リアルテックグローバルファンド2号、建築設計プロセスを再構築するFORMAS.AIに出資
スケッチから3Dモデル生成を数分で実現、建設業界の構造的課題の解決へ

UntroD Capital Asia Pte. Ltd.(アントロッド、本社:シンガポール、Managing Director:丸幸弘、以下「当社」)が運営するリアルテックグローバル2号ファンド(以下「G2号ファンド」)は、建築設計プロセスを再構築するFORMAS.AI(所在地:シンガポール・米国、CEO:Yiping Goh、以下「FORMAS.AI社」)の創業ラウンドにおいて新規出資を実施しました。本ラウンドはVertex Ventures Southeast Asia & Indiaがリードし、総額398万ドルの資金調達となりました。本調達は、2026年における東南アジアのプレシードラウンドとして最大規模の一つとなり、当社は日本市場への展開を支援するパートナーとして参画しています。
創業者のCarlos Bañón (右:Co-founder & CDPO) とYiping Goh (左:Co-founder & CEO)

業界の構造課題:品質と効率のトレードオフをどう乗り越えるか
建築・土木・エンジニアリングを含むAEC産業は、世界で約10兆ドル規模に達する巨大産業でありながら、その設計プロセスはいまだに本質的な進化を遂げていません。世界には250万人以上の建築家が存在する一方、多くは1980年代に確立されたCAD中心のワークフローに依存し続けています。
設計業務は、スケッチ、CAD、3Dモデリング、レンダリングといった複数ツールに分断されており、設計変更のたびに手動での変換や調整が発生します。その結果、設計者の多くが反復的な作業に時間を費やし、本来注力すべき創造的な判断に十分な時間を割けていない状況にあります。
さらに近年では、プロジェクトの早期段階から高精度なビジュアル提案が求められるようになり、設計者は契約前から多くの工数を投入せざるを得ない構造となっています。こうした非効率は個別企業にとどまらず、設計者・エンジニアを含むAEC産業全体の生産性を制約するボトルネックとなっています。
日本においても、2024年の時間外労働上限規制の適用(いわゆる「2024年問題」)を契機に、建設・設計分野の生産性向上は喫緊の課題となっています。こうした状況の中、建築設計は今まさに、1982年のAutoCAD登場以来ともいえる大きな転換点を迎えています。
建築家を「図面の作成者から、創造的な指揮者」へと変えるプロダクトとチーム
FORMAS.AI社は、この構造的課題に対し、スケッチから3Dモデル生成、ビジュアライゼーションまでを一気通貫で実行可能なAI設計プラットフォームを開発しています。分断されていた設計工程を統合し、設計初期のアイデアを直接構造的に整合したデータへと変換することで、設計プロセスそのものを再構築します。
同社の強みは、創業チームの稀有な組み合わせにもあります。共同創業者兼CPOのCarlos Bañón氏は、計算論的建築およびデジタルファブリケーション分野における世界的研究者であり、シンガポール大統領デザイン賞の受賞者でもあります。研究と実務の双方に精通し、設計の本質的課題を深く理解しており、プロダクト開発全体をリードしています。一方、CEOのYiping Goh氏は、複数の事業を成長させてきたシリアルアントレプレナーであり、大規模な事業展開を実現する実行力を有しています。
同社の技術の中核は、複数のモデルを用途ごとに制御する独自のオーケストレーション技術と、建築特有の構造・空間条件を組み込んだ設計アルゴリズムを中核としています。これにより、一般的な生成ツールに見られる「見た目は美しいが実現不可能な設計(ハルシネーション)」を抑制し、実際の建設に耐えうる精度を確保しています。さらに、従来は複数ツール間で発生していた手動のデータ変換を不要とし、設計ワークフローを一つの環境に統合することで、設計者の意図を保ったまま高速に設計を具現化することが可能となります。単なるツールではなく、設計プロセスそのものに組み込まれる基盤として機能する点に特徴があります。
2025年11月のβ版公開以降、わずか約5か月で世界135カ国・約6,000名のデザイナーに利用され、50万件以上のデザインが生成されるなど、急速にトラクションを拡大しています。

今後の期待
FORMAS.AI社のアプローチは、設計初期プロセスの効率化にとどまらず、建築設計という知的労働そのもののあり方を変える可能性を有しています。コンセプト検討からビジュアライゼーションまでのリードタイムは、従来の数週間から数分単位へと短縮され、設計の試行回数を飛躍的に増加させることが可能になります。
短期的には設計初期から3Dモデリングへの橋渡し機能の高度化、中期的には日本・米国・欧州における市場展開の加速、長期的には設計プロセス全体を統合する基盤としての確立が期待されます。また、設計データの蓄積により、各組織固有の設計思想や判断基準がデータとして蓄積されることで、長期的な競争優位性の構築にもつながります。
当社は本出資を通じて、FORMAS.AI社の日本市場への展開を支援するパートナーとして参画いたします。人口減少や労働力不足といった構造的課題に直面する日本において、設計・建設分野の高度化は不可欠です。グローバルで開発される先端技術を取り入れることで、設計者が創造的な判断に集中できる環境を整え、より良い都市・建築、すなわち「暮らしの未来」を形づくっていくことを目指します。
UntroD(アントロッド)について
地球や人類の課題解決に資する研究開発型の革新的テクノロジーを有するディープテックスタートアップの社会実装を目的とした「リアルテックファンド」を2015年に設立し、シード・アーリーステージのスタートアップへのリード投資およびハンズオン支援を行ってきました。現在までに、リアルテックファンド1号~4号(日本ファンド)、リアルテックグローバルファンド1号・2号(グローバルファンド)、リアルテックグロースファンド1号(日本ファンド)を運用し、運用総額は400億円以上に達しています。社会に必要とされながら資本が流れにくい未踏領域に誰よりも最初に踏み出し、その経済性を証明することで資本や人材が供給され続ける持続的な仕組み創りを目指す、その意志をより一層体現するため、「未踏」を意味する「UntroD」を社名として掲げ、2024年6月に再始動しました。
お問い合わせ
UntroD Capital Asia Pte Ltd
広報担当:成田
contact_global@untrod.inc
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