「水素細菌によるCO2とH2を原料とする革新的なものづくり技術の開発」を開始-NEDOグリーンイノベーション基金事業で技術開発とオープンイノベーションを加速-

株式会社ダイセル

双日株式会社、一般財団法人電力中央研究所、Green Earth Institute株式会社(GEI)、DIC株式会社、東レ株式会社、株式会社ダイセルは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「グリーンイノベーション基金事業/バイオものづくり技術によるCO₂を直接原料としたカーボンリサイクルの推進」に、「水素細菌によるCO2とH2を原料とする革新的なものづくり技術の開発」のテーマを共同で提案し、実施予定先として採択され、このたびNEDOと契約を締結しました。

【本事業の概要】

 本事業は、CO2とH2から様々な化成品や飼料原料を生産するための技術開発に取り組むものです。CO2を直接原料として物質生産するバイオプロセスは、世界で商用化事例のない新たなものづくり技術であり、カーボンニュートラル社会の実現に向けた選択肢の一つとして期待されています。

 開発対象とする水素細菌※1は、CO2の固定化速度が最も速い微生物の一種とされています。その高いCO2固定化能を活かしつつ遺伝子組換えを施すことで、有用な化成品を高効率で生産する菌株を創製します。生産される化成品は、プラスチック、インクや塗料、繊維、化粧品など、身の回りの様々な用途に使われる原料となります。さらに、化成品の生産プロセスにより副生される菌体の残渣は、近年需要が高まりつつある、飼料の代替タンパク源等へ利用することで、事業の脱炭素価値を一層高めるとともに、食料問題の解決にも寄与します。

 菌体の開発と並行して、段階的なスケールアップによる実証試験を行い、安全性と効率性の高いガス培養手法を確立するとともに、CO2の削減効果を適切に計測し、製品に環境価値を付与します。

 これまで6事業者が培ってきた知見や技術、機能を集結することで、次世代バイオものづくり技術の社会実装を実現させ、脱炭素化ニーズの高まりを捉えた化成品・素材産業の構造転換を推進します。

 


【事業期間】

委託契約期間                 :2023年度~2025年度

総事業期間(予定)        :2023年度~2030年度

 

【総事業費】

約68億円

 

【各機関の役割、実施内容】 

<双日>

 双日は、世界の様々な国と地域に事業を展開する総合商社として、幅広いビジネスの知見を活かし、低炭素社会・循環型社会に即した素材ビジネスを強化しています。

 本事業では、幹事会社としての事業統括に加え、各種製品のマーケティング、実証試験を担います。また、社会実装に必要不可欠となる、原料である水素のインフラ整備や、製品の誘導品開発・高付加価値化を通じてサプライチェーンの構築、事業化を実現します。

 

<電力中央研究所>

 電力中央研究所は、「持続可能で社会に受容されるエネルギーシステム」の実現を2050年に目指す姿と定め、その実現に必要となるテーマの一つとして「資源循環・カーボンリサイクルの確立」を掲げ、CO2の資源化に必要な技術の確立に取り組んでいます。

 本事業では、これまでにない CO2の資源化の実現を目指し、水素細菌の利用に際して基盤となる培養技術の開発に取り組み、安全で効率的なガス利用を可能とするパイロット規模までの培養プロセスの実証を目指します。また、併せてプロセスでの物質生産についてLife Cycle-CO2評価を行い、既存の石化品生産プロセスを代替した場合のCO2削減効果を見積もります。

 

<GEI>

 GEIは、「グリーンテクノロジーを育み、地球と共に歩む」というミッションの実現に向けて、バイオリファイナリーの専業企業として、バイオものづくりのプラットフォーマー企業を目指しています。

 本事業では、水素細菌を使ったバイオプラスチックの原料となるバイオ化学品の生産菌体の開発、水素細菌の培養設備の実証規模へのスケールアップ、実証試験のオペレーションを担当します。

 

