技術トレンド、AIの次は「製造・エネルギー」へ 4万件のCES出展データから読み解く2026年の技術動向

リンカーズ株式会社

技術と企業をつなぐプラットフォーム事業を展開するリンカーズ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:前田 佳宏)の子会社である株式会社リンカーズOI研究所(本社:東京都港区、代表取締役:國井 宇雄)は、世界最大規模のテクノロジー展示会「CES」について、2022年から2025年までの4年間で延べ41,000社以上 の出展企業データを独自に収集・分析しました。

本リリースでは、その膨大なデータから導き出した「産業界の3つの戦略領域」と、「主要国が注視する課題」を公開します。なお、本データ分析の詳細および現地ラスベガスでの定性調査をまとめた「CES2026イノベーションレポート」を2026年1月末に販売開始いたします。

■分析の背景と目的

CES出展企業データを継続的に分析することは、世界がこれから何に投資し、何を伸ばし、どのような社会像を描こうとしているのかを最速で把握する手段のひとつです。こうした技術トレンドの把握は、企業の中期経営計画の策定やR&Dテーマの見直し、さらには新規事業開発・投資判断など、幅広い実務領域で重要性が高まっています。

リンカーズOI研究所では、CES出展企業の動向を定量・定性の両面から継続的に分析することで、日本の産業界が世界の潮流を確実に捉え、自社の戦略に反映できるよう支援することを目的としています。

■調査概要

  • 調査対象:CES2022~2025 公式出展企業リスト

  • 分析対象数:約41,000件(4年分合計)

  • 分析手法:55の技術カテゴリに対し、出展数の「量」と「伸び率」をマッピングし、トレンドを構造化しました。さらにCES出展情報記載の概要(Description)の自然言語処理によるキーワード分析を実施しました。

■分析結果①:技術トレンドは「デジタル」から「フィジカル」へ 成長トップはAIではなく“製造・エネルギー産業”

▼ 技術カテゴリ 成長率ランキング(Top 5)

2022年(コロナ禍からの回復期)と2025年の出展データを比較したところ、最も成長した領域は意外にも「AI単体」ではありませんでした。

出展数の増加率が最も高かったのは 「Sourcing & Manufacturing(製造・調達)」で +422%。「Energy/Power」は+208% と大幅に伸長し、いずれも 「Artificial Intelligence(+179%)」を上回る成長率 を示しました。

この結果は、技術が「デジタル空間」から、サプライチェーン再構築やエネルギーインフラといった「フィジカル(現実)空間」へ回帰していることを示唆しています。AIは単体の“話題の技術”から、産業現場へ実装される「当たり前のツール」へフェーズが移行しています。

■分析結果②:出展データから見えた世界の「3つの戦略領域」

出展数と年平均成長率(CAGR)で技術を分類したところ、世界は以下の3領域に集中していることがわかりました。

  1. 重点領域:AI・エネルギー・製造

    これら3領域は、年平均成長率が+40%を超える市場を牽引する領域として位置づけられます。特に「Sourcing & Manufacturing(+73% CAGR)」 と 「Energy(+45% CAGR)」 の伸びに加え、「Artificial Intelligence (+41% CAGR)」も依然として高い成長率を維持しています。これは、市場が単なるアナログ回帰ではなく、AIが製造・エネルギーといったフィジカル産業に実装される形で拡大していることが示唆されます。

  2. 基盤技術領域:IoT、モビリティ

    IoTやモビリティ関連は、年平均+20%前後の安定した成長を示す基盤領域です。とりわけ「Vehicle Tech」では成長率が落ち着きを見せており、EVや自動運転は“話題の技術”から、社会インフラとして定着するフェーズへ移行したことがうかがえます。

  3. 新興領域:量子・宇宙

    出展数自体はまだ少ないものの、年平均25%を超える確かな成長が見られる次世代領域です。現時点では汎用化手前の段階にありますが、次の大きなイノベーションの芽が育ちつつある領域と位置づけられます。

  • Space Tech(年平均 +25.5%)

    民間宇宙ビジネスの成長を背景に、出展企業は83社まで増加。通信技術に加え、宇宙空間での製造(In-Space Manufacturing) といった新コンセプトも登場し始めています。

  • Quantum Computing(年平均 +30.5%)

