Indeed Hiring Lab、国際女性デーを前に「女性管理職」の動向を調査。「女性管理職の登用実績」をアピールする求人が6年で5倍に増加
女性の管理職応募率は4%と男性18%に対し低い中、管理職未経験やワークライフバランスへの支援体制訴求が、女性の管理職応募増加に効果的

世界No.1求人サイト(※1)「Indeed (インディード)」の日本法人であるIndeed Japan株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:大八木 紘之、https://jp.indeed.com 以下Indeed)は、国際的なエコノミックリサーチ機関であるIndeed Hiring Labのエコノミスト 青木 雄介によるレポート「女性管理職登用の意識、転職市場にも広がり」(3月4日公開)の主要ポイントについてまとめました。
女性の活躍推進は、企業に多様なメリットをもたらす可能性があることが、近年の研究や報告で示されており(※2)、「多様性によるイノベーションの促進」「企業価値の向上」「企業の持続的成長と社会的評価の向上」などが挙げられます。一方で、日本においては女性活躍推進が十分に進んでいるとはいえない現状があります。ILO(International Labour Organization)の統計(※3)によると、日本では就業者数に占める女性比率が45.4%(2024年)と、他のOECD加盟国と同様の水準である一方で、「管理職」における女性比率については、30%を超える国が多い中、日本は16.3%(2024年)と低水準(※4)です。厚生労働省は、2024年11月26日、女性の管理職比率について、従業員101人以上の企業を対象に有価証券報告書等での公表を義務付ける方針を示しました。そのような状況の中、企業は女性管理職の採用において、どのような対応をしているのか、Indeedの求人データや調査結果をもとに、Indeed Hiring Labが分析した結果をお知らせします。
◾️レポート主要ポイント
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「女性管理職の登用実績」を明記した求人は6年間で5倍に増加
Indeed上に掲載された求人で「女性管理職の登用実績」を明示する企業の割合が6年間で5倍に増加。言及率が高い職種カテゴリは、スポーツ(2.14%)、金融(1.92%)、カスタマーサービス(1.54%)。これらの職種カテゴリでは女性活躍推進に注力している傾向があると考えられる。 -
管理職求人への応募率は男女でギャップ。女性の応募率の低さには、管理職経験の有無や、ワークライフバランスへの懸念が影響している可能性が
管理職求人への応募率は、男性18.6%に対し、女性4.1%と男女差あり。女性の応募率が低い理由として、「管理職経験がないこと」「ワークライフバランスへの懸念」等が考えられる。企業は、女性管理職登用実績等の情報に加え、管理職未経験者の支援体制や柔軟な働き方の制度(リモートワーク、フレックスタイムなど)やその運用状況を、求人内で積極的に訴求することで、女性の管理職応募者を増やせる可能性も。
◾️Indeed Hiring Lab エコノミスト 青木 雄介のコメント
Indeedの求人掲載内容を調査すると、企業の「女性管理職」の登用・採用への意識が着実に高まっている傾向が確認されます。しかし、Indeedが2024年2月に実施した「管理職への転職に関する調査」からは、管理職求人への応募率は男女でギャップがあることがわかっています。本調査結果を分析すると、女性が応募に踏み切れない要因として「未経験ゆえの自己評価の低さ」や「管理職の働き方への懸念」があると考えられます。女性管理職の採用を目指す企業にとっては、管理職未経験者の支援体制や柔軟な働き方の制度など、女性が持ちやすいと考えられる不安を払しょくする情報提供やメッセージの工夫を求人上や、企業サイト等で行うなどの工夫が重要であると考えられます。
<Indeed Hiring Labエコノミスト 青木 雄介(あおき ゆうすけ)プロフィール>
英国UCL(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン)経済学修士。その後、外資系コンサルティングファーム等でエコノミスト・データサイエンティストとして政府・民間・司法機関に向けた経済統計分析及び報告書作成に従事。2022年8月より現職。Indeedのデータを活用してOECD各国及び日本の労働市場を分析し、外部関係者に向けて分析結果・インサイトを発信している。

■レポート概要
・求人内で「女性管理職の登用実績」をアピールする企業は6年で5倍に増加
Indeed上に掲載された求人データを分析すると、正社員の求人情報内で「女性管理職比率」「女性管理職の登用経験」を明示する企業の割合が増加していることがわかります。2025年1月時点では、正社員求人を出している企業のうち、女性管理職登用実績を明示しているのは0.76%と、まだまだ低い数値ではあるものの、2019年1月(0.15%)と比較すると6年で5倍へ拡大しています。

・多くの職種で「女性の管理職登用実績」を発信する求人が増加
女性の管理職登用実績に言及している求人の割合を、職種カテゴリ別に分析しました。
ほとんどの職種で言及率が上昇しており、2024年に言及率が高かった職種カテゴリは「スポーツ(2.14%)」「金融(1.92%)」「カスタマーサービス(1.54%)」「医療技術(1.40%)」「小売り(1.27%)」でした。
もともと女性が多い職種が上位に来ているようにも感じられますが、女性が多い他の職種(※5)を確認すると、女性管理職登用実績への言及率が低位にとどまっているものも複数見られます。例えば「事務(0.58%)」「看護(0.28%)」「医療事務(0.25%)」「薬剤(0.15%)」などです。
また、2024年に言及率が高い職種カテゴリは、2019年時点では、他の職種カテゴリよりも言及率が低かったケースも見られました。もともとの女性就業者の数や割合にかかわらず、上位の職種カテゴリでは女性活躍推進に注力している傾向があると考えられます。
その背景として、顧客のニーズや価値観の多様化が影響していることも考えられます。女性管理職登用実績への言及率が最上位であった「スポーツ」の場合、例えば代表的な職種である「スポーツインストラクター」において、受講者のスポーツをする目的やニーズの多様化に対応する必要性が高まっていることが、女性管理職登用のアピールに影響している可能性もあります。

