世界のイベント市場、2030年に約2.8兆ドルへ【A.T. カーニー】

都市の競争力を高める鍵は、単発開催から統合型イベント・ポートフォリオへの転換

KEARNEY

A.T. カーニー株式会社(東京都港区、日本代表:針ヶ谷 武文)は、論考『イベントを経済成長の原動力に――都市の国際競争力を高める戦略的アプローチ』(英題:Strategic programming for global city competitiveness: from event calendars to economic engines)を公開しました。

本論考では、イベントをその場限りの催しとしてではなく、経済的・文化的価値を長期にわたって創出する都市の戦略資産として捉える必要性を指摘しています。都市の競争力を高めるうえで重要なのは、単にイベントの開催数を増やすことではありません。訴求力、継続性、多様性を備えたイベント・ポートフォリオを戦略的に設計し、国、都市、民間部門が共通の目的のもとで連携しながら実行することが求められます。

 

世界のイベント市場は約1.5兆ドルから約2.8兆ドルへ――対面型イベントは都市成長の原動力に

スポーツ、文化、エンターテインメント分野で企画・運営されるライブイベントに加え、会議やコンベンションなどの大規模な対面型ビジネスイベントを含む世界市場は、2024年時点で約1.5兆ドルと推計されています。2030年には約2.8兆ドルに達し、年平均約10%で成長すると予測されています。2024年だけでも、ライブイベントの来場者数は世界全体で延べ約150億人に上りました。


イベントがもたらす価値は、宿泊、飲食、小売、交通、メディアなどに生じる直接的な経済効果だけではありません。都市の国際的な認知向上、観光需要の季節変動を平準化し、市民の一体感の醸成や地域社会への参加促進など多面的な効果が期待されます。例えば、2025年のF1オーストラリア・グランプリは3億ドルを超える経済効果を生み、英国では2024年のライブ音楽公演が7万2,000人を超える雇用を支えました。


イベントの成果を左右する「訴求力・継続性・多様性」の3つの要素

本論考では、高い成果を生むイベント・ポートフォリオを支える設計原則として、都市を魅力的な開催地として印象づける「訴求力」、年間を通して継続的な開催機会を生み出す「継続性」、イベントのカテゴリーや対象者に幅を持たせる「多様性」の三つを挙げています。国際的な注目を集める目玉イベントを核としながら、需要が落ち込む時期を補うイベント施策を配置し、ビジネスとレジャーの催しを組み合わせることで、都市は年間を通じた来訪需要と経済活動の創出につなげることができます。

Kearneyがメルボルン、ドバイ、フランクフルト、シンガポール、トロント、ロンドン、ニューヨーク、香港の8都市のイベント計画を分析したところ、主要都市では通常、月に1~5件の目玉イベントが組み込まれていました。また、これらの都市では、イベント全体の30~40%を国際的に認知されたイベントが占めていました。重要なのは、世界的な大型イベントを数多く同時に誘致することではなく、規模や対象の異なるイベントを戦略的に組み合わせ、相互に価値を高めることです。


国・都市・民間の連携で、イベントを長期的な経済資産へ

優れたイベント・ポートフォリオを設計しても、誘致、運営、支援に関わる組織の連携が不十分であれば、期待する成果にはつながりません。国の機関は規制、資金、ビザ制度、通商政策、国のブランド発信などを通じて国際競争力を支えます。都市当局はイベントのポートフォリオを編成に加え、許認可や計画策定の窓口を集約することで、主催者の負担を軽減します。一方、民間部門は資本、運営能力、スポンサーとのネットワーク、専門性、デジタル基盤を提供し、イベント戦略を持続可能な事業へと発展させる役割を担います。

先進的な地域では、官民共同のガバナンス協議体、部門横断の運営委員会、統合データ基盤などを通じて、こうした連携を制度として定着させています。イベントを都市のアイデンティティや産業政策上の優先課題と結びつけ、行政の戦略と民間の実行力の足並みをそろえることで、経済効果の拡大、国際的な競争力の向上、社会的価値の創出を長期にわたって実現することが可能になります。

世界的にライブ体験への需要が高まるなか、都市に求められるのは、単発のイベント開催数を増やすことではなく、年間を通じたイベント・ポートフォリオそのものを統合的な戦略基盤へと進化させることです。こうした転換が、都市の長期的な経済成長と国際競争力の強化につながる鍵となります。

 

論考について

論考名:『世界の都市競争力を高める戦略的イベント設計――イベントカレンダーを経済成長のエンジンへ』(英題:Strategic programming for global city competitiveness: from event calendars to economic engines)

URL:https://www.jp.kearney.com/issue-papers-perspectives/the-global-events-inflection-point

 

監修者
向山 勇一 シニアパートナー
日本IBMを経て、2004年にA.T. カーニー入社。メディア業界、不動産業界を中心にコンサルティング業務に従事。鉄道会社の屋外・交通広告の付加価値向上に向けたOOH-DMP構想検討の支援や、大手自動車メーカーにおける新たな車室内メディア/サービスのコンセプト策定及びプロトタイピング等の経験を有する。

A.T. カーニーについて

A.T. カーニー(グローバル・ブランド名:Kearney)は、100年にわたり世界有数の経営コンサルティングファームとして、Fortune Global 500企業の4分の3以上をはじめ、世界各国の政府機関に信頼されるパートナーであり続けてきました。世界40カ国以上に拠点を展開し、私たちの最大の強みは「人」にあります。インパクト・ファーストを掲げ、独創的な発想と実行力をもって、顧客企業が直面する最も困難な課題に挑み、変革の実現をともに推進します。日本には1972年に進出し、主要産業のリーディングカンパニーに、戦略策定から変革の実行まで一貫した支援を提供しています。https://www.jp.kearney.com/

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会社概要

A.T. カーニー株式会社

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URL
https://www.jp.kearney.com/
業種
サービス業
本社所在地
東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー23階
電話番号
03-6890-5001
代表者名
針ヶ谷 武文
上場
未上場
資本金
-
設立
1926年09月