    2022年の9社から20社へと倍増し、研究段階から産業応用への移行が進む兆しが見られます。

■分析結果③:世界イノベーション地図の変動

国別の出展動向では、2022年とは大きく異なる構造変化が明らかになりました。

  • 中国:存在感の急拡大

    2022年に106社だった中国企業の出展は、2025年には968社へと約9倍に増加しました。米国(1,014社)に迫る規模となり、グローバル市場でのプレゼンスを再び強めています。

  • 韓国:スタートアップ分野で世界トップに

    次世代技術の実証・発信の場である「Startups」カテゴリでは、韓国が330社を出展し、開催国である米国(239社)を上回り世界1位となりました。政府主導の支援策を背景に、先端領域での競争力を急速に高めています。

■分析結果④:キーワード分析から見える主要国の関心テーマの変化

各国企業の出展概要(Description)を自然言語処理で分析した結果、国ごとに注力する社会課題が明確に分かれることが分かりました。また、全体傾向として「IoT」「Camera」といった機能系の単語が減少し、「Safety(安全)」「Efficiency(効率)」など“価値”に紐づく単語が増加しています。CESが「技術展示の場」から「未来社会のコンセプトを提示する場」へと進化していることを示唆する結果です。

  • 米国: “Security” と “Power”

    「Security(セキュリティ)」や「Power(電力)」が増加し、生活基盤の強靭化やエネルギーインフラへの関心が高まっています。

  • 韓国: “Safety” と “Efficiency”

    「Safety(安全)」や「Efficiency(効率)」といった社会課題に直結する価値領域へのシフトが見られます。

  • 中国: “Factory” と “Brand”

    「Factory(工場)」に加えて「Brand(ブランド)」が頻出。OEM中心から、自社ブランド創出へ転換を図る動きが顕著です。

  • 日本: “Energy” と “Manufacturing”

    従来の機能系キーワード(IoT、Camera)から、「Energy(エネルギー)」や「Manufacturing(製造)」へ移行。ものづくり×脱炭素という領域での競争力強化を示唆します。

■今後の展開:データが示した「問い」を現地で検証し、レポートとして公開

今回の分析では、世界が「AIの実装」と「フィジカル産業の再加速」へと大きく舵を切っていることが浮き彫りになりました。しかし、出展データの変化だけでは見えない論点が残されています。

  • 急増した中国企業の技術力は、実際どの水準にあるのか

  • 世界トップの出展数となった韓国スタートアップの中に、次のユニコーン候補は存在するのか

  • AIが組み込まれた製造現場は、どのようなオペレーション変革を起こすのか

リンカーズOI研究所は、これらの「問い」の答えを探るため、CES 2026(米国・ラスベガス)に専門調査員を派遣し、現地でのインタビュー調査やパビリオン視察を実施します。

さらに、本リリースで紹介した定量分析に加え、現地で体感したパビリオンの熱量、主要プレイヤーの動向、次の成長市場の兆しを総合的にまとめた 「CES 2026 イノベーションレポート」 を後日販売予定です。

CES 2026イノベーションレポートご案内サイト https://go.linkers.net/2026_ces

日本の産業界が“いま”把握すべきリアルな技術潮流を、リンカーズ独自の視点でお届けします。

【会社概要】

会社名:株式会社リンカーズOI研究所

URL:https://oi-lab.co.jp/

所在地:〒108-0073東京都港区三田三丁目5番19号 住友不動産東京三田ガーデンタワー29階

代表者:國井 宇雄

設立:2024年8月

資本金:100百万円

株主構成:リンカーズ株式会社(100%)

      

会社名:リンカーズ株式会社

URL:https://corp.linkers.net/

所在地:〒108-0073東京都港区三田三丁目5番19号 住友不動産東京三田ガーデンタワー29階

代表者:前田 佳宏

設立:2011年9月

上場市場:東京証券取引所 グロース市場(証券コード 5131)

事業内容:ビジネスマッチング事業、リサーチ事業、他

 

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URL
https://corp.linkers.net/
業種
サービス業
本社所在地
東京都港区三田三丁目5番19号 住友不動産東京三田ガーデンタワー29階
電話番号
03-6822-9580
代表者名
前田佳宏
上場
東証グロース
資本金
2億4500万円
設立
2012年04月