 <DIC>

 DICは、グローバルな化学メーカーとしてサステナビリティを重要な経営戦略と位置づけ、“社会の持続的繁栄に貢献する事業ポートフォリオの構築”と“地球環境と社会のサステナビリティ実現に貢献”することを目指しています。

 本事業では、当社が強みとする多彩な基盤技術とバイオ材料設計の技術を生かし、GEI社が開発した菌体を利用したバイオ化学品の生産プロセス開発、および実証試験の実施を担います。水素細菌から得られたサステナブルなバイオ化学品の事業化を通じて、カーボンニュートラル社会の実現に貢献します。

 

<東レ>

 東レでは、サステナビリティ(持続可能性)を21世紀の世界における最重要の共通課題だと考えています。「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」との企業理念の下、パリ協定やSDGsをはじめとする世界的目標の追求のために、全力を尽くしていきます。

 本事業では、東レのバイオ技術を活かし、CO2から直接モノマーを生産可能な水素細菌を開発するとともに、生産プロセス実証を行うことで、CO2から当社製品へのサプライチェーン構築を目指します。

 

<ダイセル>

 ダイセルは創業以来、モノづくりを通じて世の中に貢献する価値を生み出してきました。人々に幸せを提供する価値ある製品を、ヒトや地球にやさしい方法で生産する技術を開発・発展させることで、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。

 本事業では、CO2から化粧品原料を生産するための技術開発及び生産実証を行います。従来の石油由来・ケミカルプロセスからCO2由来・バイオプロセスへ置き換え、さらに精製度の高い製品を提供することで、カーボンニュートラルな社会に貢献します。

 

※1 水素細菌:独立栄養細菌の一種。独立栄養細菌は、藻類(ラン藻)と比較して50~70 倍高い炭素固定能力を持つことから、 CO2の吸収源として有望。独立栄養細菌の中でも水素細菌は、光エネルギーに依存せず、水素の化学エネルギーでCO2を固定できるため、高速・高密度の培養が可能であり、産業化へのポテンシャルも高い。化石資源由来の物質生産と比べて、生産過程におけるCO2排出削減だけでなく、CO2を吸収するダブルの効果により、排出量が大幅に削減される可能性が示唆されている。(経済産業省資料「バイオものづくり技術によるCO2を直接原料としたカーボンリサイクルの推進」プロジェクトの研究開発・社会実装の方向性」から抜粋)

 

グリーンイノベーション基金事業、採択結果に関する詳細は、以下をご確認ください。
バイオものづくり技術によるCO2を直接原料としたカーボンリサイクルの推進 | NEDO グリーンイノベーション基金

https://green-innovation.nedo.go.jp/project/bio-manufacturing-technology/


(ご参考)

【双日株式会社の概要】

名   称

双日株式会社

本社所在地

東京都千代田区内幸町二丁目1番1号

代 表 者

藤本 昌義


【一般財団法人電力中央研究所の概要】

名   称

一般財団法人電力中央研究所

本社所在地

東京都千代田区大手町一丁目6―1

代 表 者

平岩 芳朗


【Green Earth Institute株式会社の概要】

名   称

Green Earth Institute株式会社

本社所在地

東京都新宿区新宿三丁目5-6

代 表 者

伊原 智人


【DIC株式会社の概要】

名   称

DIC株式会社

本社所在地

東京都中央区日本橋三丁目7-20

代 表 者

猪野 薫


【東レ株式会社の概要】

名   称

東レ株式会社

本社所在地

東京都中央区日本橋室町二丁目1-1

代 表 者

大矢 光雄


【株式会社ダイセルの概要】

名   称

株式会社ダイセル

本社所在地

大阪府大阪市北区大深町3―1

代 表 者

小河 義美

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化学その他
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会社概要

URL
https://www.daicel.com/
業種
製造業
本社所在地
大阪市北区大深町3-1 グランフロント大阪タワーB
電話番号
06-7639-7171
代表者名
小河義美
上場
東証1部
資本金
362億7544万円
設立
1919年09月