東京・西麻布【WALL_alternative】やんツー 個展「Homage to NewYork」会期延長決定
最終日7月5日(土)にはやんツーがニューヨーク滞在期間に交流を深めたACC同期の3名の現代アーティストの映像作品を放映する「ART FILM PROGRAM」の開催も
エイベックス・クリエイター・エージェンシー株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:加藤信介、以下:ACA)が運営するオルタナティヴ・スペース【WALL_alternative】にて開催中の展覧会、やんツー個展「Homage to NewYork」の会期延長が決定しました。
また、最終日7月5日(土)にはやんツーがニューヨークで交流を深めたACC同期の3名の現代アーティストZhang Xu Zhan、Yu Cheng-ta、Yan Wai Yinの映像を放映する「ART FILM PROGRAM」も開催します。(申込はこちら:https://forms.gle/yyZVNt2JxbuTxcEE6 )

本展では、昨年ACC(アジアン・カルチュラル・カウンシル)の助成を受けてニューヨークやその他アメリカ各所で半年間リサーチを行ったやんツーがその経験を元にして新作を制作し展覧会を構成しています。
ニューヨーク滞在中の記録写真をコラージュした大型作品《Homage to United States of America》を、幅7メートルの壁面いっぱいに展示。新作《Slow 4DW – A Defective Track》では、T社の某トラックを模した車両が、会場を囲む全長15メートルのコースをゆっくりと走行し、リトファンの手法で制作した滞在中の記録写真の像を浮かび上がらせます。さらに、現地で録音した音や端材を用いたサウンド作品《Homage Generator》、E.A.T.創設メンバーであるジュリー・マーティンへのインタビュー映像を含む作品も展示しています。

展覧会期間中には「ART FILM PROGRAM」の他にトークイベントも開催。6月28日(土)には、滞在中のリサーチの一環として参加した日本山妙法寺が主宰する核エネルギーへの反対活動の一貫として行っている「PEACE WALK」について日本山妙法寺の僧尼・矢向由季氏と振り返るトークセッションを予定しています。
( お申し込みはこちら:https://forms.gle/uSWkKHF2TmWi7ov79 )
また、併設のバーではニューヨーク滞在期間にブルワリー巡りをして見つけたビールや、やんツーが兼ねてから親交の深い茅ヶ崎のブルワリー「Passific Brewing」のビールを提供するほか、本展に合わせた限定フード「PULPRISM SLIDER BURGER」やオリジナルのポップコーンも提供しています。
なお、各イベント当日にはアーティストも在廊予定ですので是非ご来場ください。
作家ステートメント
アジアンカルチュラルカウンシル(ACC)のニューヨークフェローシップ助成によって、昨年ニューヨークを拠点としてアメリカに6か月滞在した。その滞在中にiPhoneで撮影した日々の写真の中から6か月間を象徴する写真を6枚選び、壁のサイズに合うよう強引に引き伸ばしてA4サイズに分割したデータを普通紙プリントし、膨大な枚数の紙をウィートペースト(小麦で糊をDIYするストリートアートの手法)で一枚ずつ貼り付けた。プロッターによって上から白のポスカで描かれたドローイングは、写真に関連する記号や印象に残っている言葉だ。
E.A.T.のメンバー、ジュリー・マーティンに連れられて訪れたベル研究所、そこで見た世界初のトランジスタは現行のものと比べるととても大きいけど神々しく、当時はこの発明によってブレイクスルーが起き、それが様々な分野に影響を及ぼしたし、1970年の大阪万博のペプシ館のテクノロジーを支えるものにもなったとジュリーは語っていた。ACC同期の友人の知らせで初めて参加したパレスチナ問題のプロテストではうまく声を上げられない自分に苛立った。選挙期間中にマンハッタンの土産屋で目にした劇的な瞬間を切り取ったトランプTシャツは、ドラマチックなイメージとは裏腹に、彼の言動のチープさがそのままお土産という安っぽいプロダクトに落とし込まれていて、見れば見るほどよく出来た光景だと思う。アメリカの独立時に建てられたワシントン記念塔の崇高さは言うまでもなく、一方でその足元に転がるようにアメリカの都市ではブルーカラー、あるいはホームレスらしき人がどこでも横たわっている。全く予定していなかったけど、ひょんなことから参加した「Peace Walk」は、アリゾナで日本人尼僧やネイティブアメリカンの人たちとハバスパイ族の聖地を目指して、5日間念仏を唱えながら核のない世界を祈りひたすらに歩くというマッシブなイベントで、強烈な経験であり、得難い体験になった。
T社の某トラックを模したモルタル製の鈍速ミニ四駆は、巨大なイメージ上を横切りながら3Dプリントした写真に灯りをともし、ゆっくりとバー空間を周回する。ミニマルで屈強な見た目とは裏腹に、走行中に外装パネルが脱落するなど様々な欠陥が発覚して現在リコール対象になっている某トラック。当企業の社長でトランプ政権下のDOGEの要職に就任したイーロン・マスクだが、各地でT社製品不買運動が起き、現在マスクはDOGEを離脱している。ともあれ、そんなトラックが日常的に走っていたニューヨークの街の光景が記憶に残っている。
スイスのキネティック・アートの巨匠、ジャン・ティンゲリーが1960年、MoMAのスカルプチャーガーデンでビリー・クルーヴァーの協力のもと制作、発表した「Homage to New York(ニューヨーク讃歌)」はパフォーマティブな大型キネティック彫刻で、「讃歌」としながらも最終的には炎を上げて自壊していく皮肉めいた作品だ。帰国後に正式に大統領に就任したドナルド・トランプは目まぐるしくあらゆる政策を展開し続けているが、日本から見る今のアメリカという国そのものが、自ら瓦解していくティンゲリー作品のように見えてならない。
やんツー
やんツー / yang02

