偽造防止デジタルプラットフォーム「Akliteia®」をインドにおける機能性材料の真贋判定に活用開始
旭化成株式会社(本社:東京都千代田区、社長:工藤 幸四郎、以下「旭化成」)とTIS株式会社(本社:東京都新宿区、社長:岡本 安史、以下「TIS」)は、共同で構築した偽造防止デジタルプラットフォーム「Akliteia(アクリティア)」について、インドにおける機能性材料の真贋判定へ活用し、本年10月より、機能性材料メーカーであるアジア物性材料株式会社(以下、「アジア物性材料」)とともに真贋判定の取り組みを開始します。「Akliteia」の海外における活用は今回が初めてとなります。
輸出先での偽装問題について
近年、サプライチェーンのグローバル化とともに輸出先における偽装が課題となっており、流通過程での偽造品混入の防止が必要となっています。一般的に海外輸出製品は、ユーザーに製品が届くまでに、輸入業者や中間業者など多くの事業者を経由するため、偽造品が混入するリスクが高まります。また、これまで「Akliteia」は主に最終製品の真贋判定に採用されていましたが、製造過程で使用される原材料や間接材料についても偽造品の流通が問題となっており、偽造品の混入による完成品の品質低下や歩留まりの低下が懸念されることから、サプライチェーン全体での対策の重要性が高まっています。
アジア物性材料での活用について
アジア物性材料では、ダイヤモンドの加工プロセスにおいて使われる機能材料(セレン)を販売しています。セレンは、ダイヤモンドの原石を加工する工程で、原石をスキャンする検査において使われます。精密な検査によって内包される不純物などの位置などを把握することで、効率よくダイヤモンドを得ることができます。セレンの品質は検査の精度に影響し、加工効率が大きく変化するため、高純度グレードは高価格で取引されており、正規品のパッケージを模造した偽造品が多数発生していました。
純度の低い偽造品を使用すると、検査の精度低下により原石加工時に採取できるダイヤモンドの量が減少し、純正品のブランド価値毀損につながる恐れがあるため、このたび、偽造品対策として「Akliteia」を活用いただくことになりました。アジア物性材料において、出荷するセレンに偽造防止ラベルを貼付した後、販売先となるインドの輸入事業者において、流通情報をブロックチェーンに登録したうえで中間業者に販売します。複数企業の製品を扱う中間業者で他社の偽造品が混入したとしても、最終的にセレンを使用する加工業者にて使用前に真贋判定を行うことで、純正品を識別することができます。
旭化成とTISは、正確で安全な真贋判定プラットフォームの提供により、偽造品を排除し、グローバルな取引における信頼性を守ることを目指します。
「Akliteia」について
「Akliteia」は偽造防止ラベル、真贋判定デバイス、ブロックチェーンの3要素で構成されており、「真正性の担保」と「原本性の担保」の両方を実現したプラットフォームです。偽造防止ラベルは旭化成独自の材料と技術を用いて製造された透明なラベルで、サブミクロン(1ミクロン以下)解像度の特殊パターンが印刷されています。この偽造防止ラベルを対象品に実装し、真贋判定デバイスによりスキャンすることで、その製品が真正品であるかどうかを確認でき、偽造品を排除するとともに、真正品の数量を把握することが可能になります。
さらに真贋判定デバイスのスキャン結果は、TISがブロックチェーンプラットフォーム「Corda」を用いて構築したクラウドサービス「Akliteiaネット」に記録されます。「Akliteiaネット」は、偽造品の発生状況をサプライチェーン全体で確実に共有する(原本性の担保)ことを可能にし、サプライチェーンのどの段階で偽造品が多く混入されたかなど、被害実態の定量的な把握・可視化が行えるようになります。また、サプライチェーンの変化に応じて情報の共有範囲を柔軟に変更できるためビジネスプライバシーも確保できます。
ご参考
アジア物性材料株式会社について
アジア物性材料株式会社は、電子工学分野の機能性材料を製造・販売するメーカーです。主に金属や化合物の機能化・高純度化を事業内容としており、半導体や電子材料等の素材メーカーや化学メーカー、医療機器メーカーに製品を供給するほか、スクラップからレアメタルを回収・再生して販売する取り組みも行っています。
代表取締役社長:吉澤 信孝
設立:1958年7月31日
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