健康長寿産業連合会と滋賀医科大学の共同研究~『我が国における健康経営の取組みと企業収益の関連性の検証』日本語翻訳を発表~
株式会社ルネサンス(本社:東京都墨田区、代表取締役社長執行役員:岡本 利治、以下「当社」)が、”人生100年時代を豊かにする健康のソリューションカンパニー”として参画する健康長寿産業連合会(会長:日本電信電話株式会社 代表取締役会長 澤田 純)は、国立大学法人滋賀医科大学(研究代表者 矢野裕一朗)との共同研究で「経済産業省 健康経営度調査」(2017〜2020 年度)の個票データを用いて、企業の健康経営施策と企業利益の関連性を検証し、2022年9月国際的学術雑誌『Epidemiology and Health (epiH)』(Journal impact factor 5.9)に論文掲載された内容を、日本語翻訳し発表いたしました。
■経緯・背景
健康長寿産業連合会 健康経営の推進ワーキンググループ(WG3)では、健康経営の推進をテーマに、『健康経営を通じた⽣涯現役社会の実現、および健康寿命の延伸』、『個々の企業における従業員等の健康保持・増進、それを通じた⼈材の定着・確保』、および『それらを推進することでの「健康寿命延伸産業」の創出・拡⼤』の実現を目的とし、活動を推進しています。健康経営の各施策の取り組みが、従業員の健康状態や企業の利益率向上、医療費抑制につながるのかを俯瞰的視点から同定することを目的として、国立大学法人滋賀医科大学 矢野 裕一朗教授との共同研究を開始しました。
■論文要旨
我が国では、企業の健康経営の取組み状況等を把握するために、経済産業省が、2014年から「健康経営度調査」を行っている。本研究は、この個票データを用いて企業の健康経営施策と企業利益の関連性を検証することを目的とした。
分析方法は、2017年度または2018年度に行った健康経度調査の質問項目および、調査時から2020年度までの企業利益の変化率(社員一人あたりに換算)を使用した。Gradient Boosting Decision Tree(GBDT:勾配ブースティングによる機械学習法)を用いて企業利益を予測するモデルを作成し、モデルに含まれた各説明変数(健康経営度調査の質問項目)が企業利益にどの程度寄与したのかSHAP値(SHapley Additive exPlanations)を用いて評価した。分析対象は、1,593社(従業員数4,359,834人)であり、従業員の平均年齢は40.3歳、女性比率は25.8%であった。作成したモデルの性能評価を行ったところ、正解率(Accuracy)0.997、適合率(Precision)0.993、再現率(Recall)0.997、及び曲線下面積(AUC)0.999であった。
分析の結果、企業利益との関連性が高かった項目は、喫煙者の割合(SHAP値0.121)、従業員1人当たりの保健事業費(0.084)、従業員1人当たりの医療費(0.050)、営業職の正社員割合(0.074)、流通・販売・サービス職の正社員割合(0.054)、睡眠により十分な休養がとれている割合 (0.055)、運動習慣者割合(0.043)であった。これらの結果から、従業員と組織における健康づくりの取り組みは、企業利益と関連することが判明した。健康経営に取り組み、従業員への健康投資を行うことは、健康的で生産性の高い労働力を生み出す可能性が示唆された。
矢野 裕一朗(Yuichiro Yano)
滋賀医科大学 NCD疫学研究センター(最先端疫学部門)教授
2002年自治医科大学医学部医学科 卒業。その後、故郷宮崎県で9年間の地域医療勤務を終え、2012-2020年に渡米。シカゴ大学、ノースウエスタン大学での
Research fellow を経て、デューク大学准教授に。ビッグデータ研究の主任研究者としてR01グラントを獲得。一連の研究成果はJournal of American Medical
Association (JAMA)などに掲載、New York Timesや FOX newなどのメディアで注目される。2020年8月、日本へ帰国、横浜市立大学 次世代医療センター 副センター長/准教授を経て、2021年10月より現職。専門分野は、疫学、ビッグデータ研究(健康経営など多岐の分野に及ぶ)、予防医学。American Society of
Hypertension Young Scholar AwardやJohn Laragh Research Awardなど国内外で多数受賞。
■日本語翻訳掲載ページ:
