欠品・過剰在庫は世界の小売業に年間1.8兆ドルの損失【A.T. カーニー】

サイズ別の在庫購入ミスで利益損失は平均最大20%。商品戦略から実行までをつなぐ統合計画が鍵

KEARNEY

A.T. カーニー株式会社(東京都港区、日本代表:針ヶ谷 武文)は、論考『サイズ、スタイル、シーズンが増殖するとき――なぜフットウェア・アパレルの計画は規模拡大で破綻するのか』(英題:When sizes, styles, and seasons multiply: why footwear and apparel planning breaks at scale)を公開しました。

本論考は、欠品と過剰在庫が世界の小売業に毎年1.8兆ドルの損失をもたらし、ファッション業界はとりわけ大きな影響を受けると指摘しています。サイズ別の誤った在庫購入は平均で最大20%の利益損失を招き、ファッション在庫のうち定価で売れるのは約60%、残る40%は値引き販売され、売り切れない場合もあります。

こうした問題の根底には、拡大する品揃えやサイズ構成、短期間のシーズン、制約の多い調達網と、分断された計画手法との構造的不一致があります。本論考は、商品戦略、需要予測、供給計画、在庫判断、実行シグナルをシーズン全体でリアルタイムにつなぎ、変化を継続的に再計算する統合計画への転換を提言しています。

欠品・過剰在庫が世界の小売業に年間1.8兆ドルの損失

欠品と過剰在庫は、世界の小売業に毎年1.8兆ドルの損失をもたらしており、ファッションはとりわけ大きな打撃を受けています。サイズ別の誤った在庫購入は平均で最大20%の利益損失につながります。また、ファッション在庫のうち定価で販売されるのは約60%にとどまり、残る40%は値引き販売され、売り切れない場合もあります。これらの数値は対象範囲が異なるため単純比較はできませんが、計画判断の誤りが粗利率と売上の双方に影響することを示しています。

複雑性はSKU水準で急増します。本論考の事例では、メンズ、ウィメンズ、キッズの各版を持ち、それぞれ12~15サイズ、7色を展開する一つのスニーカースタイルは、チャネル別の違いを考慮する前でも400超のSKUになります。さらに、最低発注数量、工場能力、地域・チャネル別の需要、短い販売期間が重なるため、消費者需要の兆候が現れる何カ月も前に多くの意思決定を確定しなければなりません。

分断された順送り計画では、サイズ・地域・工場制約を同時に扱いきれない

従来型計画では、商品企画がライン計画を需要計画へ渡し、需要計画が予測を供給計画へ、供給計画が発注を調達へ渡すという順送りの引継ぎが行われます。各段階は異なるシステムと前提で動き、上流・下流の制約が十分に可視化されていません。多くのの計画チームは、ライン計画、Excel予測、供給計画、配分で分断されたツールを使い、手作業による突合、版管理、長い計画サイクルに追われています。

フットウェア・アパレルでは、需要をスタイル×色水準で集約し、サイズ水準へ分解し、工場の最低発注数量を満たすために地域需要を再集約した上で、部材や構成部品を管理するために再びサイズ単位へ配分します。受注に応じてサイズ曲線が変われば、需要と供給の双方を再計算する必要があります。統合計画がなければ、この反復はスプレッドシートと手作業に依存し、一部サイズの過剰供給と別サイズの不足につながります。

統合計画は、商品戦略から実行シグナルまでをリアルタイムで接続

高度なアルゴリズムやAI駆動の需要感知は予測精度を大きく改善し得ますが、予測が供給制約、在庫方針、商品企画判断と切り離されたままでは効果は限定的です。本論考が提言する統合計画は、商品戦略、需要予測、供給計画、在庫判断、実行シグナルをシーズン全体でリアルタイムにつなぎ、端から端までの可視性、制約を織り込んだ供給計画、シナリオ・モデリングを組み合わせます。

統合計画は不確実性そのものをなくすものではありません。実際の受注シグナルに応じて、需要、サイズ構成、供給制約を継続的に再調整する運営モデルです。変革は全面的なシステム置換から始めるのではなく、まず判断の整合が失われて粗利リスクが生じる場所を特定し、サービス水準、コスト、運転資本に直結する判断を接続します。その上で、シナリオ・モデリング、需要・供給の同期、共通定義と計画カレンダー、経営支援と規律あるガバナンスを意図的な順序で積み上げていく必要があります。

論考について

論考名:『サイズ、スタイル、シーズンが増殖するとき――なぜフットウェア・アパレルの計画は規模拡大で破綻するのか』(英題:When sizes, styles, and seasons multiply: why footwear and apparel planning breaks at scale)

URL:https://www.jp.kearney.com/issue-papers-perspectives/when-sizes-styles-and-seasons-multiply-why-footwear-and-apparel-planning-breaks-at-scale

 

監修者

福田 稔 シニアパートナー

慶應義塾大学商学部卒業、IESEビジネススクールMBA修了、ノースウェスタン大学ケロッグビジネススクールMBA exchange program修了。電通総研(旧電通国際情報サービス)、欧州系戦略コンサルティングファームを経て、A.T. カーニー入社。消費財・小売プラクティスのAPAC共同リーダーを務める。主にアパレル・繊維、ラグジュアリー、化粧品、小売、飲料、ネットサービスなどのライフスタイル領域を中心に、戦略策定、ブランドマネジメント、GX、DXなどのコンサルティングに従事。上記領域においてプライベートエクイティやスタートアップへの支援経験も豊富。

 

A.T. カーニーについて

A.T. カーニー(グローバル・ブランド名:Kearney)は、100年にわたり世界有数の経営コンサルティングファームとして、Fortune Global 500企業の4分の3以上をはじめ、世界各国の政府機関に信頼されるパートナーであり続けてきました。世界40カ国以上に拠点を展開し、私たちの最大の強みは「人」にあります。インパクト・ファーストを掲げ、独創的な発想と実行力をもって、顧客企業が直面する最も困難な課題に挑み、変革の実現をともに推進します。日本には1972年に進出し、主要産業のリーディングカンパニーに、戦略策定から変革の実行まで一貫した支援を提供しています。

https://www.jp.kearney.com/

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会社概要

A.T. カーニー株式会社

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URL
https://www.jp.kearney.com/
業種
サービス業
本社所在地
東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー23階
電話番号
03-6890-5001
代表者名
針ヶ谷 武文
上場
未上場
資本金
-
設立
1926年09月