大手企業との取引で高まるSOC 2の必要性。SaaS・AI・フィンテック企業へのヒアリングで見えた「信頼証明」のあり方
取引先からの要求増加、セキュリティ説明負荷、内部統制整備。業種横断9社の声から、SOC 2対応が現実的な選択肢になり始めている理由を整理
SecureNavi株式会社(本社:東京都港区、代表取締役CEO:井崎 友博)は、SaaS・AI・フィンテックなど業種横断の企業がSOC 2対応を開始した背景と現場の実態を把握するため、「Fit&Gap」活用企業へのヒアリングを実施し、その結果を公開します。
今回のヒアリングから見えてきたのは、SOC 2対応が単なるレポート受領のための取り組みではなく、大手企業・金融機関との取引において、自社のセキュリティ体制を説明するための実務上の要件になり始めているという実態です。取引先からSOC 2対応状況を確認される機会の増加、商談時のセキュリティ説明負荷、競争環境の変化を背景に、SOC 2対応は「守りのセキュリティ対応」から「取引機会を広げるための信頼基盤」へと位置づけが変わりつつあります。
一方、これまでSOC 2対応は費用・工数・専門知識の面でハードルが高く、一部の企業に限られた取り組みになりがちでした。今回のヒアリングでは、そうした状況が変化しつつある実態も浮かび上がっています。
各社ごとの取材記事はこちら:https://fitgap.jp/fg_news/lists

ヒアリング概要
調査名称:SOC 2対応に関する実態ヒアリング
調査方法:Webアンケート
有効回答数:9
調査対象:Fit&Gapを活用し、SOC 2 Type 1レポート受領に向けた対応を開始した企業のセキュリティ部門担当者
調査期間:2026年5月
備考:回答内容は、個社が特定されない形で一部編集・要約しています。
ヒアリングから見えた5つのテーマ
1. 大手企業・金融機関との取引においてSOC 2対応状況を確認される機会が増えている
複数の企業から、大手企業・金融機関との取引において、SOC 2対応状況を確認される機会が増えているという声が寄せられました。ISMSや個別のセキュリティチェックシートで対応してきた企業でも、取引先からより具体的なセキュリティ管理体制の説明を求められる場面が増えています。
特に、法人向けクラウドサービスやAI活用型プロダクトを提供する企業では、機能や価格だけでなく、取引先に対して「どのような管理体制でサービスを運用しているか」を説明できることが、商談・取引における重要な要素になりつつあります。
企業の声:
・大手企業を中心に、取引先からSOC 2対応状況を確認される機会が増えており、
セキュリティ体制をより適切に説明できる状態を整える必要性を感じていました。
・大手企業や金融機関等との取引を進める中で、セキュリティ要求への対応と、その内容を適切に説明できる体制づくりが重要になっています。
・エンタープライズ企業との取引を進めるうえで、セキュリティ要求に応えるため、自社の管理体制を適切に説明できる状態を整える必要がありました。
2. セキュリティ体制を「説明できること」が、商談上の重要要素になりつつある
SOC 2対応を開始した企業の声からは、セキュリティ体制そのものを整備するだけでなく、それを取引先に対して説明できる状態にすることの重要性が高まっていることが見えてきます。特に大手企業との取引では、サービスの機能や価格だけでなく、どのような統制のもとでサービスが運用されているか、証跡をどう管理しているか、セキュリティ体制をどう維持しているかを説明することが求められます。
SOC 2対応は、こうしたセキュリティ体制の説明力を高め、取引先からの信頼を得るための手段として位置づけられ始めています。
企業の声:
・セキュリティ体制を顧客に説明できる形に整え、説明コストを削減するとともに、グローバル水準の第三者保証レポートの取得を通じて、競合企業との差別化につなげたいと考えています。
・SOC 2対応を通じて、自社サービスの実際のセキュリティレベルを高めるとともに、胸を張って説明できる状態を整えていきたいです。
・取引先への説明負荷を軽減し、セキュリティ体制を適切に示せる状態を整える必要がありました。
3. 個別セキュリティチェック対応の負荷を、SOC 2で減らしたいという期待
