『セイコーエプソン×東北大学 サスティナブル材料共創研究所』を設置
‐ 循環型経済を牽引する複合プラスチックの社会実装を加速 ‐
循環型経済の構築への寄与を目指し、古紙・衣類・木材を解繊した繊維を活用し、複合化したバイオプラスチック・再生プラスチックに関する技術確立に向け、開発体制を強化し研究を加速します。
【設置の背景】
現在、循環型経済の確立に向け、バイオプラスチックや再生プラスチックの活用が進んでいます。しかし新品の素材だけで製造したバージンプラスチックと比較して機械的強度や耐久性が低いことから、使用範囲が一部に留まっているのが現状です。今後さらにその用途を広げるために、それらの性能を向上させることが求められています。
東北大学とエプソンは2006年より包括連携協定を締結して以来、組織的な産学連携による研究開発および人材育成を行ってきました。特に2023年に新設された東北大学グリーンクロステック研究センター*2では、エプソン独自の繊維化技術であるドライファイバーテクノロジー*3によって生成されたセルロース繊維とプラスチック材料を複合化し、バイオプラスチックや再生プラスチックの強度、耐久性などの課題解決を目指すなど、繊維複合型プラスチック材料による造形技術の共同研究を進めています。
これらの取り組みが2023年7月に内閣府による戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期の課題「サーキュラーエコノミーシステムの構築」へ採択されたことから、産学官連携により社会実装に向けて開発の加速を図ることにいたしました。
【今回の取り組み】
そこで東北大学とエプソンはセルロース繊維複合型プラスチック材料の基盤となる重要要素技術の早期確立を目指し、2023年8月に東北大学グリーンクロステック研究センターへ共創研究所を開設し、本格的にプロジェクトを開始しました。
共創研究所では、東北大学の強みとなる複合材料の基礎理論、シミュレーション、およびインフォマティクス技術と、次世代放射光施設NanoTerasu(ナノテラス)*4による高度分析技術などの東北大学の資源を最大限に活用した研究開発を進めます。SIPに参加する他企業とも連携し、共創研究所で得られた研究開発成果の活用範囲を広げ、セルロース繊維複合型バイオプラスチックや再生プラスチックの社会実装に向けた取り組みの加速を図ります。
また共創研究所をエプソンの東北大学内拠点と位置づけ、東北大学の先進的な研究シーズを提供することで新たな共同研究テーマを創出し、持続可能な未来の実現に貢献できる研究開発を幅広く推進していきます。
【共創研究所概要】
1.名称:「セイコーエプソン×東北大学 サスティナブル材料共創研究所」
2.活動内容:
東北大学の資源を最大限に活用し、循環型経済の牽引を実現するサスティナブル材料として、セルロース繊維複合型のバイオプラスチックや再生プラスチックの基盤技術構築の研究開発、および社会実装の加速化を図る。
3.運営体制:
(1)運営総括責任者
東北大学 グリーンクロステック研究センター 間ヶ部明 特任教授(セイコーエプソン 技術開発本部 技術開発戦略推進部)
(2)運営支援責任者
東北大学 グリーン未来創造機構 グリーンクロステック研究センター センター長 岡部朋永 教授 (東北大学大学院工学研究科 航空宇宙工学専攻)
4.設置場所:東北大学 片平キャンパス内 産学連携先端材料研究開発センター(MaSC)
5.設置期間: 2023年8月1日~2027年3月31日
【用語説明】
*1 共創研究所: 大学内に企業との連携拠点を設けるとともに、大学の教員・知見・設備等に対する部局横断的なアクセスを可能とすることで、共同研究の企画・推進、人材育成、および大学発ベンチャーとの連携をはじめとする多様な連携活動を促進する制度。
東北大学 産学連携機構 WEBサイト(共創研究所)
https://www.rpip.tohoku.ac.jp/jp/information/kyoso_kenkyu/
*2 グリーンクロステック研究センター: 科学・工学とデータサイエンス・IT をはじめとする先進テクノロジーの融合による実学研究により、グリーン分野に関連する社会課題・ビジネス課題の解決をゴールとした産学共創イノベーション拠点。
*3 ドライファイバーテクノロジー: 古紙をはじめとするさまざまな繊維素材について、用途に合わせた繊維化、機能性材料との結合、成形を行うことで高機能化を実現することが可能な、エプソン独自の技術。
*4 ナノテラス: 2024年度に運用開始を目指して国が青葉山新キャンパスで整備・運営する、世界最先端の軟X線向き放射光施設。軽元素からなるポリマーなどのナノ構造の可視化を、従来の施設の100倍の輝度の放射光X線で可能にする。
< 以 上 >
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