ドローンとAI解析ソフトウェアによる「森林調査DXサービス」を提供開始
森林調査の作業負担を軽減し、林業の人手不足解消に大きく貢献

日立システムズ(代表取締役 取締役社長:柴原 節男、本社:東京都品川区/以下、日立システムズ)は、単木単位で森林の情報を可視化する「森林調査DXサービス」の提供を本日から開始します。
本サービスは、ドローンを活用して樹種やサイズ(樹高、胸高直径、立木幹材積*1)、CO2固定量*2などを可視化するサービスです。
本サービスではドローンの他、AI解析ソフトウェアを駆使することで、人が実際に森林に入るよりも、短期間で安全かつ安価に調査することを可能にし、全国の地方公共団体や森林組合などの林業事業体が抱える人手不足などの課題解決に貢献します。また、カーボンニュートラルの実現に向け、長期的な森林管理の計画に寄与できるとともに、将来的に創出できるカーボンクレジット量の推定にも活用が可能です。
*1樹高、胸高直径、立木幹材積:樹木の高さ、およそ胸の高さでの幹の直径、幹の体積。
*2 CO2固定量: 樹木が成長する過程で吸収し、固定する二酸化炭素の量。
■背景
2019年に施行された「森林経営管理法」に基づく森林経営管理制度*3やカーボンニュートラルの推進などに伴い、適切に整備されていない森林への間伐や保全活動が活発化しています。日本は2050年カーボンニュートラルの実現を公約に掲げており、その実現のためには、「カーボンクレジット*4」の活用が不可欠です。昨今では森林由来のカーボンクレジットが着目されていますが、その創出のためには長期的な森林管理を計画する必要があります。
森林調査はその準備作業として多くの場所で必要とされていますが、人が立ち入る調査には大きな労力、時間、コストがかかり、傾斜地では転倒や滑落の危険性もあります。さらに日本の林業事業体は高齢化と人手不足という深刻な問題を抱えており、素早く、安全かつ安価に森林調査を行う方法が強く求められています。
*3 森林経営管理制度:手入れの行き届いていない森林について、市町村が森林所有者から経営管理の委託(経営管理権の設定)を受け、林業経営に適した森林は地域の林業経営者に再委託するとともに、林業経営に適さない森林は市町村が公的に管理(市町村森林経営管理事業)をする制度。
*4 カーボンクレジット:企業等が省エネルギー機器導入や森林の保護・植林などを行うことで生まれたCO2などの温室効果ガスの削減効果(削減量、吸収量)をクレジット(排出権)として発行し、他の企業などとの間で取り引きできるようにする仕組み。
■実証実験について
本サービスの提供に先立ち、宮城県女川町や北海道芦別市などで実証実験を行いました。宮城県女川町では人が立ち入る調査で19人日ほど森林調査に時間がかかる場所でも、ドローンとAI解析ソフトウェアを活用すると、わずか4人日程度で調査可能で、業務工数の約8割削減が確認されました。また北海道芦別市では、本州の主要な人工林であるスギやヒノキ以外の樹種においても、9割以上の精度で樹種識別できることが確認されました。本サービスによって取得できる森林情報は、長期的な森林管理の計画に寄与するとともに、将来的に創出できるカーボンクレジット量の推定にも活用できることが分かっています。
■サービスの概要と特長
本サービスでは、これまで森林組合との協業により林業現場を熟知している日立システムズが持つ森林調査のドローン活用やデータ加工、解析に関する専門知識・ノウハウを活用して、調査時間の短縮やそれに伴う人的コストの削減、森林情報可視化による森林所有者への施業提案の容易化などが期待できます。
特長①〔解析〕:森林内に入らずに安全に高い精度で植生状態を解析
単木単位で樹種やサイズ(樹高、胸高直径、立木幹材積)、CO2固定量を推定できます。現地情報を一部入力することで主要な人工林ではない樹種にも対応可能なほか、林地の材積生産力を示す「地位」の特定作業にも活用できます。

