長期休みに子どもの「孤食」深刻化――欠食につながるリスクも 分析で浮かび上がった、“孤食を生み出す社会の構造”とは【ひとり親家庭調査】

回答者の5割超、週の半分以上“子どもだけで食事”  その背景に潜む課題

特定非営利活動法人グッドネーバーズ・ジャパン

学校給食がなくなる長期休み中、子どもの食事に深刻な変化が生じる実態が明らかになりました。認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパン(本部:東京都大田区、代表理事:小泉 智)が、当団体運営のフードバンク「グッドごはん」を利用する低所得のひとり親家庭へ調査を実施した結果、長期休み中に1日2食以下となる子どもの割合は、学校がある期間と比べて約3倍に増加することがわかりました。

さらに、長期休み中に子どもだけで食事をとる「孤食」の頻度が高い層で、子どもの食事の量や質が不安定になる傾向も示されています。

その背景には、保護者の就労環境や収入構造、支援へのアクセスの制約といった「社会の仕組み」の影響があることが示唆されました。

【主な調査結果】

・長期休み中、1日2食以下の子どもが約3倍に増加

・長期休み中に子どもだけでの食事「ほぼ毎日ある」が最多、5割超で週の半分以上発生

・子どもだけで食事をとる頻度が高い層で、栄養バランスの偏りや欠食、偏食が生じる傾向も

・保護者が仕事で不在となり、長期休みに子どもの孤食が増加

・保護者を取り巻く働き方の制約や支援へのアクセスのしづらさが課題に

【調査概要】

「ひとり親家庭の子どもの長期休み中における、子どもだけでの食事の発生実態に関するアンケート調査」

・実施日程:2026年6月4日~6月15日

・対象者:グッドネーバーズ・ジャパンのフードバンク事業「グッドごはん」の利用者のうち、小学生~高校生の子どもをもつ保護者 ※小学生~高校生の子どもが複数人いる場合は、そのうち最年少の子どもについて回答  ※「グッドごはん」利用者は、原則としてひとり親家庭等医療費受給者証保有者に限る(ひとり親家庭等医療費受給者証とは、18歳未満の子どもを養育し、所得が限度額未満かつ生活保護を受けていないひとり親家庭等に交付される医療費助成制度の医療証)

・回答方法:アンケート回答フォームへの入力(オンライン)

・有効回答者数:1,388名

・回答者属性:

     -  性別:女性 1,346名 (97.0%)|男性 25名 (1.8%) (性別無回答:17名)

    -  年代:20代 11名 (0.8%)|30代 237名 (17.1%)|40代 764名 (55.0%)|50代 363名 (26.2%)|60代以上 11名 (0.8%) (年代無回答:2名)

    -  居住地域:首都圏(主に東京・神奈川・埼玉・千葉)554名 (39.9%)|近畿(主に大阪・京都・兵庫・奈良)532名 (38.3%)|九州(主に佐賀・福岡)302名 (21.8%)

【調査結果詳細】

長期休み中に顕在化する子どもの欠食

長期休み中の子どもの食事状況について質問した結果、1日2食以下となる子どもの割合は、学校がある期間と比較して約3倍に増加することが明らかとなりました。

子どもの1日の標準的な食事回数

食事回数が減る理由としては、「経済的に余裕がなく、家庭で十分な食事を用意することが難しいため」が約4割で最も多く、「子どもの生活リズムが崩れるため」が約3割となっています。

学校の長期休み期間中に子どもの1日の食事回数が減る理由

長期休みに広がる子どもの“孤食”

こうした要因に加え、子どもが食事をする環境と食事回数との関係を分析しました。

その結果、長期休み中に子どもだけで食事をとる頻度が高い層では、

・食事回数が「減少」する割合が高い 

・一方で、「増加」する割合も高い 

・「変化しない」割合は相対的に低い 

といった傾向が確認されました。

学校がある期間と比較した長期休み中における子どもの1日の食事回数の変化[長期休み中に子どもが自分一人またはきょうだいだけで食事をとる場面が生じる頻度別]

これらの結果から、子どもだけで食事をとる頻度が高い層では、全体として食事回数が変動しやすい傾向があることが示されました。すなわち、食事の回数やタイミングが一定しない「不安定さ」にもつながっている可能性が示唆されます。

