畏怖との遭遇、反射する憧憬『日本エキゾチシズム文学史』5月26日発売。

解説
日本から外国へのまなざし、外国から日本へのまなざしを、歴史と地域を横断して幅広く解き明かす10章。先人たちや現在の日本人が、古来外国をどのように見て、感じてきたかを、その表現から解き明かす一冊。
日本文学史の中のエキゾチシズムという主題を、古代から現代の漫画までバリエーションに富んだテーマで展開している。
例えば、奈良時代の平安貴族が「檳榔」に感じた異国への幻視から、明治期の芥川文学における異国の身体観、中島敦の描く南国、そして現代については漫画『鬼灯の冷徹』の地獄観などが取り上げられている。執筆陣も、様々な国からの研究者が多くを占めている。また、留学生たちから見た現代日本のレポートは、新鮮な視点を我々に与えてくれるだろう。
エキゾチシズム研究において新たな論点を加える一冊になるであろう。







著者情報
編者
広島大学森戸国際高等教育学院
1990年に広島大学の「留学生センター」として発足し、その後の名称変更などを経て、2018年10月に学内共同教育研究施設として設置される。名称は広島大学初代学長、森戸辰男に由来する。毎年2000人近くの外国人留学生を迎える広島大学の中で、学内外における日本語・日本文化教育を充実させるとともに、海外との学生交流を推進し、グローバルキャンパス化の推進を図ることを目的として運営されている。また、独立行政法人国際協力機構(JICA)とともに、シリアやミャンマーの難民を日本の高等教育機関へと橋渡しするための教育事業も行っている。
コンテンツ
巻頭のご挨拶 丸山恭司
はじめに─日本の中のエキゾチシズム 荒見泰史
第一部 奈良・平安から江戸時代まで
Ⅰ 日本に渡って来た「檳榔」
─奈良・平安貴族の異国への幻視 陳 斐寧
Ⅱ 『今鏡』における異国情緒
─唐物・中国風習・中国故事を中心に 李 莘梓
Ⅲ 行疫神の来訪伝承と地域文化
─『備後国風土記』逸文の在地における伝承的展開 松山由布子
第二部 明治・大正・昭和時代
Ⅳ 晩年の芥川文学におけるエキゾチックな身体
─「橙色のタヒチの女」と「不可思議なギリシャ」を中心に フェレイロ・ダマソ
Ⅴ 児童文芸雑誌『赤い鳥』の口絵に描かれた〈中国〉
─「赤い鳥画集」の仙人を例として 李 麗
Ⅵ 雑誌『台湾愛国婦人』における演芸速記について
─講談「愛国婦人」における「新選組」「幕長戦争」表象を中心に 柳瀬善治
Ⅶ 中島敦の描く「南洋群島」─『寂しい島』を一例に 風岡祐貴
第三部 平成・令和時代
Ⅷ 文化形成とエキゾチシズム
─異国文物との接触・受容・忘却 小宮山道夫
Ⅸ 『鬼灯の冷徹』に映される地獄観 荒見泰史
Ⅹ 異国から見た日本─森戸国際高等教育学院学生コラム 荒見泰史・劉苗苗
あとがき 溝渕園子
<概要>
『日本エキゾチシズム文学史』
■広島大学森戸国際高等教育学院/編
■定価2,750円(本体2,500円+税10%)
■並製/A5判・392頁
https://www.tokyo-shoseki.co.jp/product/books/81726/
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