1984年、神奈川県生まれ。美術家。先端テクノロジーが組み込まれた既成品や動力装置、廃品、あるいは既存の情報システムなどを誤用/転用/ハッキングする形で組み合わせ、平面や立体、インスタレーション、パフォーマンスといった形式で作品を発表している。テクノロジーによって無意識化/隠蔽される政治性や特権性について考察する。文化庁メディア芸術祭アート部門にて第15回で新人賞(2012)、同じく第21回で優秀賞(2018)を受賞。TERRADA ART AWARD 2023 ファイナリスト寺瀬由紀賞。ACCニューヨーク・フェローシップ(2023)にて6ヶ月渡米。近年の主な展覧会に、「MOTアニュアル2023」(東京都現代美術館、東京、2023)、「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」(森美術館、東京、2022)、「遠い誰か、ことのありか」(SCARTS、札幌、2021)、「DOMANI・明日展」(国立新美術館、東京、2018)、あいちトリエンナーレ2016(愛知県美術館)などがある。また、contact Gonzoとのパフォーマンス作品や、和田ながら演出による演劇作品発表など、他分野とのコラボレーションも多数。
Instagram:https://www.instagram.com/yang02/
【EVENT】
■6月28日(土) TALK EVENT「NO NUKES Studies」
出演者:やんツー、矢向由季
時間:17:00-18:00
※事前申込制/入場無料
会場:WALL_alternative(東京都港区西麻布4-2-4 1F)
お申し込みURL:https://forms.gle/uSWkKHF2TmWi7ov79
<登壇者プロフィール>
矢向由季 / Yuki Yako|日本山妙法寺僧侶

1975年生まれ
インド・ネパール・ケニア一人旅
「LongWalkForTheBigMountain」参加
2002年日本山妙法寺で出家得度
成田平和仏舎利塔を護持。
成田道場を拠点に仏事(平和行進等)に修養
■7月5日(土) 「ART FILM PROGRAM」
出展者:やんツー、Zhang Xu Zhan、Yu Cheng-ta、Yan Wai Yin
時間:18:00-19:00
※事前申込制/入場無料
会場:WALL_alternative(東京都港区西麻布4-2-4 1F)
お申し込みURL:https://forms.gle/yyZVNt2JxbuTxcEE6
<アーティストプロフィール>
Zhang Xu Zhan

1988年生まれ
新荘(シンジュアン)の100年続く伝統的な紙細工職人の家系出身で、現代アーティスト/映像作家として活動しています。
実家である「新新紙舖(Hsin Hsin Paper Offering Store)」は、紙の人形や動物、家など、宗教儀式や葬儀で用いられる紙細工を専門に製作しています。Zhang Xu Zhanはこの伝統的な素材を新たな創造の要素へと昇華させ、自身の視覚的言語を生み出しています。
彼は、映像体験を現代美術の文脈へ拡張する試みを続けており、2021年にはドイツ銀行「アーティスト・オブ・ザ・イヤー」を受賞。アニメーションや映像作品は同機関のコレクションにも収蔵されています。個展としては、台北市立美術館およびイルハム・ギャラリーにて《Jungle Jungle》を開催。
彼の映像作品《Compound Eyes of Tropical》(2022)は、ゴールデン・ホース・アワード(金馬奨)の短編アニメ賞を受賞したほか、DOK-Leipzig Mephisto 97.6-Audience Award(2023年)、ザグレブ国際アニメーション映画祭(2022年)では審査員特別賞を受賞しました。
2024年には、ひろしまアニメーションシーズンにて「虚構世界」賞も受賞しています。
Instagram:https://www.instagram.com/zhangxu_zhan/
Yu Cheng-ta

