欧州データセンター需要は主要5都市以外へ拡大、国境を越えた立地戦略が重要に【A.T. カーニー】

需要特性に応じ、都市圏型、地域横断型、主権対応型、電力主導型へ分化

KEARNEY

A.T. カーニー株式会社(東京都港区、日本代表:針ヶ谷 武文)は、論考「欧州データセンター需要、国境を越えた立地戦略の重要性」(英題:Growth but less concentrated: it’s time to take data center demand beyond Europe’s national borders)を公開しました。本論考は、Kearneyの「Data Center Demand Index」に基づき、欧州のデータセンター需要の広がりと、ワークロードの特性に応じて国境を越えるインフラを配置する考え方を示しています。

2025~2030年の需要成長率スコアは、南欧25.9%、北欧32.8%、中・東欧39%となり、フランクフルト、ロンドン、アムステルダム、パリ、ダブリンから成る欧州の主要データセンター集積地(FLAP-D)の19.5%を上回ります。一方、Indexスコアの増加幅ではドイツ、英国、フランスが引き続き需要を牽引し、3カ国で増加分全体の32.1%を占めます。本論考は、欧州のデータセンター市場を国別ランキングとして捉えるのではなく、メトロ・ローカル(都市圏型)、リージョナル・ポータブル(地域横断型)、ソブリン・ローカル(主権対応型)、電力主導という、相互補完的な4つの立地類型のネットワークとして捉えることを提案しています。

 

需要成長率スコアは中・東欧39%、FLAP-D主要市場は19.5%

Data Center Demand Indexは、欧州19カ国における需要の伸びを、デジタル活動、企業による関連ハードウェア・サービス支出、クラウド導入、AIの進展、市場の厚みから評価しています。2025~2030年の需要成長率スコアは、南欧25.9%、北欧32.8%、中・東欧39%となり、FLAP-D主要5都市の19.5%を上回ります。需要の成長が従来の中核市場の外へ広がる一方、ドイツ、英国、フランスのスコアはそれぞれ2倍超となり、3カ国でIndexポイント増加分全体の32.1%を占めます。

地域ごとの成長の質も異なります。南欧4カ国(イタリア、スペイン、ギリシャ、ポルトガル)は、合計67.6ポイント、北欧4カ国(デンマーク、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン)は、67.4ポイントの増加が見込まれますが、南欧は小規模な需要基盤から成長が加速する一方、北欧は既に確立された立地基盤を生かし、引き続き需要を拡大するとみられます。また、チェコ、ハンガリー、ポーランドの3カ国の合計スコアは、11.7から60.7へ上昇し、クラウド導入を軸とする選択的な機会が広がっていることを示しています。


AI推論は現在のAIワークロードの80%、2028年に85%へ

AIの導入拡大は、従来よりも高いインフラ要件を持つワークロードを生み出しています。2025年にAIサーバーがデータセンターの電力消費に占めた割合は23~27%で、2030年までに倍増する見込みです。AI関連ワークロードの成長の大半は、学習ではなく推論から生じる可能性が高いとされています。推論はすでにAIワークロードの80%を占めており、2028年には85%に達する見通しです。

インフラ要件は用途によって大きく異なります。1ラック当たりの一般的な所要電力は、AI学習が30~100kW、AI推論が10~30kW、標準的なハイパースケール環境が10~14kWです。レイテンシー、電力密度、可搬性、主権・信頼できる管理、顧客や接続性への近接性の優先順位も、ワークロードごとに変わります。


4つの立地類型で、国境を越えた供給ポートフォリオを設計

本論考は、需要を4つの立地類型に整理しています。メトロ・ローカル(都市圏型)は、低レイテンシーと顧客・相互接続への近接性を重視する類型です。リージョナル・ポータブル(地域横断型)は、コンピューティングへのアクセスとデータ・グラビティ、許容可能なレイテンシーの均衡を重視します。ソブリン・ローカル(主権対応型)は、規制遵守、監査可能性、セキュリティ、データ主権を満たす信頼できる法域と運用管理を重視します。電力主導は、拡張可能で低炭素、かつコスト競争力のある電力を主な立地要因とします。

これらは固定的な区分ではなく、複数の類型にまたがるワークロードもあります。AI学習は電力主導の性格が強い一方、推論は都市圏、地域単位、ソブリン環境に分散し得ます。そのため、欧州の将来市場は国別ランキングではなく、現地にとどめる容量、地域単位で提供する容量、電力主導地域で拡張する容量を組み合わせた、相互補完的なネットワークとして設計する必要があります。



論考について

論考名:『欧州データセンター需要、国境を越えた立地戦略の重要性』
英題:Growth but less concentrated: it’s time to take data center demand beyond Europe’s national borders

URL:https://www.jp.kearney.com/issue-papers-perspectives/growth-but-less-concentrated-it-s-time-to-take-data-center-demand-beyond-europe-s-national-borders

 
監修者
針ヶ谷 武文 日本代表 マネージングディレクタージャパン / シニアパートナー
東京大学教養学部卒業。大手通信会社で営業企画・事業企画・サービス開発を経て、A.T. カーニーに入社。通信・ハイテク・メディア企業を中心に、約20年の超えるコンサルティング経験を有する。事業会社における様々な組織横断での事業推進の経験を下敷きに、デジタルを始めとするトランスフォーメーション、海外事業戦略、新規事業戦略、事業ポートフォリオの再構築、事業ターンアラウンドのテーマを中心に地の足の付いた実効性の高いコンサルティングサービスを提供。

滝 健太郎 シニアパートナー
東京大学経済学部経済学科を卒業後、A.T. カーニーに入社。約10年のコンサルティング経験を有する。通信・金融機関・消費財を中心に、戦略~新規事業・R&D~M&A~マーケ・営業~オペレーション~コスト~人事・組織など、経営に係わる幅広いテーマを手掛け、特に、全社レベルでの大規模デジタルトランスフォーメーションを得意とする。


A.T. カーニーについて

A.T. カーニー(グローバル・ブランド名:Kearney)は、100年にわたり世界有数の経営コンサルティングファームとして、Fortune Global 500企業の4分の3以上をはじめ、世界各国の政府機関に信頼されるパートナーであり続けてきました。世界40カ国以上に拠点を展開し、私たちの最大の強みは「人」にあります。インパクト・ファーストを掲げ、独創的な発想と実行力をもって、顧客企業が直面する最も困難な課題に挑み、変革の実現をともに推進します。日本には1972年に進出し、主要産業のリーディングカンパニーに、戦略策定から変革の実行まで一貫した支援を提供しています。https://www.jp.kearney.com/

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会社概要

A.T. カーニー株式会社

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URL
https://www.jp.kearney.com/
業種
サービス業
本社所在地
東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー23階
電話番号
03-6890-5001
代表者名
針ヶ谷 武文
上場
未上場
資本金
-
設立
1926年09月