孤食がもたらすリスク

このような食事回数の変動は、食事の時間や内容のばらつきにつながりやすく、生活リズムの乱れや栄養バランスの偏りを招く可能性があります。

実際に、長期休み中に子どもだけで食事をとる際の食事内容について保護者が感じている困りごとを質問したところ、「栄養バランスが偏る」「食事の時間が不規則になる」といった点がそれぞれ約6割挙げられました。また、「自分の好きなものばかり食べる」「食事を抜く」との回答も一定数みられ、偏食や欠食が生じる状況もうかがえます(複数回答)。

長期休み中に子どもが自分一人またはきょうだいだけで食事をとる場面の食事内容に関する保護者の困りごと(複数回答)

自由記述回答では、子どもの孤食に関する不安の声や、子どもの情緒面への影響を懸念する声も示されました。

・「1人でいると、食べる量が減ったり食べなかったりする」

・「長期休み中は、仕事の都合で子どもが一人で昼食をとることがあります。食べやすいように作り置きや冷凍食品を準備していますが、一人で食べるのは寂しくないか気になることがあります。また、親がいないと好きなものだけを食べがちなので、栄養バランスも心配です」

・「ひとりでの食事はさみしいと言われることがあります」

・「朝起きるのが遅く、私が出勤してから食べる。野菜やおかずを用意していても食べなかったりする」

・「子ども1人での食事で寂しくないか、電子レンジやお湯を使うときに怪我をしないか心配です」

長期休みに広がる孤食――その具体像の分析

  • 子どもだけで食事をとる頻度

    長期休み中に、近くに見守る大人がいない環境で子どもが一人またはきょうだいだけで食事をとる場面が生じる頻度について、「ほぼ毎日」または「週に4~5日程度」と回答した割合が5割以上にのぼり、多くの家庭で週の半分以上にわたり子どもだけで食事をとる状況が示されました。

長期休み中、近くに見守る大人がいない環境で子どもが自分一人またはきょうだいだけで食事をとる場面が生じる頻度

  • 子どもの学年

    子どもの学年ごとに内訳を見ると、学年が上がるほど、子どもだけで食事をとる頻度が高くなる傾向がみられました。

    一方で、小学校低学年においても、「ほぼ毎日」または「週に4~5日程度」とする割合が計25.6%にのぼり、約4人に1人が週の半数以上、子どもだけで食事をとる場面が生じることが示されました。

子どもの学年区分[長期休み中に子どもが自分一人またはきょうだいだけで食事をとる場面が生じる頻度別]

  • 発生する時間帯

    長期休み中に子どもだけで食事をとる時間帯は、「昼食」が約9割と突出しており(複数回答)、学校がある期間であれば給食が提供される時間帯に、子どもの孤食のリスクが集中していることがうかがえます。

長期休み中に子どもが自分一人またはきょうだいだけで食事をとる時間帯(複数回答)

  • 1日の中での発生回数

    長期休み中、1日のうち複数回にわたり子どもだけで食事をとるケースが5割近くにのぼっており、子どもだけの食事が単発的ではなく、複数の食事機会に及んでいる状況もみられます。

長期休み中、1日のうちに子どもが自分一人またはきょうだいだけで食事をとる回数

孤食の背景:保護者の就労による不在

こうした子どもの孤食が生じる背景の一つとして、保護者が仕事で家を空ける状況が考えられます。

本調査で、長期休み中に保護者が仕事で家を留守にする時間帯を質問した結果、「昼食の時間帯」が約9割にのぼりました(複数回答)。

子どもの長期休み中、保護者が仕事で家を留守にする時間帯(複数回答)

さらに、長期休み中、仕事での不在により子どもの食事に生じる状況として、「子どもが自分一人またはきょうだいだけで食事をとることが増える」との回答が約8割を占めています(複数回答)。

子どもの長期休み中、保護者が仕事で家を留守にすることにより子どもの食事に生じる状況(複数回答)

孤食はなぜ生まれるのか――保護者の働き方に着目して

こうした保護者の不在が生じる背景を捉えるため、保護者の就労環境に着目した分析を行いました。

まず、長期休み中における保護者の働き方に関して、「勤務時間を減らすと収入に影響があるため、働く時間を確保する必要がある」との回答が7割にのぼり、次に「勤務する時間帯や曜日を柔軟に調整しにくい」との回答が続きました。