特長②〔ワンストップでのサービス提供〕:解析だけではなく、ドローン測量も含めてサービス提供が可能
森林の解析作業だけではなく、お客さまのご要望に合わせてドローン測量も含めたワンストップでのサービス提供が可能です。写真測量だけではなく、LiDAR*5を利用したドローンレーザー測量にも対応しており、森林内の作業道や微地形なども捉えた高解像度な地形図の提供や、J-クレジット制度におけるモニタリングに活用できる解析が可能です。
*5 LiDAR:レーザー光を照射し、その反射光が戻ってくる時間の情報をもとに、対象物までの距離や形などを計測する技術。J-クレジット申請のためにドローンを活用する場合は、LiDAR搭載ドローンを活用する必要がある。

なお、AI解析ソフトウェアを提供する、DeepForest Technologies 株式会社(代表取締役:大西 信德、本社:京都府京都市/以下、DeepForest Technologies)は、3月12日に日立システムズと最上位の特約店として提携契約を結びました。DeepForest Technologiesの高度な技術と、お客さまの現場に寄り添ってきた日立システムズの豊富な経験や実績を融合させ、全国の地方公共団体や森林組合などの林業事業体の課題解決に取り組んでいきます。
■今後の展開
日立システムズは全国約300拠点のネットワークを活用し、地方公共団体や森林組合などの林業事業体を中心に、日本全国の地域森林の保護に取り組む企業や団体へのサービス提供を行ってまいります。また、本サービスの技術を活用し、カーボンクレジット創出から取り引きまでの支援や海外展開をめざし、サービス内容の拡充を行っていく予定です。
本サービスの提供とともに、カーボンクレジット創出をはじめとした持続可能な森林経営の実現を支援することにより、国土の約7割を森林が占める日本の林業の活性化、ひいては地域活性化およびネイチャーポジティブへの貢献に取り組んでいきます。
■森林調査DXサービスのWebサイト
https://www.hitachi-systems.com/solution/s0312/fsdx/index.html
■〔動画〕森林経営の手間を減らし、脱炭素をめざす【日立システムズの技術×森林組合の取り組み】
~Sustainability Action~(本動画の公開期間は1年間です)
■関連するニュースリリース
ドローンとAI解析ソフトウェアを活用した森林調査のDXに関する実証実験を実施
https://www.hitachi-systems.com/news/2024/20240226.html
■DeepForest Technologiesについて
AI を用いて森林の樹木を識別する世界初の新技術を、林業や炭素吸収量の推定、生物多様性保全、環境問題などの社会問題に活かすため、2022 年に創設された京都大学発スタートアップ企業です。「DF Scanner」「DF LAT」を主軸とし、ニーズに合わせたドローン計測からの解析対応や航空機センサーの計測・解析、衛星解析への拡充、 J-クレジット申請用データ取得までワンストップでサービス展開しています。
詳細は https://deepforest-tech.co.jp/ をご覧ください。
■日立システムズについて
日立システムズは、強みであるさまざまな業種の課題解決で培ってきたお客さまの業務知識やノウハウを持つ人財が、日立グループ各社やビジネスパートナーと連携し、One HitachiでLumada事業を中心に展開することにより、お客さまのデジタル変革を徹底的にサポート。日立グループのサステナビリティ戦略の下、環境・社会・企業統治を考慮した経営を推進することで、国連が定める持続可能な開発目標SDGsの課題解決に向けた価値を創出し、企業理念に掲げる「真に豊かな社会の実現に貢献」してまいります。
詳細は https://www.hitachi-systems.com/ をご覧ください。
■お客さまからのお問い合わせ先
株式会社日立システムズ お問い合わせWebフォーム
https://www.hitachi-systems.com/form/contactus.html
以上
*記載の会社名、製品名はそれぞれの会社の商標または登録商標です
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