JERA碧南火力発電所における燃料アンモニア転換実証試験を開始
世界初となる大型の商用石炭火力発電機でのアンモニア20%転換の実証
1.背景
水素を低コストで効率良く輸送・貯蔵できるアンモニアは、エネルギーキャリアとしての役割に加え、火力発電の燃料として直接利用が可能であり、燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出しない燃料として、温室効果ガスの排出削減に大きな利点があると期待されています。本事業※1は、日本をはじめエネルギー安定供給の観点から調整電源として火力発電が必要な国にとって、低コストかつスピーディーに脱炭素化を進める第一歩となりうる重要なプロジェクトです。
2.実証試験の概要
本事業は、今後の環境負荷の低減に向け、大型の商用石炭火力発電機においてアンモニアへの燃料転換を行い、ボイラの収熱特性や排ガスなどの環境負荷特性を評価し、アンモニアの転換技術を確立することを目的としており、事業期間は2021年7月から2025年3月までの約4年間です。
JERAとIHIは、2022年10月から、JERA碧南火力発電所において、燃料アンモニア転換実証に必要な設備であるバーナ、タンク、気化器、配管などの設置工事を進めてきました。
IHIは同発電所5号機における燃料アンモニアの小規模利用試験を踏まえ、実証用バーナを開発※2し、JERAは同発電所における燃料アンモニアの安全対策や運用体制など※3を整備してきました。
このたび実証試験の準備が整ったため、本日、同発電所4号機において燃料アンモニアの大規模転換実証試験を開始しました。
本実証試験では、プラント全体の特性として窒素酸化物(NOx)排出量の調査やボイラおよび周辺機器への影響、運用性などを確認します。
3.今後の予定
NEDO、JERAおよびIHIは、実証試験における課題の解決を図ることで、2025年3月までに、社会実装に向けた火力発電における燃料としてのアンモニア利用技術の確立を目指します。
JERAは、今回の実証試験を踏まえて、JERA碧南火力発電所4号機において、アンモニア大規模転換(熱量比20%)の商用運転を開始することとしています。アンモニア転換技術の確立などを通じて、再生可能エネルギーと低炭素火力を組み合わせたクリーンエネルギー供給基盤を提供し、アジアを中心とした世界の健全な成長と発展に貢献します。
IHIは、今回の実証試験を着実に実施するとともに、本事業で得られた情報を反映し、火力発電所におけるアンモニア50%以上の高比率燃焼技術の確立や100%燃焼バーナの開発に取り組みます。また、本実証の結果を、国内外の火力発電所に展開していくことで、燃料アンモニアによるグローバルな脱炭素化に貢献します。
【注釈】
※1 本事業
事 業 名:カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/アンモニア混焼火力発電技術研究開発・実証事業
事業期間:2021年度~2024年度
事業概要:カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発
https://www.nedo.go.jp/activities/ZZJP_100115.html
※2 実証用バーナを開発
(参考)IHIリリース(2021年10月6日)
https://www.ihi.co.jp/all_news/2021/resources_energy_environment/1197541_3345.html
※3 燃料アンモニアの安全対策や運用体制など
(参考)JERAホームページ
https://www.jera.co.jp/corporate/business/thermal-power/list/hekinan/ammonia_safety
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