用いた非侵襲的頭蓋健診の取り組み、患者・家族への説明方法やフォローアップ体制についての説明等)

■ 学会参加による相互理解の深化

 吉田教授は併せて13th SiPPAC 2025にも参加し、周産期・新生児・小児医療の幅広い演題を通じて、アジア圏の診療課題や医療提供体制の違いについて理解を深めました。

写真中央:Chua Mei Chien教授(KKH医学部門副チェアマン/KKH新生児科部長/KKHヒューマンミルクバンク所長/シンガポール国立大学小児科アカデミック・クリニカルプログラム 臨床准教授)
学会会場にて関係者と記念撮影

 学会での参加者同士の交流により、日本とシンガポールの臨床現場の相違や共通課題に対する理解が深まり、日星間の補完的な協力関係がさらに具体化しました。

【吉田丈俊 教授(富山大学附属病院 周産母子センター長/教授)コメント】

▼KKH頭のかたち外来チームとの面談、講義の目的と感想

 KKHの頭の形外来を担当している新生児科のKavitha Sothirasan先生から位置的斜頭症と早期癒合症との鑑別について教えてほしいと言われて講義してきました。また、私もシンガポールで行われている頭の形外来について興味があったので見学してきました。

 ヘルメット装着開始月齢が6.5か月、ヘルメット装着期間が2.85か月(すべて平均値)と日本より開始が遅く装着期間も短いながらCVAIの改善が9.58=>4.44と素晴らしい結果でした。一方、早期癒合症は1年間で症例がなく、日本の当院(注:富山大学附属病院)とは大きな違いでした。この斜頭症のヘルメット治療の効果や早期癒合症の発症率に関して、今後シンガポールと日本で共同研究することになりました。これからもお互いの知見をシェアして頭の形に悩むお子さんと親御さんに貢献していきたいと感じました。

▼13th SiPPAC 2025参加の所感

 初めてシンガポールでの学会に参加させていただきましたが、まず参加者の80%以上が女性であることに驚きました。日本でも小児科は女性が多い科の一つですが、感覚的にはシンガポールでは周りはほぼ女性という感じでした。また発表内容の半分以上が新生児関連でした。発表の内容は日本と似た部分が多かったのですが、シンガポールでは心の病を抱えたお子さんが多いことに驚きました。熱帯地方なのでもっと感染症の話題が多いかなと予想していましたが、シンガポールは超近代国家なのでそういう話題は全くありませんでした。また、医療保険制度もないため、医療内容がご家族の経済状態によって変わってくることも日本とは異なり新鮮な知見でした。同じアジア諸国として、まずはお互いを知ることが大切だと実感した学会でした。

【参考】富山大学附属病院と当社間における共同研究の取り組み

富山大学附属病院とジャパン・メディカル・カンパニーが「日本の小児における頭蓋変形の疫学調査」についての共同研究を開始

■ 国際的な医療連携の促進

 当社は、医療機器やサービス提供にとどまらず、一般社団法人日本ヘルメット治療評価認定機構の方針に基づき「適正な頭蓋健診と適正な頭蓋矯正治療」の国内外の均てん化を推進しています。

https://jcqht.org/

一般社団法人日本ヘルメット治療評価認定機構では下記3つの要件を満たす医療機関を認定対象としています。

  1. 機構主催の医師・スタッフ・関連メーカー対象の研修と認定試験への合格

  2. 先行施設での実地見学研修の受講

  3. 鑑別診断に必要なエックス線等の診断機器の保有

認定医療機関において、エックス線(レントゲン)やCTによる適正な頭蓋健診を行い、頭蓋縫合早期癒合症などの病的要因を除外したうえで必要な場合のみ、ヘルメット治療を適切に導入することが一般社団法人日本ヘルメット治療評価認定機構が推奨する「頭のかたち外来」と「正しいヘルメット治療」です。

 SNSや一部メディアで「手軽な美容矯正」と誤解されがちな頭蓋矯正ヘルメット治療に対し、当社は医療的根拠と認定機構の方針に基づいた正しい情報発信と国際連携、そして研修会やセミナーの運営・支援を通じ、乳児と家族が安心できる診療体制の確立を支援してまいります。

 今後も当社は、富山大学附属病院やKKHをはじめとする提携医療機関と協力し、国際共同研究・専門外来視察・相互研修を継続的に実施。頭蓋健診と頭蓋矯正治療の質の向上と均てん化を通じ、グローバルな医療の発展に寄与してまいります。

<赤ちゃんの頭のゆがみについて>

 赤ちゃんの頭のゆがみは、向き癖など外部からの圧力が主な原因ですが、稀に病的変形があり、ヘルメット治療の対象となるのは、外部からの圧力による位置的頭蓋変形になります。赤ちゃんの頭囲が急成長する生後3か月~生後7か月頃までの間に、治療用のヘルメットを装着することで頭蓋変形を治療することが可能になっています。

 赤ちゃんの頭のかたちの測定は、専用の3Dスキャナーだけでなく、「赤ちゃんの頭のかたち測定アプリ」でも行うことが可能です。

 当社が開発した「赤ちゃんの頭のかたち測定アプリ」では、写真を撮るだけで赤ちゃんの頭のかたちを簡単に計測することができます。累計30万ダウンロード(※注)を超えアプリの精度も向上しており、医師の論文発表等にもアプリデータが使用されています。アプリは医師監修の基に作られており、病院の診察の際にも役立てることもできますので、ぜひダウンロードしお役立てください。