このことから、収入を維持するために一定の労働時間を確保する必要があり、また勤務時間帯などを柔軟に調整することが難しい中で、結果として子どもの食事の時間帯に家を空けざるを得ない状況が生じていると推察されます。

子どもの長期休み中における保護者の働き方(複数回答)

次に、長期休み中における保護者の就労形態については、「非正規雇用」が5割以上を占めています。

子どもの長期休み中における保護者の就労形態

非正規雇用の場合、勤務場所や形態の柔軟性が限られやすく、物理的に働く場所を選びにくいといった制約が生じやすい状況が考えられます。実際に、国内の企業におけるテレワークの実施状況に関する調査[1]では、非正規社員をテレワークの対象としている企業は回答全体の約3割にとどまるとのデータが示されています。

このような就労上の制約を一因として、保護者が在宅できず、子どもだけで過ごす時間や食事の場面が生じる可能性が考えられます。

本調査に回答した保護者からは、長期休み中、生活のために仕事に時間を費やさざるを得ない状況や、柔軟に働くことが難しい環境について、次のような声が寄せられています(自由記述回答)。

・「長期休暇のたびに、仕事と子育ての両立は難しいと強く感じる。子供の生活を守るために仕事をせざるを得ない」

・「一緒に居られるなら居てあげたいが、食事を用意するためのお金に困っているため休むわけにはいかず、一人にさせてしまう時間が増える」

・「休むと仕事をクビになる可能性や生活が出来なくなるので考えられない」

・「長期休み期間だけでもリモートワークなど柔軟に勤務できたらありがたいが、そのようなところはなかなかない」

・「働かないと生活できないし、働いていて親が不在なことで不規則で不健康な生活になること、非行に走らないか心配」

支援ニーズと利用のギャップ

子どもの孤食への対応として、民間や行政などが提供する、子どもが食事を含めて過ごせる場所やサービスの利用が考えられます。

そこで、長期休み中に子どもが自分一人またはきょうだいだけで食事をとる状況が一定程度生じる層として、週に1日以上発生する回答者を抽出し、こうした外部の場所・サービスの利用状況を分析しました。

その結果、「利用したいが、ほとんど/まったく利用できない」との回答が最も多く、6割近くに及びました。

長期休み中における、子どもが食事を含めて過ごせる外部の場所・サービスの利用程度(長期休み中、子どもが自分一人またはきょうだいだけで食事をとる場面が週に1日以上発生する回答者を抽出)

さらに、こうした場所・サービスを利用できない層では、子どもだけで食事をとる頻度が高い傾向も確認されました。

長期休み中における、子どもが食事を含めて過ごせる外部の場所・サービスの利用程度[長期休み中に子どもが自分一人またはきょうだいだけで食事をとる場面が生じる頻度別]

また、場所・サービスを十分に利用できない理由としては、経済的負担、保護者の時間的制約、利用可能な場所の不足などが挙げられており、必要な支援へアクセスしづらい状況が示されました。

長期休み中、子どもが食事を含めて過ごせる外部の場所・サービスを十分に利用できない理由(複数回答/長期休み中、子どもが自分一人またはきょうだいだけで食事をとる場面が週に1日以上発生する回答者を抽出)

子どもの孤食をめぐる構造

本調査の結果に基づき、回答者における傾向を整理すると、長期休み中の子どもの食事環境について、以下のような構造が示唆されます。

  • 保護者は、収入を維持するために一定の労働時間を確保する必要があるほか、勤務時間帯や曜日、場所を柔軟に調整することが難しい

  • それにより、子どもの食事の時間帯に在宅できない状況が生じる

  • その結果、子どもが一人またはきょうだいだけで食事をとる「孤食」が発生する

  • 孤食により、食事の質や量が不安定化する

これらの状況から、長期休み中の子どもの孤食や欠食は、保護者の就労環境や、労働時間に依存せざるを得ない収入構造といった、働き方を取り巻く社会的な仕組みに影響を受けている側面があると考えられます。