・女性が管理職求人に応募しない理由は「管理職経験がない」「ワークライフバランスに不安」
「女性管理職の登用実績」を求職者に対してアピールする企業が増加していることが確認できましたが、その一方で、女性の求職者は「管理職求人」に対してどう反応しているのでしょうか。
Indeedが2024年2月に行った「管理職への転職に関する調査」において、管理職への応募率は男性が18.6%、女性が4.1%でした。
応募率においては男女間で14.5ポイントの差があります。「管理職への転職に関する調査」の結果をもとに、管理職への応募率に男女差が生じる理由を分析したところ、「年齢」「収入」「前職の職種」「過去の管理職経験の有無」などの差が主な要因であることがわかりました。特に大きく影響しているのが「過去の管理職経験の有無」でした。女性においては、過去に管理職経験がないと応募を控えやすい傾向にあるといえます。企業が、管理職未経験者でも管理職として採用したいと考えている場合であっても、特に女性は、なかなか応募に踏み出せない状況がある可能性があります。
また、本調査結果からは、「管理職になるとワークライフバランスが崩れるのではないか」と不安を抱く女性が多い様子も見受けられます。
非管理職求人には応募したものの管理職求人には応募しなかった転職活動経験者に対し、「管理職に応募しなかった理由」を尋ねたところ、男女ともに「ワークライフバランス」への懸念が最も多い結果となりましたが、特に女性の回答割合が(36.8%)男性 (25.6%) を大きく上回っていました。管理職の働き方に対する不安が、女性が管理職への応募をためらう一因となっている可能性が見てとれます。

これらの分析結果から、企業が管理職に女性を採用したいと考える場合、募集時の情報提供やメッセージを、特に女性が抱きやすい不安を払拭するように工夫することが有効だと言えそうです。女性管理職登用実績等の情報に加え、管理職未経験者の支援体制や、柔軟な働き方の制度(リモートワーク、フレックスタイムなど)やその運用状況を、求人内で積極的に伝えることも、効果的であると考えられます。
※1:Comscore 2024年3月総訪問数
※2:内閣府 男女共同参画局「令和5年度 女性の登用拡大と企業における経済的メリット等に関する調査研究報告書」
※3:ILOSTAT data explorer「Proportion of women managerial positions」
※4:ILOSTAT data explorer「Proportion of women managerial positions」(日本のみのデータ)
※5:厚生労働省「令和5年版 働く女性の実情」
◾️調査・分析概要
<女性の管理職登用言及についての調査・分析概要>
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調査・分析主体:Indeed Hiring Lab(Indeed Japan株式会社)
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調査・分析対象期間:2019年1月~2025年1月
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調査・分析手法:
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女性管理職の登用実績の言及割合:Indeedの正社員求人データのうち、「女性管理職の登用実績」「女性管理職の比率」などの関連キーワードを基に算出。
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管理職求人の応募率における男女のギャップ要因についての分析:経済学や社会学で用いられる統計手法であるOaxaca-Blinder分解(オアハカ・ブラインダー分解)を使用。
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※詳細は、「女性管理職登用の意識、転職市場にも広がり」をご覧ください。
<「管理職への転職に関する調査」概要>
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調査主体:Indeed Japan株式会社
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調査方法:インターネット調査
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調査期間:2024年2月21日~2月26日
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調査対象:現在就業中の20~59歳で、現在正社員として勤務しており、直近5年以内に転職活動(応募)を行った男女計15,014名。補正:「令和4年就業構造基本調査」を元に、正社員の性年代構成比にあわせて補正
※詳細は、「管理職への転職に関する調査」をご覧ください。
◾️Indeed Hiring Labについて
Indeed Hiring Labは、世界No.1求人サイト(※1)「Indeed」の国際的なエコノミックリサーチ機関です。Indeedの保有する豊富な独自データと一般公開されている各種ソースをもとに、労働市場に関するさまざまな調査・研究を実施し、メディア、研究者、政策立案者、求職者、採用企業の皆様に向けて知見を提供。グローバル労働市場に関する革新的なデータインサイトを発信し、仕事の現状について新たな議論が交わされる土壌を作り出します。Indeed Hiring Labの日本向けウェブサイト(https://www.hiringlab.org/jp/)では、日本における労働市場の状況や、仕事探しにおける最新トピック、注視すべき求職者行動などの調査・分析結果をレポートとしてまとめ、有益な情報を発信しています。
Indeed(インディード)について
Indeedは、最も多くの人が仕事を見つけている世界No.1求人サイト(Comscore 2024年3月総訪問数)です。Indeedには、5億8000万件以上の求職者プロフィールがあり、28言語で60か国以上の人々がIndeedで仕事を探したり、履歴書を投稿したり、企業を調べたりしています。 350万以上の雇用主がIndeedを利用して新しい従業員を見つけ、採用しています。詳細はhttps://jp.indeed.comをご覧ください。
※本プレスリリース、および、調査結果の詳細は、以下からもご確認いただけます。
Indeed Japan Press Room:https://jp.indeed.com/press/releases/20250306
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