インドネシアにおけるバイオメタン供給事業に関する詳細検討の開始について
これまで、プルタミナ、日揮HD、大阪ガスおよびINPEXの4社はPOME由来のバイオメタン活用に向けた共同調査*2を進めてまいりましたが、今般、PGNが保有する天然ガス導管の利用が決定し、またパーム農園との原料調達に係る覚書の締結や需要家からの関心表明を得たことから、詳細検討の開始に至りました。本検討においては、2025年のスマトラ島南部でのバイオメタン製造開始を目指し、サプライチェーン構築やバイオメタン製造・供給に関する技術的な検討を行います。
インドネシアは、世界最大のパームオイル生産国であると同時に世界最大の輸出国です。同国ではパームオイル産業が約300万人の雇用を支え、GDPの4.5%を占める重要な産業である一方、有機分を多く含むPOMEからは二酸化炭素(以下、CO2)の25倍の温室効果を持つとされるメタンガスが大量に発生し、その多くが大気放散されているという課題があります。
本事業は、現状POMEから大気放散されているメタンガスを回収したうえでバイオメタンとして精製し、天然ガス導管など既存インフラを利用してインドネシア国内の需要家に供給することで、メタンガスの大気放散を抑制し、さらに同国で増加する天然ガス需要に応えるとともに、化石燃料からバイオメタンへの燃料転換による需要家のCO2排出量の削減を目標としています。将来的にはスマトラ島全域、さらにカリマンタン島へと事業規模を拡大しながら、バイオメタンを液化したバイオLNGを船舶燃料として供給する事業やバイオLNGを日本などに輸出する事業の検討を実施します。
なお、本事業は2023年3月に開催された「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」においても、アジア地域のカーボンニュートラル化に資する取り組みの一つとして紹介されました。
PGNは、プルタミナ傘下のガス事業会社として、インドネシアが2060年までに掲げるネットゼロエミッション(NZE)を実現するエネルギー転換フェーズにおいて重要な役割を担っています。天然ガスは、他の化石燃料と比較してクリーンな燃焼特性を有しており、排出量を最大40%削減することが可能であることから、2035年に最大377百万トンのCO2を削減するというインドネシアの排出削減目標を達成するためのソリューションの一つとなります。本事業は、POMEを環境に優しいエネルギーとして利用することで、新エネルギー/再生可能エネルギー(New and Renewable Energy/NRE)の開発と並んで環境問題の解決に資するものと考えられます。本事業において、PGNは原料のPOMEにアクセスが良好な導管注入設備および天然ガス導管を提供します。また、製造されるバイオメタンはインドネシアの工業需要や一般消費者の需要に応えるだけでなく、プルタミナの天然ガスネットワークの一層の拡大につながることが期待されます。
日揮HDは、2021年5月に発表した長期経営ビジョン「2040年ビジョン」と中期経営計画「BSP 2025」に基づき、低炭素・脱炭素社会の実現に向けてエネルギートランジションの取り組みを加速させています。日揮グループは、これまでインドネシアにおいて、液化天然ガス(LNG)などのプラント建設に関する長年の実績を有しており、数多くのプロジェクト遂行で培ってきたプロジェクトマネジメント力を活かしつつ、参加各社とともに本事業の実現に貢献してまいります。
大阪ガスは、2021年1月に「カーボンニュートラルビジョン」を、2023年3月に「エネルギートランジション2030」を発表し、グループ全体で脱炭素社会に貢献する技術・サービスの開発に取り組み、気候変動をはじめとする社会課題の解決に努めています。本事業においては、Daigasグループのバイオメタン製造に資するバイオガス精製技術やバイオメタンの導管注入実績、これまでのガス販売活動で培った知見を活用しながら、現地の天然ガス事業者PGNをはじめとした参加各社とともに、インドネシアにおけるバイオメタンの普及拡大とインドネシア、ならびに日本のCO2排出量削減に貢献してまいります。
INPEXは、2022年2月に発表した「長期戦略と中期経営計画(INPEX Vision @2022)」に基づき、日本および世界のエネルギー需要に応えつつ、2050 年ネットゼロカーボン社会の実現に向けたエネルギー構造の変革に積極的に取り組んでまいります。また、参加各社と協力し、気候変動対応に資する事業の構築と、インドネシアにおけるクリーンLNGによるLNGバンカリング供給に向けた取り組みを推進してまいります。
*1:POMEが嫌気性発酵することで生じるバイオガス(主成分はメタンとCO2)から精製設備でCO2を除去し、メタン純度を高めたバイオ燃料を指す。化石由来の天然ガスとほぼ同等の性質を有するため、天然ガス代替燃料として注目されている。
*2:2022年4月25日付プレスリリース https://www.jgc.com/jp/news/2022/20220425_01.html
<本事業のイメージ>
<インドネシアでの事業エリアのイメージ>
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