特に、本調査の対象である低所得のひとり親家庭においては、家庭内で子育てを担う大人が一人に限られがちな環境に加え、経済的困難を背景に労働時間を確保せざるを得ない状況が生じやすく、働き方の選択肢が限られるケースも少なくありません。 その結果、こうした社会的構造の影響を受けやすく、子どもの孤食が生じるリスクが高まりやすいことが懸念されます。

また、本調査では、長期休み中に子どもが食事を含めて過ごせる場所・サービスへのアクセスが難しい状況も確認されたことから、社会的支援のあり方についても検討の余地があると考えます。

すなわち、子どもの食事の問題は、個々の家庭の問題にとどまらず、「社会の構造」と密接に関連していることが示唆されます。

考察:長期休み中における子どもの孤食をめぐる構造

子どもの食を、社会で守るために

長期休み中の子どもの孤食や欠食に対応するための取り組みとして、以下のような方策が考えられます。

・長期休み中の昼食を中心に、子どもが食事をとれる場や機会の公的な確保

・労働時間に過度に依存せず生活を維持できるようにするための所得支援の検討

・在宅勤務やフレックスタイム制度など、子育て家庭が柔軟に働ける就労環境の整備

すべての子どもには、安心して十分な食事をとる権利があります。その権利を守るために、社会全体での仕組みづくりと、それぞれの立場でできる行動が求められます。

グッドネーバーズ・ジャパンでは、この夏休み期間にあたり、ひとり親家庭に対する食品配付の強化や、子どもたちが過ごせる居場所および昼食の提供を実施し、子どもたちの食事環境を守るための取り組みを進めてまいります。

 

[1] 出典:一般社団法人日本テレワーク協会(2026年)「テレワークの労務管理等に関する総合実態調査報告書」

<本調査結果の引用・参照に関するお願い>

本調査結果を引用・参照される際は、出典として当団体名称「認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパン」を明記いただけますようお願い申し上げます。

また、本調査は、グッドネーバーズ・ジャパンのフードバンク事業「グッドごはん」を利用する低所得のひとり親家庭を対象に実施したものであり、日本のひとり親家庭全体を代表するデータではございません。つきましては、本調査結果を引用・参照される際には、この調査の対象範囲が伝わる形でご使用くださいますようお願いいたします。

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■団体について

特定非営利活動法人グッドネーバーズ・ジャパンは、国際組織グッドネーバーズ・インターナショナルの一員として、2004年に開設されました。「子どもの笑顔にあふれ、誰もが人間らしく生きられる社会」を目指し、国内外の子ども支援を行っています。公益性の高い団体である「認定NPO法人」として東京都から認可を受けています。

公式サイト: https://www.gnjp.org/

facebook  : https://www.facebook.com/gnjapan

X     : https://x.com/GNJapan

Instagram: https://www.instagram.com/gn_japan/

■ひとり親家庭のためのフードバンク「グッドごはん」とは

「グッドごはん」とは、ひとり親家庭等医療費受給者証をもつ、所得が限度額未満のひとり親家庭を対象に、食品を毎月無料で配付する事業です。2017年9月の事業開始以降、延べ17万を超える世帯に食品をお渡ししてきました*。

首都圏、近畿および九州における約30~40か所*の配付拠点にて、企業や個人の寄付によって集まったお米や調味料、レトルト食品、お菓子など、約10,000円相当のカゴいっぱいの食品をひとり親家庭に配付しています。

*2025年12月時点(配付拠点数は月により変動) 

https://www.gnjp.org/work/domestic/gohan/

※通常、配付拠点に直接取りに来られる方を対象に食品を配付しています

※生活保護受給中の方は対象外です

■フードバンク「グッドごはん」を利用する低所得のひとり親家庭を対象とした各種調査について

グッドネーバーズ・ジャパンは、フードバンク「グッドごはん」を利用する低所得のひとり親家庭を対象に実施してきた各種調査の一覧を、以下のページにて公開しています。

https://www.gnjp.org/survey/

同調査では、食事・収入・子どもの体験・孤立の実態など、ひとり親家庭が直面する多様な課題について、定量・定性的に可視化しております。ぜひご覧ください。

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業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
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電話番号
03-6423-1768
代表者名
小泉 智
上場
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資本金
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設立
2004年12月