https://www.well-being100.jp/policy/20230316483/
■『Epidemiology and Health (epiH)』:
https://www.e-epih.org/journal/view.php?doi=10.4178/epih.e2022080
健康長寿産業連合会 健康経営の推進ワーキンググループ(WG3)では、健康経営の推進をテーマに、『健康経営を通じた⽣涯現役社会の実現、および健康寿命の延伸』、『個々の企業における従業員等の健康保持・増進、それを通じた⼈材の定着・確保』、および『それらを推進することでの「健康寿命延伸産業」の創出・拡⼤』の実現を目的とし、活動を推進しています。健康経営の各施策の取り組みが、従業員の健康状態や企業の利益率向上、医療費抑制につながるのかを俯瞰的視点から同定することを目的として、国立大学法人滋賀医科大学 矢野 裕一朗教授との共同研究を開始しました。
■論文要旨
我が国では、企業の健康経営の取組み状況等を把握するために、経済産業省が、2014年から「健康経営度調査」を行っている。本研究は、この個票データを用いて企業の健康経営施策と企業利益の関連性を検証することを目的とした。
分析方法は、2017年度または2018年度に行った健康経度調査の質問項目および、調査時から2020年度までの企業利益の変化率(社員一人あたりに換算)を使用した。Gradient Boosting Decision Tree(GBDT:勾配ブースティングによる機械学習法)を用いて企業利益を予測するモデルを作成し、モデルに含まれた各説明変数(健康経営度調査の質問項目)が企業利益にどの程度寄与したのかSHAP値(SHapley Additive exPlanations)を用いて評価した。分析対象は、1,593社(従業員数4,359,834人)であり、従業員の平均年齢は40.3歳、女性比率は25.8%であった。作成したモデルの性能評価を行ったところ、正解率(Accuracy)0.997、適合率(Precision)0.993、再現率(Recall)0.997、及び曲線下面積(AUC)0.999であった。
分析の結果、企業利益との関連性が高かった項目は、喫煙者の割合(SHAP値0.121)、従業員1人当たりの保健事業費(0.084)、従業員1人当たりの医療費(0.050)、営業職の正社員割合(0.074)、流通・販売・サービス職の正社員割合(0.054)、睡眠により十分な休養がとれている割合 (0.055)、運動習慣者割合(0.043)であった。これらの結果から、従業員と組織における健康づくりの取り組みは、企業利益と関連することが判明した。健康経営に取り組み、従業員への健康投資を行うことは、健康的で生産性の高い労働力を生み出す可能性が示唆された。
矢野 裕一朗(Yuichiro Yano)
滋賀医科大学 NCD疫学研究センター(最先端疫学部門)教授
デューク大学 客員教授/スタンフォード大学 Global Faculty
2002年自治医科大学医学部医学科 卒業。その後、故郷宮崎県で9年間の地域医療勤務を終え、2012-2020年に渡米。シカゴ大学、ノースウエスタン大学での
Research fellow を経て、デューク大学准教授に。ビッグデータ研究の主任研究者としてR01グラントを獲得。一連の研究成果はJournal of American Medical
Association (JAMA)などに掲載、New York Timesや FOX newなどのメディアで注目される。2020年8月、日本へ帰国、横浜市立大学 次世代医療センター 副センター長/准教授を経て、2021年10月より現職。専門分野は、疫学、ビッグデータ研究(健康経営など多岐の分野に及ぶ)、予防医学。American Society of
Hypertension Young Scholar AwardやJohn Laragh Research Awardなど国内外で多数受賞。
■日本語翻訳掲載ページ:
https://www.well-being100.jp/policy/20230316483/
■『Epidemiology and Health (epiH)』:
https://www.e-epih.org/journal/view.php?doi=10.4178/epih.e2022080
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