小林快次・北大教授 「繁栄と絶滅」テーマに講演
あの恐竜博士が、今年(7月27日)も福井県坂井市にやってくる!

福井市出身で、日本で初めて大型の全身骨格を発掘し、「カムイサウルス」と名付けるなど恐竜研究の第一人者である小林快次(こばやし・よしつぐ)・北海道大学総合博物館教授が、今年も坂井市龍翔博物館で、夏休み中の7月27日(日)に講演する。
同館で7月19日から「龍翔博&これき共催展2025 動物大集合」展が始まるのに合わせた関連講演会で、小林教授は「生物の繁栄、絶滅、そして私たち」の演題で語る。
小林教授の同館での講演会は昨年11月に続き2年連続。同教授を含む国際研究グループは今月12日、約9000万年前のモンゴルの白亜紀後期の地層からティラノサウルス類の新種発見を発表、ティラノサウルスの大型化という進化の過程に新たな仮説を打ち出すなど、小林教授は世界を舞台にした恐竜研究の最前線でも活躍中。また22日には福井県の「ふくいブランド大使」にも就き、今後、ふるさと福井の恐竜を世界的にもアピールしていく。
世界を舞台に活躍、ティラノサウルスの進化で仮説も
小林教授の恐竜研究での活躍ぶりは国内でも図抜けている。北海道大学とカナダ・カルガリー大学などの国際研究グループとして、1970年代にモンゴルのゴビ砂漠の地層(約9300万~8300万年前)で採集された化石の中から、ティラノサウルス類の新種を発見したと発表。体重500キロ未満でティラノサウルスの幼体と似た細身の体つきや、足の形などが他のティラノサウルス類とは異なっていたことなどから、新種と判断。「カンクウルウ・モンゴリエンシス」と命名した。
さらにこの新種の発見を通じて、ティラノサウルスの進化過程も解明。従来はティラノサウルスの起源は北米で、北米のみで大型化していったと考えられていたが、小林教授らの研究グループは「大型化したティラノサウルスの祖先は、アジアが起源で約8600万年前までに北米に移動、約7800万年までにアジアに移り、約7300万年前から6700万年前に再び北米に移動と北米とアジアを行き来する中で、体重約1トン以上の大型化していったとの研究成果をまとめ、新たな仮説とし英科学誌ネイチャーに発表した。小林教授は、自ら「ティラノサウルスは大好きな恐竜」と述べ、恐竜の中でも人気の高いティラノサウルス類の進化の分野で、新たな学説を打ち出した。
講演は「生物の繁栄、絶滅」、人類の未来考える
昨年の講演会で小林教授は、「恐竜が絶滅した今の世の中で、恐竜と最も近い脊椎動物の爬虫類は、ワニである」として、「昔の中国人が恐竜の面影を残すワニをみて、架空の動物である龍を生み出したのではないか」などと語り、会場に集まった福井の恐竜ファンの小中学生ら約70人を恐竜ロマンの世界へ引き込んだ。
今年は、同館が夏休みに開催する、県立こども歴史文化館(福井市)との共催展「動物大集合~フィギュア×はりこetc.~」(19日~9月23日)に合わせ来福。「生物の繁栄、絶滅、そして私たち」の講演では、恐竜が大昔にたどった大繁栄と絶滅の道を、人類の「未来の自分事」としてとらえようという壮大な地球がテーマの解説となりそう。最新の恐竜研究の成果も報告する。
前日の26日には福井市の「県立こども歴史文化館」でも講演予定。講演会は定員70人で、講演料は無料。ただし、事前予約が必要。事前予約は坂井市龍翔博物館=℡:0776(82)5666=まで。

小林快次(こばやし・よしつぐ)
1971年福井市生まれ。北海道大学総合博物館教授、同館副館長。95年、米国ワイオミング大学地質学地球物理学科を首席で卒業し、04年サザンメソジスト大学地球科学科で博士号を取得。ゴビ砂漠やアラスカ、カナダなどで発掘を行いつつ、恐竜の分類や生理・生態の研究を行う。04~05年には福井県立恐竜博物館開館準備やオープン時に学芸員として在籍、『フクイサウルス』を命名した。その後、北海道大学に籍を移し、穂別町(現むかわ町)後期白亜紀の化石をハドロサウルス科(むかわ竜)の発掘にタッチ、2019年に出土した化石群が、全長約8メートルにもなる全身骨格であることを発表。日本では初めてとなる全身骨格の出土で『カムイサウルス・ジャポニクス』と名付けた。このほか新種の発見など恐竜研究に精力的に取り組んでおり、『ティラノサウルス解体新書』など一般向け恐竜関係の著作も多い。
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