NVIDIA Clara Federated Learning が病院に AI をもたらし、患者のデータを保護
インテリジェントなエッジ コンピューティング プラットフォームが放射線医学でのディープラーニングを合理化
北米放射線学会 (RSNA) の会議では 100 を超える出展者が NVIDIA のテクノロジを使って AI を放射線医学に導入しようとしており、2019 年は医療における AI の転換点なりそうです。
AI は大きな可能性を秘めていますが、大きな課題が 1 つあります。患者のプライバシーを保護しながら、AI モデルのトレーニングに必要な膨大な量のデータを、どのように処理するかということです。NVIDIA は、業界と連携してソリューションを開発しました。
本日、RSNA にて、NVIDIA は患者データを医療機関内にある、本来あるべき場所に保管しながら分散協働型学習の手法を活用する、NVIDIA Clara Federated Learning を発表しました。
Clara Federated Learning (Clara FL) は、先頃発表されたインテリジェントなエッジ コンピューティング プラットフォーム、NVIDIA EGX がベースになっています。
Federated Learning (フェデレーション ラーニング)-- プライバシーに対応する AI
Clara FL は患者のプライバシーを守る分散協働型学習によって、AI モデルのトレーニング行うためのリファレンス アプリケーションです。全世界のシステム メーカーより販売されている、NVIDIA NGC-Ready for Edge サーバーで動作する、これらの分散クライアント システムは、ローカルでディープラーニング トレーニングを実行し、協調してより精密なグローバル モデルのトレーニングを行います。
それがどのように処理されるのかを説明しましょう。Clara FL のアプリケーションは、Kubernetes インフラストラクチャでのデプロイを簡略化するために、Helm chart にパッケージングされています。NVIDIA EGX プラットフォームは、フェデレーション サーバーと協働するクライアントを安全にプロビジョニングし、アプリケーション コンテナや初期の AI モデルといった、フェデレーション ラーニングプロジェクトを始めるのに必要なものすべてを提供します。
NVIDIA Clara Federated Learning によって、複数の病院をまたがって分散トレーニングを行い、個人情報を共有することなく、堅牢な AI モデルを構築。
参加する病院は、3D slicer や MITK、Fovia、Philips Intellispace Discovery といった医用画像ビューアーに統合された、NVIDIA Clara AI-Assisted Annotation SDK を使って、それぞれの患者のデータにラベルを付けます。トレーニング前のモデルと転移学習技術を使用して、NVIDIA AI が放射線科医のラベル付けを支援し、複雑な 3D 研究のための時間を数時間から数分に短縮します。
参加病院の NVIDIA EGX サーバーは、ローカル データをもとにしてグローバル データのトレーニングを行います。ローカルでのトレーニング結果は、セキュアなリンクを通じてフェデレーション ラーニング サーバーに戻され、共有されます。このアプローチにより、一部のモデル ウエイトだけが共有され、患者の記録は共有されないため、プライバシーが守られフェデレーション平均を通じて新しいグローバル モデルが構築できるようになります。
このプロセスは、AI モデルが求められている正確さを達成するまで繰り返されます。この分散アプローチにより、ディープラーニングでの非常に優れた性能が得られるようになり、同時に患者のデータも外部に見られない安全な状態に保たれます。
先頭ランナーは米国と英国
米国放射線学会、MGH and BWH Center for Clinical Data Science および UCLA Health といった世界の医療大手は、テクノロジの未来を切り開いています。
これらの機関は、医者、患者および施設向けにパーソナライズされた AI を開発しており、医療データ、アプリケーションおよびデバイスが積極的に活用されていますが、患者のプライバシーは保護されなければなりません。
ACR では、医用画像の全国的なプラットフォームとなっている AI-LAB において、NVIDIA Clara FL を先行利用しています。AI-LAB を通じて、ACR の 38,000 人の医用画像メンバーが、安全にAI モデルの構築、共有、導入および検証できるようになります。AI-LAB の利用を希望する医療機関は、Dell や Hewlett Packard Enterprise、Lenovo、Supermicro といったメーカーから発売されている、さまざまな NVIDIA NGC-Ready for Edge システムのいずれも利用することができます。
UCLA Radiology も NVIDIA Clara FL を使い、AI のパワーを放射線科で活用しようとしています。トップレベルのアカデミック メディカル センターである UCLA では、Clara FL の有効性を検証し、将来はカリフォルニア大学のより広範なシステム全体に拡大しようとしています。
ニューイングランドの Partners HealthCare も、NVIDIA Clara FL を使った、新たなイニシアティブを発表しています。MGH and BWH Center for Clinical Data Science はこの活動の先端を切り、Partners HealthCare システムのデータ資産と臨床専門知識を活用しています。
英国では、NVIDIA がロンドン大学キングス カレッジおよび Owkin と提携して、英国国民保健サービスのフェデレーション ラーニング プラットフォームを構築しています。NVIDIA Clara をベースにした Owkin Connect プラットフォームにより、アルゴリズムをある病院間で移動し、ローカル データセットでトレーニングすることができます。それによって、それぞれの病院に、モデルのトレーニングに使用されたすべてのデータセットを確認および追跡するブロックチェーン (分散台帳) が提供されるようになります。
このプロジェクトは当初、ロンドンの 4 つの主要な教育医療機関を接続して、がんや心不全、神経変性疾患といった分野での業務を加速させる AI サービスを提供しており、2020 年には英国の少なくとも 12 の病院にネットワークが拡大する予定になっています。
病院のあらゆるものをスマートにする
センサーの急速な普及に伴い、Stanford Hospital のような医療センターでは、あらゆるシステムをスマートにする取り組みが進められています。センサーをインテリジェントにするには、パワフルで、低電力消費の AI コンピューターをデバイスに搭載する必要があります。
それに対応するために、NVIDIA は、高いデータレートで画像と動画の処理を行える、組み込み型の AI 開発者キットである NVIDIA Clara AGX を発表し、AI 推論と 3D ビジュアライゼーションをポイントオブケアにもたらしました。
NVIDIA AGX は、小型の組み込み式デバイスから、サイドカー システム、フルサイズのサーバーまで拡張可能。
Clara AGXには、自動運転車の制御にも使われているプロセッサー、NVIDIA Xavier SoC が搭載されています。このプロセッサーの消費電力はわずか 10W で、医療機器への組み込みや小型の隣接システムでの作動に適しています。
Clara AGX の完璧な使用例となっているのは、世界最速のポータブル ポイントオブケア MRI システムである Hyperfine です。革命的な Hyperfine システムは、今週のRSNA イベントにおいて NVIDIA ブースで展示されます。
Hyperfine のシステムは、Clara AGX を採用すると期待されている、たくさんの医用器具や外科用機器、患者監視デバイス、スマート医療カメラの最初の採用例の 1 つとなっています。私たちは、AI 対応の医療版モノのインターネットの始まりを目撃しているのです。
アーリーアクセス プログラムを通じて、NVIDIA Clara AGX SDK は間もなく利用可能となります。これには、リアルタイムの超音波検査と内視鏡検査のエッジ コンピューティングという、2 つの一般的な用途のためのリファレンス アプリケーションが含まれます。
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