Sports Force Lab|研究レポート #02 なぜ体育会マネージャーに特徴的な傾向が見られるのか

- 支える側に生まれる非認知能力とは -

株式会社アーシャルデザイン

 株式会社アーシャルデザイン(本社:東京都、代表取締役CEO:小園翔太)は、スポーツの持つ社会的・経済的価値を体系的に研究・発信する機関「Sports Force Lab」と東京大学アメリカンフットボール部ウォリアーズとの共同研究内容の第2回(全6回)を発信します。

当社は「& Sports. More Human.(スポーツを通じて人間の進化を実装する)」をPurposeに掲げ、スポーツの力によって人材・社会・産業の変革を実現することをミッションとしています。

Sports Force Labの目的について

 本Labは、このPurposeを具現化する中核機能として、スポーツが人材育成やキャリア形成、さらには地域社会に与える影響を科学的に解明し、その知見を社会実装へとつなげることを目的としています。

※本研究レポートは、河合塾グループ株式会社KEIアドバンスのPROGによるアセスメント実施協力のもと、作成をしています。
PROGの詳細に関しては、#01の研究レポートをご覧ください。

#01 スポーツは人を変えるのか
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000144.000036999.html

データが示した一つの傾向

 マネージャーって、大変そうだよね。

学生スポーツにおいて、マネージャーという役割には、そんなイメージがつきまとう。荷物を運ぶ。スケジュールを管理する。選手を支える。裏方としてチームを支援する存在。

しかし今回の研究を通じて見えてきたのは、そうしたイメージだけでは捉えきれない姿だった。

まず、数字を見てほしい。

役割

n

コンピ総合

課題発見力

実践力

統率力

全体平均

98

3.81

3.99

3.81

4.01

部長・副部長

6

4.33

3.67

4.50

5.17

マネージャー・主務

7

3.14

4.14

4.29

3.57

学生コーチ

8

3.63

4.88

4.13

4.13

データ分析担当

5

3.60

4.20

4.00

4.60

マーケ・渉外担当

13

4.15

3.69

3.92

3.92

スコアは1〜7点のうちの平均値。

 なお、役割別の比較は各群のn数が限られているため、以下はあくまで参考的な傾向として読む必要がある。そのうえで見ると、マネージャー・主務層は、コンピテンシー総合こそ3.14と全体平均を下回る一方、課題発見力(4.14)と実践力(4.29)では全体平均を上回っていた。

この差は何を意味するのか。今回の結果だけで、支える側の経験が特定の非認知能力を高めたと断定することはできない。ただ少なくとも、支える側として組織運営に関わる経験と、課題発見力や実践力のスコア傾向とのあいだに、何らかの関係がある可能性は考えられる。

階段を整えるという役割

 今回のインタビューで、ある学生がマネージャーの役割を印象的な言葉で表現した。目標に向かって登るための階段を整える存在だと。

スポーツにおいて、注目されやすいのはどうしてもプレーしている側だ。しかし実際の組織運営は、それだけでは成立しない。グラウンド調整、遠征手配、備品管理、予算調整、対外折衝。日々の活動は、目立たない無数の業務によって支えられている。

インタビューを通じて気づいたのは、サポートしているという感覚だけでなく、チーム全体を成立させる責任を負っているという感覚を持つ学生が多いことだった。選手が競技に集中できる環境を作る。理想を現実に落とし込む。やりたいことを、実行可能な形にする。それは単なる支援というよりも、組織を前に進める機能を担っている状態に近いのかもしれない。

チームが回らなくなりかけた夏

 今回のインタビューで、多くの学生が共通して語っていたのが、チーム体制が大きく揺らいだある夏の話だ。

チーム運営を支えていた上級生たちが相次いで離れ、マネージャー組織の人数が大幅に減少した。本来、引き継ぎを受けながら時間をかけて覚えていくはずの業務を、突然引き受けなければならなくなった。しかも、日々の運営は止まらない。このままでは、チームが回らなくなる。そんな空気が、少しずつ広がっていった。

しかし、その状況の中で学生たちは担当範囲を超えて動き始めた。経験がなくても、とにかくやる。足りない部分を補う。周囲を巻き込みながら、少しずつ組織を立て直していく。

印象的だったのは、その経験を苦労話としてではなく、自分の考え方を見直した経験として語っていたことだ。自分の役割をやり切ることが責任だと思っていた。しかし、本当に組織を回すためには、自分の役割の外側にも目を向けなければならない。その視野の広がりが、課題発見力や実践力のスコア傾向と一定の関係を持っている可能性は考えられる。