SOC 2対応を開始した背景として多く挙げられたのが、取引先ごとの個別セキュリティチェックへの対応負荷です。企業ごとに異なるセキュリティチェックシートへの回答や、都度発生する確認対応は、受注側にとって大きな負担です。また、発注側にとっても、個別確認を繰り返すことは双方にとって非効率な状況が生まれています。
今回のヒアリングでは、SOC 2が広がることで、細かな確認を都度繰り返すのではなく、共通基準にもとづいて信頼性を確認できる環境になることを期待する声が複数寄せられました。
企業の声:
・SOC 2対応を通じて、新規取引先への説明負荷を軽減しながら、内部統制の強化にもつなげていきたいと考えています。
・SOC 2対応を通じて、内部統制や証跡管理を体系的に整備し、取引先への説明負荷を軽減していきたいと考えています。
・今後、SOC 2の認知が広がることで、個社別のセキュリティチェックシート対応にかかる工数が軽減されることも期待しています。
・将来的には、SOC 2が発注側・受注側の双方にとって、無駄な確認工数の削減につながることを期待しています。
4. 内部統制・証跡管理・運用実態を説明する手段としてSOC 2に期待
SOC 2対応を通じて整備・強化したい内容として多く挙げられたのは、内部統制、証跡管理、セキュリティ体制の可視化、取引先への説明力向上です。一部の企業からは、ISMSだけでは説明しきれない運用実態や統制状況を、SOC 2によってより具体的に示したいという声が寄せられました。
SOC 2は、外部向けの説明手段であると同時に、社内の統制や運用を見直し、サービスのセキュリティの実態を高めるきっかけとしても期待されています。
企業の声:
・SOC 2対応を通じて、ISMSだけでは見えにくい運用実態や統制状況を整理し、顧客への説明コスト削減と信頼性向上につなげていきたいと考えています。
・SOC 2対応を通じて、内部統制の強化とセキュリティ体制の可視化を進め、信頼性の高い情報管理体制を構築していきたいと考えています。
・SOC 2は、サービス運用の実態に踏み込んで説明しやすい基準であり、対応には一定の負荷がある一方で、サービスのセキュリティレベルを高めるうえでは取り組む価値が大きいと感じています。
5. SOC 2対応への関心は、SaaS企業に加え、AI・セキュリティ・SaaS基盤領域にも現れ始めている
これまで国内では、SOC 2対応は一部の企業に限られた取り組みと見られがちでした。しかし、今回のヒアリングでは、一般的なSaaS企業に加え、AI活用型プロダクト、セキュリティ関連サービス、SaaSベンダーを支える基盤サービスなど、複数の領域でSOC 2対応への関心が現れ始めていることが確認されました。
こうした変化は、これまでSOC 2への関心が一部に限られていたSaaS企業の間で、より認識を深めるとともに、AI活用型プロダクトやセキュリティ関連サービス、SaaSの基盤を支えるサービスなど、より幅広い領域にも波及し始めています。
AI活用型プロダクトでは、データの取り扱いやシステム利用に関する説明責任が重要になります。また、セキュリティ関連サービスやSaaSの裏側を支えるサービスでは、自社のセキュリティ水準を説明できることが、顧客企業の信頼にも直結します。
つまり、SOC 2対応は、従来から広く普及していたものが周辺領域に拡大しているというよりも、SaaS、AI、フィンテックなど、業種・サービス領域を越えて現実的な検討対象になり始めている段階だと考えられます。
企業の声:
・AI活用が進むほど、セキュリティリスクへの対応や説明責任はより重要になると考えています。ISMSだけでなくSOC 2にも取り組む企業が増えることで、AIサービスを含むデジタルサービス全体の信頼性向上につながることを期待しています。
・セキュリティサービスを提供する企業として、自社の管理体制を体系的に整理し、取引先への説明負荷軽減と信頼性向上につなげていきたいと考えています。
・当社はSaaSベンダーを支えるサービスを提供しているため、自社SaaSのセキュリティを顧客に説明する際、その裏側を支える当社サービスにも高いセキュリティ水準が求められます。
まとめ|SOC 2は、企業間取引における共通言語になり得る
