【医師431名に「自己研鑽」に関するアンケートを実施】約7割の医師が「自己研鑽」の定義を認識していない
「労働」との区別 67.1%が明文化を希望
調査背景
施行の日が来月に迫る「医師の働き方改革」では、長時間労働の改善を目的に、時間外労働の上限が規制されます。医師は、勤務時間内の診療のほか、日々、新しい治療法の学習や論文作成など「自己研鑽」に取り組んでおり、これが長時間労働の原因として挙げられることは少なくありません。厚生労働省は、大学病院に勤務する医師について、教育や研究に関わる研鑽や、これらに不可欠な準備を労働時間に含めるよう明示するなど、「自己研鑽」に関する動きや、注目度は高まりを見せています。
このような状況のなか、当事者となる医師たちは「自己研鑽」についてどのような考えをもっているのでしょうか。現在の自己研鑽への取り組み状況や自己研鑽の認識について調査しました。
調査結果のサマリー
■自己研鑽の取り組み状況について
・全年代で半数以上が自己研鑽に「取り組んでいる」
・自己研鑽と捉えることのトップは「新しい治療法や新薬に関する勉強」
■「労働」と「自己研鑽」の区別について
・約7割が「自己研鑽」の定義を認識していない
・「労働」との区別、67.1%が明文化を希望
自己研鑽の取り組み状況について
1. 全年代で半数以上が自己研鑽に「取り組んでいる」
自己研鑽に関して、67.5%の医師が「取り組んでいる」という結果となりました。年代別でみると20代で70.0%、30代で63.7%、40代で67.6%、50代で69.6%、60代で71.2%、70代以上で75 .0%となり、全年代で半数以上の医師が自己研鑽に「取り組んでいる」結果となりました。
また、1週間のうち「自己研鑽」に費やす時間に関しては、「1時間~3時間未満」と回答した医師が最も多く、34.4%に上る結果となりました。また、「10時間以上」と回答する医師は11.0%となり、1週間のうちに10時間以上もの時間を自己研鑽に費やしている医師が一定数いる結果となりました。
2. 自己研鑽と捉えることのトップは「新しい治療法や新薬に関する勉強」
実際に自己研鑽として取り組んでいる内容に関して、「新しい治療法や新薬に関する勉強」(266)が最も多く、次いで「学会・院外の勉強会への参加」(244)、「診療ガイドラインに関する勉強」(237)が続く結果となりました。
「労働」と「自己研鑽」の区別について
厚生労働省が公表する「医師の研鑽と労働時間に関する考え方について」では、【労働から離れることが保障されている状態で行われている】【就業規則上の制裁等の不利益取扱いによる実施の強制がないなど、自由な意思に基づき実施されているなど、使用者から明示又は黙示の指示がない】という2つの基準を満たす場合、労働時間に該当しないと記載されています。つまり、所定労働時間外で行われ自分の意思ですぐに終了することができる、かつ、上司からの指揮命令下に置かれたものでない場合には「自己研鑽」として取り扱われることになります。
3. 約7割が「自己研鑽」の定義を認識していない
厚生労働省が示す「労働」と「自己研鑽」の定義に関して、「知っている」と回答した医師は31.8%に留まり、68.2%の医師が「知らない」と回答しました。
4. 「労働」との区別、67.1%が明文化を希望
「労働」と「自己研鑽」の区別に関して、44.8%の医師が考え方やルールを明文化して欲しい・すべきという考えに「そう思う」、22.3%が「大いにそう思う」と回答。67.1%の医師が明文化を希望する結果となりました。
■「労働」と「自己研鑽」の区別の明文化を希望する理由(フリーコメント) ・曖昧にしておくと判断がつかず、労働側が不利になる可能性が高い。 [30代/小児科/勤務医(民間病院)] ・自己研鑽の定義が曖昧。[30代/小児科/勤務医(民間病院)] ・賃金に影響があるため。[30代/整形外科/勤務医(非常勤のみ、フリーランス)] ・明文化した方が分かりやすいから。[60代/一般内科/開業医] ・労働基準法に準じたものを明記してほしい。[20代/皮膚科/勤務医(民間病院)] ・内科系の医師の世界では、業務と自己研鑽の線引きが難し過ぎる。明文化した方が理解しやすく、 医師間の認識の差異を少なくできるから。[50代/美容皮膚科/勤務医(診療所・クリニック)] ・明文化しないと労働時間が正確にわからないから。[40代/精神科/勤務医(民間病院)] ■「労働」と「自己研鑽」の区別は不要とする理由(フリーコメント) ・明文化してもそれが結局は機能しないため、期待しなくなってしまっている。[30代/一般内科(訪問診療)/勤務医(診療所・クリニック)] ・自己研鑽は自発的なものであるべきなので、明文化することで自発的というニュアンスが薄くなる懸念がある。[40代/泌尿器科/勤務医(診療所・クリニック)] |
アンケート調査概要
・「自己研鑽」に関するアンケート
・調査対象:株式会社エムステージが運営する『Dr.転職なび』『Dr.アルなび』に登録する会員医師
・調査日:2024年2月6日~2月13日
・調査方法:webアンケート
・有効回答数:431
※引用・転載時には「株式会社エムステージ」とクレジットを明記下さい。
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株式会社エムステージ
「すべては、持続可能な医療の未来をつくるために」をビジョンに、医療従事者のキャリア支援・医療機関向け採用支援と事業場向け産業保健サービスを提供しています。
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