台北(台湾)在住。
彼の作品は、被写体や観客との言葉によるコミュニケーションを遊び心たっぷりに取り入れることで、「ライフ・シアター(人生劇場)」というコンセプトを生み出しています。これは、現実の日常生活の状況を意図的に撮影シーンとして演出する手法です。2017年以降は、マスメディアにおけるジェンダーの演技性(パフォーマー)を探求しながら、個人および集団のアイデンティティ、そしてメディア化社会におけるクィアな想像力の政治的機能について思考を深めています。
2008年に台北芸術賞、2014年には、台北市立美術館で個展「Practicing LIVE」を開催。2016年には光州市立美術館およびパリのポンピドゥー・センターで展示。映像作品《Tell Me What You Want》(2015–2017)は、2018年にパリのポンピドゥー・センターおよびコペンハーゲンのクンストハル・シャーロッテンボーで発表されました。2019年には、ニューヨークのPerforma 19 ビエンナーレに参加し、キャラクター《FAMEME》を創作しました。
今回上映する作品の《FAMEME》は、Yu Cheng-taが2019年のPerforma Biennialのために制作したキャラクターです。このプロジェクトは、リアリティ番組の視覚的・物語的言語を巧みに用いたライブパフォーマンスと映像パフォーマンスを通して、欧米のソーシャルメディアにおける「インフルエンサー」という文化的現象、そしてセレブリティやフードトレンドを探求します。
彼はドリアンをトレンドのライフスタイル・アイコンとして広めるセレブリティであり、起業家、デザイナー、そしてシンガーでもあります。彼は、ニューヨークの「Museum of Durian」、ソウルの「Durian Exercise Room」、台北の「Durian Pharmaceutical」など、複数のドリアン関連企業を立ち上げました。
その活動は世界各地に広がり、音楽やファッションにも展開しています。最近では、「Rub a Dub Charlie’s Angel in the Tub」や「Fancy Fantasy」といったシングルをリリースし、ストリートウェアブランド「Durian Duty To Be Free」の立ち上げにも取り組んでいます。
Instagram:
https://www.instagram.com/famemenyc/
https://www.instagram.com/yuchengta/
Yan Wai Yin

1994年生まれ。
香港とロンドンを拠点に活動するアーティストです。映像、写真、マルチメディア・インスタレーションを横断する表現を行い、都市空間やインフラの変容を観察することで、人々の体験と歴史的痕跡との交差を解き明かし、探求しています。場所とアイデンティティの間にある多層的な関係性に意識を傾けながら制作を行っています。
Yan Wai Yinの映像作品《Localized Blindness》(2019)は、第20回南台湾映画祭にて最優秀実験映像賞を受賞。その後《Tugging Diary》(2020)は、高雄映画祭(台湾)およびパリ実験映画祭(Festival des Cinémas Différents et Expérimentaux de Paris)で評価を受けました。
また2023年には、アジアン・カルチュラル・カウンシル(ACC)より2024年度のニューヨーク・フェローシップに選出。
主な個展に、《Too Long Ago, Not Far》(Floating Projects、2023年)、《Black Bird, Frost Flower and Pink Falling Stars》(RNH Space、2021年)など。ソロプレゼンテーションとしては、Duddell's(香港)、Tai Kwun Contemporary(香港)、deArt Centre(北京)、DAC.Taipei Digital Art Centre(台湾)など。
近年の主な展覧会・上映歴には、香港アジアン映画祭、M+美術館、Blindspot Gallery、Ben Brown Gallery(香港)、Urs Meile Gallery(北京)、イェール大学(米国)、ボン美術館、欧州メディアアートフェスティバル(ドイツ)、Open City ドキュメンタリーフェスティバル(英国)、ロッテルダム国際映画祭(オランダ)、Videoex(スイス)、イメージフォーラム(日本)、EXiS(韓国)、TIVA-ANIMA(台湾)など多数。
Instagram:https://www.instagram.com/yanwaiw/
【SPECIAL MENUについて】
Craft Beer

好評につき、開始2週間以内で完売となった
やんツーセレクションのクラフトビールを提供します。
※写真の内容とは変更がございます。詳細は現地スタッフにてお聞きください
Passific Brewing

“海を越え、山を越え、ビールと旅するブルワリー”
湘南を拠点に、農や人を通して地方との繋がりを大切にし、それらが一つになるようなビールを造り続けます。
WALL_alternative ORIGINAL MENU

・PULPRISM SLIDER BURGER(2P)
西麻布にかつて存在したPORK BURGER専門店。PULPLISMとはオリジナルの造語であり、「PULP」は1920~40年代の大衆向け娯楽雑誌”パルプマガジン”からインスパイアされています。「LISM」は日々の生活リズム、ライフスタイルを意味しており誰かの何気ない食生活の中にも娯楽を与えられる存在でありたい。そんな想いからパルプリズムは誕生しました。
・POPCORN CURRY BUTTER / TRUFFLE SALT
・HAPPY SET
ハッピーセットとして、PULPLISM SLIDER BURGER(2P)、SPICY POPCORN、BEERの3点セットも限定でご用意!
【展示概要】
やんツー 個展「Homage to NewYork」
会期:2025年6月4日(水) - 7月5日(土)
※日曜定休
時間:18:00-24:00
会場:WALL_alternative(東京都港区西麻布4-2-4 1F)
入場:無料・予約不要
HP URL: https://avex.jp/wall/exhibition/586
企画:吉田山、WALL_alternative
主催:WALL_alternative
【WALL_alternative概要】
営業時間:18:00-24:00 ※日曜定休
住所:東京都港区西麻布4-2-4 1F
Instagram:https://instagram.com/wall_alternative
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