支える側だからこそ見えるものがあるのか

【課題発見力の形成プロセス(仮説)】

組織全体を動かす責任 → 何が足りないかを常に考える → 問題を早期に発見する習慣 → 課題発見力との関連

スポーツ組織では、理想だけではチームは回らない。遠征費、時間、人数、設備、スケジュール。常に現実が存在する。その中でどうすれば実現できるかを考え続けることが、課題を発見する力や、実行可能な形へ整理する力と関係している可能性がある。

組織が止まらないように考えるという感覚が、マネージャーたちの日常だ。誰かが抜けても回るようにする。問題が起きても対応できるようにする。それは単なるサポートではなく、組織設計に近い視点を含んでいるのかもしれない。

誰かのためなら頑張れた、という変化

 なぜ続けられたのかという問いに対して、多くの学生が人間関係について語った。苦しい時期、辞めたくなった瞬間、チームが崩れそうになった経験。それでも続けた理由として挙がっていたのは、このチームで得られる経験の大きさや、ここで築いた関係性を失いたくないという感覚だった。

スポーツにおいて、誰かのために動く経験は、自分自身の視点に影響を与えていく可能性がある。自分の成果だけでなく、チーム全体を見るようになる。自分が頑張るだけでなく、周囲が動きやすくなるために何が必要かを考えるようになる。その積み重ねが、支える側の非認知能力と関係しているのかもしれない。

裏方は、本当に裏方なのか

 スポーツの世界では、どうしても結果が注目される。得点、勝敗、記録。しかし、その裏側では多くの人が組織を支えている。

今回の研究で見えてきたのは、支える側においても、課題発見力や実践力といった非認知能力に特徴的な傾向が見られる可能性だ。それは単なる優しさではない。課題を発見する力、全体を俯瞰する力、他者を巻き込む力、現実に落とし込む力。そうした、組織を前に進める力に関わる可能性がある。

マネージャーとは、本当に補助役なのか。それとも、チームという組織を成立させる、もう一人の設計者なのか。今回の研究では、その輪郭を考えるうえでの手がかりが少しずつ得られ始めている。

SportsForce Labでは今後も、スポーツが人間形成に与える影響について、定量・定性の両面から研究を続けていく。

東京大学アメリカンフットボール部ウォリアーズについて

1957年創部。

部員180名(選手130名、スタッフ50名)が在籍する、東京大学内最大規模の学生団体。関東学生アメリカンフットボール連盟1部リーグTOP8に所属し、「未来を切り拓くフットボール」という理念、「挑戦 正義 謙虚」という行動規範を掲げ、学生日本一を目指して活動中。2024年度は同率関東3位(順列5位)、2025年度は単独関東4位と、それぞれ惜しくもプレーオフには届かなかったものの、近年は好戦績を残して関東の中でもトップレベルで私立強豪と対峙している。

チームスローガンは「文武一道」、目標は「日本一」。

株式会社KEIアドバンスについて

河合塾グループの一員として、大学入試に関する支援を始め、長年にわたり大学と受験生をつなぐ多様な事業を展開。

現在は、大学広報、学生募集、出願・入試運営支援、教学支援、入学前教育、学修・キャリア支援、調査・研究開発、コンサルティングなどへ領域を広げ、大学を中心とした高等教育機関の課題解決を支援。

現場に寄り添いながら蓄積してきた知見やデータを生かし、大学経営と大学教育を多面的に支え、各大学の魅力向上と持続的な発展、学生一人ひとりのより良い学びの実現に貢献している。

Sports Force Lab 所長 久野晋一郎のコメント

Sports Force Lab 所長|取締役執行役員 久野晋一郎

スポーツにおいて、支える側の経験は人をどう成長させるのか。この問いも、私たちが明らかにしていきたいテーマの一つです。

今回の研究で見えてきたのは、マネージャーや主務という役割が、単なる「サポート」にとどまらない可能性です。

チーム全体を見渡し、何が足りないのかを考え、周囲を巻き込みながら実行に移していく。その経験が、課題発見力や実践力といった非認知能力と深く関わっている可能性が見えてきました。

Sports Force Labは、選手だけでなく、スポーツに関わる多様な役割や経験が生み出す人間的成長を、科学の言葉で社会に翻訳していく挑戦です。

本研究を通じて、スポーツが持つ人材育成の可能性をさらに明らかにしていきます。

【本件に関するお問い合わせ先】

担当者名:久野 晋一郎

電話番号:03-4546-8348

メールアドレス:hisano@a-cial.com

■ 株式会社アーシャルデザインついて

代表者:小園 翔太

所在地:東京都渋谷区神宮前2-4-11 Daiwa神宮前ビル3階

設立:2014年10月

資本金:1億円

会社HP:https://www.a-cial.com/

ATHLETE LIVE:https://athlete-live.com/

YouTube:https://www.youtube.com/@taiikukai_syukatsuTV

代表X:https://twitter.com/sk_acialdesign

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サービス業
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代表者名
小園翔太
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資本金
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設立
2014年10月