【台湾情報】経済部、EV産業育成に220億円<ワイズ機械業界ジャーナル2022年12月第1週号発行>
〜台湾機械・エネルギー・電子・自動車業界の最新動向を分析する〜
ワイズコンサルティング グループ(本社:中華民国台北市、代表取締役:吉本康志)は台湾機械業界専門誌「ワイズ機械業界ジャーナル」の2022年12月第1週号を発行しました。今週号では、機械設備業界、航空宇宙業界、チップ抵抗産業の新上場大手の天二科技と車両業界の動向を紹介します。
<最新号目次>
- 2022年第3四半期台湾その他汎用機械設備製造業の輸出入概況と主要メーカーの動向
- 台湾メーカー、低軌道通信衛星の商機獲得へ
- チップ抵抗産業の新上場大手、天二科技(EVER OHMS)
- 経済部、EV産業育成に50億元
温室効果ガス実質排出ゼロ(ネットゼロ)を実現するための一環として、世界各国の政府と大手自動車メーカーが車両の電動化を加速している。
調査会社の米ブルームバーグNEF(BNEF)の予測によると、2037年に電気自動車(EV)の販売台数がガソリン車を上回り、EVの世界生産額は2兆1000億米ドルに達する見通しだ。台湾カーエレクトロニクス産業の21年の生産額は約3000億台湾元で、25年に6000億元へと倍増し、年平均成長率(CAGR)は18%に上ると予想されている。21年生産額が約4100億元だった自動車産業を加えると、台湾EV産業は25年に新たな1兆元(約4.5兆円)産業となる見込みだ。
EV部品開発支援に4年で50億元以上
経済部は企業の電気自動車(EV)重要部品の開発支援に23年から4年間で50億元(約220億円)以上を投じる計画だ。▽重要部品の技術開発、▽システム統合プラットフォームの開発、▽自動運転への活用、▽検査技術の開発を柱とし、海外のEVメーカーから受注できるよう後押しする。
経済部技術処が開発を支援する重要部品は▽動力部品、▽電気部品、▽減速機、▽ブレーキ、▽駆動部品、▽フレーム、▽ステアリングなど11項目。経済部技術処の関係者によると、台湾メーカーは米国でEVスクールバスなどの分野に、欧州で電動モーターの分野に注力しており、日本のEVメーカーのティア1(1次サプライヤー)になったメーカーもある。
充実した台湾のEVサプライチェーン
台湾にはEVで最も重要な電池・電機・電子制御の「三電」関連部品や車体設計などを手掛ける企業が存在し、EVサプライチェーンは充実している。
関連メーカーでは▽和大工業(HOTA)、▽華城電機(フォーチュン・エレクトリック、Eバリュー)、▽台達電子工業(デルタ・エレクトロニクス)、▽康舒科技(アクベル・ポリテック)、▽同致電子企業(TTE)、▽為升電装工業(CUBエレクパーツ)、▽蓋曼立凱電能科技(アドバンスド・リチウム・エレクトロケミストリー・ケイマン)、▽智伸科技(グローバルPMX)などが有名だ。
EV事業を強化している鴻海精密工業は、傘下の乙盛精密工業(Esonプレシジョン)を通じてEVボディーの分野に注力する方針に切り替えた。EVボディーはこれまで傘下の鴻準精密工業(フォックスコン・テクノロジー)が供給していたが、米EV大手、テスラ向けに電池用機構部品を供給している乙盛精密工業が手掛けることで、テスラからのボディー受注を目指す。
工研院とアクベル、SiCモーター駆動装置開発で提携
工業技術研究院(工研院、ITRI)は今年10月、電源大手のアクベルとEV向けの炭化ケイ素(SiC)モーター駆動装置の開発で提携する契約を締結した。また、▽アクベル、▽富田電機(フクタエレクトリック&マシナリー)、▽達信緑能科技(DiodSentグリーン・テクノロジー)とEV向けSiC動力システムの共同開発でも提携する。
工研院機械・機電系統研究所(機械所)の饒達仁・所長は、経済部技術処の企業支援プロジェクトを通じた今回の提携により、まずは米エネルギー省が25年から電力駆動システムに求める出力100キロワット(kW)の製品を開発すると説明した。
饒・所長は、EV分野で高い研究開発(R&D)力を持つ工研院と企業の提携により、台湾EV産業の高度化とネットゼロ実現につながると期待を見せた。
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所在地:中華民国台北市襄陽路9號8F
代表者:吉本康志
設立:1996年11月
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