【6月M＆Aレポート】89件で過去10年で最多、9カ月連続で前年同月増

「めちゃコミ」のインフォコム、「刀剣乱舞」のニトロプラスなどコンテンツ・IP関連企業に注目

株式会社ストライク

2024年7月8日 10時00分

2024年6月のM＆A件数（適時開示ベース）は、89件と前年同月を37件上回り、6月単月では過去10年で最多となりました。前年同月を上回るのは9カ月連続。取引金額は1000億円超の大型案件が二つ出たことで7051億円（公表分を集計）まで伸びました。また、2024年上半期を終えた段階で、累計件数は前年同期よりも106件多い607件で、M＆Aが過去最高のペースで推移しています。

上場企業に義務づけられた適時開示情報のうち経営権の移転を伴うM＆A（グループ内再編は除く）について、M＆A Onlineが集計しました。

コンテンツIPに絡む案件は今後も注目

6月はコンテンツIPに絡むM＆Aが金額上位にランクインしたほか、先月に続き大型物流案件も発表されました。

金額トップは、米投資会社のブラックストーンが電子コミック「めちゃコミ」を経営するインフォコムをTOBで子会社化する案件で、金額は2757億円。

インフォコムは帝人の子会社としてシステム開発を受託する関係にありましたが、帝人がグループ戦略を見直し、事業の選択と集中によりインフォコム株の売却に動きました。

TOBで買付け主体となるブラックストーンの投資先には、多くのデジタルコンテンツ企業を傘下に持つCandle Mediaがあります。同社を基点に「めちゃコミ」の米国などの海外展開が推進されることになりそうです。

刀剣乱舞の「ニトロプラス」はサイバーエージェント傘下に

コンテンツIP関連では、サイバーエージェントが「刀剣乱舞」などのゲーム・アニメ事業を展開するニトロプラスの買収が注目されました。

ネットフリックスをはじめとした新勢力の台頭により、メディアビジネスの構造は大きな転換点を迎えており、国内外でコンテンツIPを求める動きは活発化しています。

コロナ禍以後、注目される健康食品

金額2位はキリンホールディングスがファンケルをTOBで子会社化する案件です。キリンはビール、医薬に続く第3の事業としてヘルスサイエンス事業に注力しており、ファンケルが得意とするスキンケア商品へアプローチするとともに、ファンケルの健康食品の海外展開を図る予定です。

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６月のM&Aランキング

順位	社名	概略	取引金額
1	インフォコム	米ブラックストーンが「めちゃコミ」運営のインフォコムをTOBで非公開化	2757.6億円
2	キリンホールディングス	健康食品・化粧品のファンケルをTOBで子会社化	2207億円
3	セイノーホールディングス	三菱電機傘下の三菱電機ロジスティクスを取得	572.7億円
4	永谷園ホールディングス	丸の内キャピタル出資先の投資ファンドと組み、MBOで株式非公開化へ	485.9億円
5	サイバーエージェント	「刀剣乱舞」などのゲーム・アニメ事業を手がけるニトロプラスを子会社化	167億円
6	三井松島ホールディングス	事業者向け不動産担保融資のエム・アール・エフを子会社化	113.2億円
7	ローツェ	半導体製造装置メーカーの米国Nanoverse Technologiesを子会社化	111.8億円
8	NCホールディングス	米投資ファンドのMIRI、NCホールディングスをTOBで非公開化	71億円
9	GENDA	カラオケ機器レンタル・販売などの音通をTOBで子会社化	67億円
10	前田工繊	三井化学傘下で土木・建築資材メーカーの三井化学産資を子会社化	56.1億円