※注:2025年7月 当社調べ

累計30万ダウンロードを突破!グッドデザイン賞受賞の「赤ちゃんの頭のかたち測定アプリ」ー国際論文誌で精度検証も実証、医療現場と家庭での活用が拡大ー

【自治医科大学附属さいたま医療センター × ジャパン・メディカル・カンパニー】スマートフォンによる頭蓋形状評価の新時代へ/共同研究の成果が国際学術誌に掲載

【iOS版】

【Android版】

※本アプリは医療機器ではありません。

   頭のゆがみに関する医学的な質問については専門医にご相談ください。

・製品情報 Qurum Fit(クルムフィット)

 株式会社ジャパン・メディカル・カンパニーは、長年にわたり頭蓋形状矯正ヘルメットの製造と開発に取り組んできました。このたび、脳神経外科、小児科、新生児科、小児外科、形成外科の専門医とともに開発検討委員会を立ち上げ、共同開発を実施。その成果として誕生したのが、最先端の3Dプリンタ技術を駆使して製造された日本製ヘルメットであるクルムフィットです。東京発の下町ベンチャーとして、荒川区にある自社工場で完全自主製造をしています。

 クルムフィットは、高い通気性を備えた設計によりムレを防ぎ、快適な使用感を実現しています。ヘルメット本体だけでなくクッション部分も水洗いが可能で、衛生面にも配慮されています。赤ちゃんのために細部までこだわり抜かれたデザインと機能性が特徴で、快適さと効果を両立させた製品です。

 日本国内の信頼ある医師との共同開発によるプロダクトとそのプロダクトを用いた優れた医療サービス体制が評価され、シンガポール最大の女性・小児医療専門の公立病院であるKK Women’s and Children’s Hospitalでもクルムフィットを用いた頭蓋矯正治療が採用されています。

 当社は製品の高い品質だけでなく、治療の安全性と信頼性を確保するための体制にも注力しています。当社製品を取り扱う医師には、必ず弊社主催の研修会「位置的頭蓋変形に対するヘルメット適正治療研修会」への参加をお願いしています。また、治療経験を持つ先行施設(大学病院またはこども病院)での診療への実地見学を通じて、より治療サービスに対する深い洞察を得ていただいています。ヘルメット治療導入後も継続的に研修会に参加していただくことで、最新の知識と技術を共有し続ける仕組みを整えています。

 こうした取り組みは、親御様が安心して頭蓋健診やヘルメット治療を受けられる環境を提供するため、一般社団法人日本頭蓋健診治療研究会の理事を中心とした専門医と協力して進めているものです。

 「最高の安心」をお届けするために。私たちは、ヘルメット治療の導入からその後のフォローアップまで、製品だけでなく徹底した品質管理とサポート体制を通じて赤ちゃんとそのご家族を支えています。私たちは、未来の医療を支える革新的な製品づくりを通じて、安心と健康を提供し続けてまいります。

https://babyhelmet.jp/product/ 

・株式会社ジャパン・メディカル・カンパニーについて

 ジャパン・メディカル・カンパニーは、最先端の3Dプリンティング技術を用いて、医療のカタチを革新するものづくりベンチャー企業です。

 1897年創業の鉄鋼メーカーの大野興業を前身とし、130年にわたり培われたものづくりの技術と精神を基盤に成長を続けてきました。

 1999年に積層造形技術(3Dプリント)を駆使したリバースエンジニアリングを導入し、耳小骨などのヒト骨模型の製法で特許を取得。手術前シミュレーション用3D模型の分野で、数々の術前症例模型や教育練習用模型の開発に至りました。現在では脳神経外科・耳鼻咽喉科領域を中心に、手術前シミュレーションや認定医試験等の場面で当社模型を用いたハンズオントレーニング等にご活用いただいています。

 2012年には初の国産 頭蓋矯正ヘルメット「Aimet(アイメット)」を脳神経外科医と共同で開発、2018年にジャパン・メディカル・カンパニーとして独立いたしました。

 現在は頭蓋矯正用ヘルメット「Qurum Fit(クルムフィット)」「Qurum(クルム)」や乳児の頭蓋変形の程度を簡便に計測できる「赤ちゃんの頭のかたち測定アプリ」、ヘルメット治療を支援する「metto(メット)アプリ」等の開発・製造・販売を行い、医療分野における新たな価値創出を目指しています。

 ヘルメットを用いた累計症例数は19,000症例以上の実績があり、ヘルメット治療のさらなる認知拡⼤を図るとともに、頭蓋形状矯正という概念そのものと疾病啓発の普及に取り組んでまいります。

■社名:株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー

■設⽴:2018年5⽉

■代表取締役CEO:⼤野秀晃

■事業内容:医療機器の開発・製造・販売、医療雑品の開発・製造・販売

■URL:https://japanmedicalcompany.co.jp

株式会社当社のプレスリリース⼀覧

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・本リリースに関するお問い合わせ・ご質問はこちら

株式会社当社 コーポレイト・デザイン室 柳本 瑞穂

TEL:03-5829-8342 / choice@japanmedicalcompany.co.jp

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会社概要

URL
https://japanmedicalcompany.co.jp/
業種
医療・福祉
本社所在地
東京都中央区東日本橋2-24-12 東日本橋槇町ビル2F
電話番号
03-5829-8342
代表者名
大野秀晃
上場
未上場
資本金
2323万円
設立
2018年05月