人間と量子コンピューターの共創による 未知の化粧品創造のためのアルゴリズムを開発

 株式会社コーセー(本社:東京都中央区、代表取締役社長:小林 一俊)はblueqat株式会社(旧MDR株式会社、本社:東京都文京区、代表取締役社長:湊 雄一郎)と共同で、ハイブリッド量子コンピューティング技術(※1)を応用して化粧品の製品特徴の分布を解析する独自のアルゴリズムを開発し、特許出願を行いました。これは、製品特徴のポジショニングを、これまで一般的であった2次元マッピングではなく、多次元空間で捉えて解析する手法です。本技術によって、既存の領域を可視化すると同時に、未知の製品領域が明らかになり、人間が思いもよらなかった新しい化粧品設計への可能性を拓くことができました。

 

  • 本研究の概要

 
  • 研究の背景と課題 
 化粧品の新製品開発においては、ブランドや製品のポジショニングマップを作り、既存製品の官能など品質の位置関係を可視化して着想を得ることが一般的に行われています。人間は平面での広がりを最も効率よく認識できることから、ポジショニングマップは平面図(2次元)で作成することが多く、図1のように既存製品を分布させると、既存品が多く存在する「実現性の高い」領域と、既存品が少ない「新規性の高い」領域が可視化されます。しかし、化粧品開発で考慮すべき製品特徴は “しっとり”や“さらさら”といった「官能項目」に加えて、「処方報」、「効果効能」、SPF値のような「スペック」から粘度のような「物理特性」まで非常に多岐に渡るため、これらを複合的に考慮するためには多次元のポジショニングマップ作成が必要となります。これは図2のように複数の図を同時に解析するようなものであるため、現実的には人間が認識できる範囲を超えており、熟練研究者のバランス感覚に頼っているのが現状です。また、コンピューターによる統計的手法を用いることで多次元のポジショニングマップ解析は可能であるものの、解析対象の軸を増やすほど計算時間がかかるため、従来のコンピューターのみで実運用することは困難です。
 
  • 開発した技術と今後の展望
 この度、当社はblueqat社(旧MDR社)とハイブリッド量子コンピューティング技術を応用した独自のアルゴリズムを共同開発することに成功しました。これは多次元空間において既存品が多く存在する「実現性の高い」領域と、既存品の少ない「新規性の高い」領域を探索するための手法です。加えて、量子コンピューティング技術の応用により、これまで困難であった多次元での製品ポジショニングマップの解析を可能にしました。この方法を用いて、人間の力だけでは発想に至らなかった新ジャンルの化粧品のヒントが期待できます。
 なお、本件は2018年度のコーセーアクセラレータプログラム『Link』て採択された「きれいCAD構想」から派生したプロジェクトであり、新開発アルゴリズムについては、特許出願済みです。

2019.2.1リリース
 「美」を核としたオープンイノベーションを推進する、業界初のアクセラレータープログラム デモデイを開催
(blueqat社については、旧社名の「MDR社」で記載)
https://www.kose.co.jp/company/ja/content/uploads/2019/02/2019020101.pdf

 今後、本技術を応用し、お客さまに新しい美の価値、未知の驚き、ワクワクする化粧品を提供することを目指していきます。当社はこれからも、blueqat株式会社との取り組みのように、既存の価値観や技術分野に捉われない、新しい顧客価値に向けてより一層積極的に取り組んでいきます。
 
  • ワード解説
(※1) ハイブリッド量子コンピューティング技術
複雑な計算に対して、量子コンピューターと従来型コンピューターを段階的に組み合わせて計算方法を最適化する技術です。それぞれのコンピューターに得意な計算分野があるため、役割分担をすることによって全体の計算を大幅に高速化する可能性を持っています。

(※2) ポジショニングマップ
マーケティング戦略を立案する上で、担当する事業や製品・サービスの市場でのポジションを可視化して把握するために作成する分布図のこと。

 
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