今回のヒアリングでは、SOC 2に取り組む企業が増えることで、業界全体のセキュリティ水準向上や、企業間取引における信頼性向上を期待する声が多く寄せられました。特に、SOC 2があることで、発注側・受注側が細かな確認を都度繰り返すのではなく、共通基準にもとづいて合理的に信頼性を確認できる環境への期待が多く見られました。
SecureNavi株式会社 Fit&Gap・SOC2 コンサルタント 青野 稚子コメント
SOC 2対応は、これまで一部の企業にとって必要な取り組みと見られがちでした。しかし、今回のヒアリングからは、大手企業との取引、商談時のセキュリティ説明、個別セキュリティチェックへの対応、内部統制の整備や証跡管理を背景に、国内のSaaS・AI・フィンテックなどの企業にとっても現実的な経営課題として、SOC 2対応が検討され始めていることが明らかになりました。
一方で、SOC 2対応は費用や工数、専門知識の面でハードルが高く、必要性を感じていても着手しづらいという課題がありました。Fit&Gapでは、SOC 2対応の初期段階でつまずきやすい要件整理、内部統制の整備、証跡管理の準備を支援することで、企業がSOC 2対応を現実的に開始できる環境づくりを進めています。
私たちは、SOC 2対応を一部の企業だけの高額な個別プロジェクトに留めず、より多くの企業が取り組める標準的な選択肢にしていきたいと考えています。SOC 2が発注側・受注側双方にとって信頼性を確認する共通言語となり、企業間取引における無駄な確認工数の削減と、業界全体のセキュリティ水準向上につながることを目指してまいります。
青野 稚子
大手監査法人等でSOC 2・ISMS・ISMAPなどのセキュリティ保証/認証領域に携わった後、SecureNaviに参画。現在は、SOC 2対応支援クラウド「Fit&Gap」において、国内企業のSOC 2対応支援を担当。SOC 2対応の背景や、Fit&Gapが目指すSOC 2対応のあり方については、Fit&Gap SOC2 コンサルタントのnoteでも発信しています。
https://note.com/ao_n_o
SOC 2レポートについて
SOC 2レポートは、クラウドサービスやSaaS企業などが提供するサービスにおいて、セキュリティ、可用性、機密保持などに関する内部統制の整備状況や運用状況を第三者が保証する保証報告書です。
近年、国内外の企業間取引において、サービス提供企業に対してSOC 2レポートの提示や対応状況の説明を求める場面が増えています。
なぜ今、SOC 2対応が現実的な選択肢になり始めているのか
今回のヒアリングからは、SOC 2対応へのニーズ自体は以前から存在していた一方で、費用・工数・専門知識の面で着手しづらかったという声が聞かれました。こうした状況が変化し始めた背景には、大手企業・金融機関との取引における要求の高まりがあります。セキュリティ体制の説明が「あれば望ましい」ではなく「ないと商談が進まない」局面が生まれていることが、対応を後押しする現実的な動機になっていると考えられます。
各社ごとの取材記事はこちら
https://fitgap.jp/fg_news/lists
Fit&Gapについて
Fit&Gapは、SOC 2やISMAPなどのセキュリティ基準・制度への対応を効率化するクラウドプラットフォームです。SOC 2対応に必要となる社内規程、内部統制、証跡をクラウド上で一元管理し、監査準備から監査対応までのプロセスを効率化します。
Fit&Gap公式ページ:https://fitgap.jp/soc2
SOC 2関連セミナー
SOC 2の基礎、対応の進め方、Fit&Gapを活用した具体的な対応方法について、無料セミナーを開催しています。アーカイブ動画もご覧いただけます。
https://fitgap.jp/seminar/lists
SOC 2お役立ち資料
SOC 2の基本解説や、対応開始時に確認すべきポイントをまとめた資料を公開しています。
https://fitgap.jp/document/lists
SecureNavi株式会社について
Vision:文系のセキュリティの悲報を、テクノロジーでいち早く解決する。
会社名:SecureNavi株式会社
代表者:代表取締役CEO 井崎友博
設立:2020年1月
所在地:〒105-0003 東京都港区西新橋3-23-6 白川ショールームビル4F
提供サービス
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