台湾風力発電設備製造業2022年の輸出入概況と主要メーカーの動向<ワイズ機械業界ジャーナル2022年12月第4週号発行>
〜台湾機械・エネルギー・電子・自動車業界の最新動向を分析する〜
ワイズコンサルティング グループ(本社:中華民国台北市、代表取締役:吉本康志)は台湾機械業界専門誌「ワイズ機械業界ジャーナル」の2022年12月第4週号を発行しました。今週号では、風力発電業界、医療器材業界、世界No.4のコンプレッサーメーカーの瑞智精密(RECHI)と台湾産業界が直面する課題を紹介します。
<最新号目次>
- 台湾風力発電設備製造業2022年の輸出入概況と主要メーカーの動向
- 台湾医療器材メーカー大手の2023年の経営戦略
- 世界No.4のコンプレッサーメーカー 瑞智精密(RECHI)
- 台湾産業界が直面する課題と2023年における対策(前編)
<台湾風力発電設備製造業2022年の輸出入概況と主要メーカーの動向>
一、輸入
台湾風力発電設備製造業の2021年の輸入額は228億4500万台湾元で、前年比81.89%増加した。輸入元別ではドイツが52.9%、デンマークが44.41%を占めた。台湾の洋上(オフショア)風力発電所の多くで採用されている独シーメンスとデンマークのヴェスタスの大型発電機の輸入が増えた。
台湾当産業の22年第1~3四半期(1~9月)の輸入額は190億8900万元で、前年同期比5.47%増にとどまった。シーメンス傘下の風力発電設備大手、シーメンスガメサ・リニューアブル・エナジー(SGRE)が台中港工業専業区に建設した洋上風力発電用ナセルの組立工場の出荷が始まったことで、ドイツからの輸入が減少した。一方、デンマークからの輸入額割合は90.46%に上昇した。台湾当産業の22年通年の輸入額は前年をやや下回る見通しだ。
二、輸出
台湾当産業の輸出は中小型風力発電機が中心だ。13年6月以降、日本海事協会(ClassNK)の認証を取得し、19~20年は日本が最大の輸出先だった。しかし、21年は中国企業との競争激化により、日本向け輸出額が前年比75.87%減少したことで、21年の輸出額全体は400万元と44.82%減少した。22年第1~3四半期(1~9月)は300万元で前年同期比11.98%減少した。22年通年でも2桁減になる見通しだ。
三、主要メーカーの動向
1.原料・部品サプライヤー
●上緯国際投資控股(上緯投控、スワンコール・ホールディング)
主に風力発電機ブレード用エポキシ樹脂や炭素繊維プリプレグなどの複合材料を供給している。22年1~10月の売上高は83億6300万元で、前年同期比6.69%減少した。
中国風力発電市場が予想以上に不調だった。第1~3四半期(1~9月)の税引き前利益は9億8900万元で、前年同期の約16倍に増加した。洋上風力発電事業の権益売却が寄与した。
●永冠能源科技集団(YGG)
風力発電機のハブなどを供給している。22年1~10月の売上高は75億800万元で、前年同期比2.35%増にとどまった。中国での風力発電開発減少が響いた。22年第1~3四半期(1~9月)の税引き前損益は3億7900万元の赤字だった。為替差損が拡大した。
●天力離岸風電科技(天力オフショア・ウインド・テクノロジー)
風力発電用ブレードを生産している。20年3月にヴェスタスと供給契約を締結し、22年下半期(7~12月)に出荷を開始した。22年上半期(1~6月)の税引き前損益は2億3700万元の赤字だった。先行投資が響いた。
2.陸上変電所の建設工事業者
●東元電機(TECO)
22年1~10月の連結売上高は479億9500万元で、前年同期比15.35%増加、第1~3四半期(1~9月)の営業利益は37億5200万元で、前年同期比43.02%増加した。
モーターと建設工事の売上高が増加した。第1~3四半期(1~9月)の税引き前利益は39億1600万元で26.18%減少した。大幅な営業外利益を計上した前年同期からの反動が出た。
●華城電機(フォーチュン・エレクトリック)
22年第1~3四半期(1~9月)の税引き前利益は4億700万元で、前年同期の約2.42倍に増加した。粗利益率の低い建設工事の売上高は減少したものの、同社全体の粗利益率が上昇したためだ。
3.風力発電機用タワー・海中基礎構造物関連メーカー
●金豊機器工業(Ching Fong)
プレス機械を供給しているほか、韓国CSウインドとの技術提携により風力発電機用タワーの生産も行っている。22年1~10月の連結売上高は57億1100万元で、前年同期比26.4%増加した。22年上半期(1~6月)の税引き前利益は5億3500万元で、前年同期の2.79倍に増加した。製品の出荷が拡大した。(続く)
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