職場に浸透する金融リテラシー教育 ~金融リテラシーの自己評価が高い人ほど教育ニーズあり!?~

三井住友トラスト・資産のミライ研究所が金融教育に関するアンケート結果を公表

三井住友信託銀行株式会社

三井住友信託銀行株式会社が設置している「三井住友トラスト・資産のミライ研究所」(所長:丸岡 知夫)(以下、ミライ研)は、1万人(全国の18-69歳)を対象とした独自アンケート調査を2026年1月に実施しました。この調査をもとに、企業における金融リテラシーセミナーの実態に関する分析を行いました。

1.はじめに

 近年、人的資本経営への関心の高まりを背景に、従業員の金融リテラシー向上を支援する企業が増えています。NISA制度の拡充や物価上昇、老後資金への関心の高まりなどを受け、金融教育や資産形成支援は従来の福利厚生施策にとどまらず、従業員のウェルビーイングやエンゲージメント向上、人材の定着・活躍を支える取り組みとして位置付けられるようになっています。こうしたなか、多くの企業で金融リテラシーセミナーや資産形成に関する情報提供が実施されており、職場における金融教育の重要性は一層高まっているといえます。

 そこで、ミライ研では2026年1月に全国1万人規模の調査を行い、有職者における金融リテラシーセミナーの参加経験や、参加に関する意向を調査しました。

2.金融リテラシーセミナーの参加意向は若年層ほど高い

 調査では、有職者に対し「勤務先が実施する金融リテラシー向上のためのセミナー(確定拠出年金の投資教育や、ライフプラン・資産形成セミナーなど)に参加したことはありますか。また、今後参加したいと思いますか。」とたずねました。すると、全体の参加経験率は14.1%、参加の意向は「今後参加したいと思う」「業務上支障が無ければ参加したいと思う」を合わせて44.5%となりました。年代別では、若年層ほど参加意向が高い傾向となりました(図表1)。

【図表1】年代別 金融リテラシーセミナーへの参加状況・意向

※ 金融リテラシーセミナーへの参加意向は「今後参加したいと思う」を「参加意向あり」、「業務上支障が無ければ参加したいと思う」を「参加意向一定あり」とした

(出所)特に出所を示していない場合、ミライ研「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2026年)よりミライ研作成

3.金融リテラシーの自己評価が高いほど、セミナー参加意向が高い

 金融リテラシーセミナーは自身の金融リテラシーが低い人ほど受けたいと思うのか、についても検証します。本調査では、金融リテラシーの自己評価も聴取しており、自己評価が高い人が約1割強、普通が5割弱、低い人が4割強の分布となりました(図表2)。

 

【図表2】金融リテラシーの自己評価分布

 金融リテラシーの自己評価ごとにセミナー参加意向を確認すると、意外にも自己評価が高い人ほど参加意向が高く、自己評価が低い人は相応に参加意向が低いことが分かりました(図表3)。

 また、参加意向が一定ある、つまり業務上支障が無ければ参加したい人は、「低いと思う」人において4割程度と高い結果となりました。これは、業務の優先順位が金融リテラシーセミナー参加のネックになっている可能性を示唆しています。一方で、「かなり低いと思う」人においては業務との兼ね合いを考慮しても参加意向が無く、関心の低さがうかがえます。

【図表3】金融リテラシー自己評価別 金融リテラシーセミナーへの参加意向

4.企業の従業員規模が大きくなるにつれて参加経験率も参加意向割合も高い傾向

 企業の従業員規模別でも分析を行いました。

 まず、企業側の金融教育に対する取り組み状況を見てみます。帝国データバンクが2024年に調査した結果によると、従業員規模が大きい企業ほど、従業員へ金融教育を実施している、また取り組み意欲もあることが分かります(図表4)。

【図表4】金融経済教育の取り組み状況 ~従業員規模別~

※ 母数は、金融経済教育の内容を「知っている」企業6,913社

(出所)帝国データバンク「金融経済教育に関する企業の意識調査」2024年をもとにミライ研作成

 ミライ研の調査で従業員側の意向を分析すると、従業員規模が大きいほど、セミナー参加経験率が高まる傾向となりました。大企業(ここでは従業員数1,000人以上の規模と定義)においては、4人に1人以上が参加経験ありとなりました(図表5)。

 参加意向(一定あり含む)に関しても、従業員規模が大きいほど高い結果となり、大企業では約6割の従業員にニーズがあることが分かりました(※なお、参加経験者のうち今後の参加意向がない人も3%程度存在)。

 大企業では、参加経験者数が「参加意向あり」層の回答者数を上回っています。これは、企業主導の必須研修や推奨施策などにより、業務時間を考慮したセミナー運営を行っている可能性を示唆しています。例えば、企業型確定拠出年金(DC)を導入している企業は、加入者に対する「投資教育」が法令上の努力義務となっており、参加必須の教育を実施しているケースも多くあります。しかしながら、「参加意向者(一定あり含む)」と「参加経験者」の間には3割以上の差がある結果となっており、参加実績以上にニーズが旺盛であることが伺えます。

【図表5】従業員規模別 金融リテラシーセミナーの参加経験率・参加意向割合

5.まとめ

 本調査から、金融リテラシーセミナーに対する有職者の潜在的なニーズは決して小さくなく、資産形成への関心の高まりや将来の生活設計に対する不安を背景に、金融知識を主体的に学びたいと考える層が増えていることがうかがえます。

 また、金融リテラシーの自己評価が高い人ほど参加意向が高いという結果は、金融教育の提供において重要な示唆を与えています。一般に、知識や理解が不足している人ほど学習ニーズが高いと考えられがちですが、実際には金融への関心や学ぶ習慣を持つ人が積極的に参加する傾向がみられました。一方で、自己評価が低い層では「業務上支障がなければ参加したい」という回答も一定数存在しており、関心の欠如だけでなく、時間的制約や参加機会の不足が参加の障壁となっている可能性があります。

 さらに、従業員規模の大きい企業ほど参加経験率・参加意向ともに高い傾向が確認されました。背景には、企業型DCの投資教育をはじめとする教育機会の提供や、業務時間内での受講環境整備などがあると考えられます。一方で、特に大企業においても参加経験者数と参加意向者数の間には大きなギャップが存在しており、従業員ニーズに対して十分な機会が提供されているとは言い切れません。

 人的資本経営が重視されるなか、金融教育は福利厚生施策の一環にとどまらず、従業員のファイナンシャル・ウェルビーイング向上を支える重要な取り組みとなっています。企業には、従業員の関心度や知識水準に応じた多様な学習機会を提供するとともに、参加しやすい環境を整備することが、今後ますます求められるでしょう。


◆上記の記事に加え、より多くのデータをまとめたミライ研のアンケート調査結果 

「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2026年)より

すそ野が広がる金融教育 ー金融リテラシーが高い人ほど教育ニーズあり!?ー

を資産のミライ研究所のHP(https://mirai.smtb.jp/category/report/4007/)に掲載しています。

是非、ご覧ください。

【本件調査概要】

(1)調査名:「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2026年)

(2)調査対象:全国の18-69歳 ただし関連業種(金融、調査、マスコミ、広告)従事者を除く

(3)調査方法:WEBアンケート調査

(4)調査時期:2026年1月

(5)サンプルサイズ:11,135

(6)端数処理の関係上、割合については合計で100%とならない場合があります

      

■記事内容、アンケート結果に関する照会先

三井住友信託銀行  三井住友トラスト・資産のミライ研究所(清永)

E-MAIL:mirai@smtb.jp

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会社概要

三井住友信託銀行株式会社

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URL
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業種
金融・保険業
本社所在地
東京都千代田区丸の内1-4-1 三井住友信託銀行本店ビル
電話番号
-
代表者名
米山 学朋
上場
東証プライム
資本金
3420億円
設立
1925年07月