リアルテックグローバルファンド2号、次世代固体酸化物形燃料電池技術で データセンター・産業向け電源を革新するTeragen Energyに出資
AI時代の電力需要急増に応え、系統に依存しない次世代電源の普及を後押し

UntroD Capital Asia Pte. Ltd.(アントロッド、本社:シンガポール、Managing Director:丸幸弘、以下「当社」)が運営するリアルテックグローバルファンド2号(Real Tech Global Fund 2、以下「グローバルファンド2号」)は、自律分散型電源ソリューションを開発するTeragen Energy(所在地:米国、CEO:Ruofan Wang、以下「Teragen Energy社」)のプレシードラウンドにおいて新規出資を実施しました。本ラウンドはBEVCとEnergy Capital Venturesが共同主導し、総額600万ドルの資金調達となりました。本調達により、Teragen Energy社の燃料電池技術はプロトタイプ段階から初の商業パイロットプロジェクトへと前進します。AIデータセンターの急拡大に伴い、日本・東南アジアでも電力供給の逼迫が深刻な経営課題となる中、当社は、Teragen Energy社の日本・東南アジア市場への展開を支援するパートナーとして本ラウンドに参画しています。

業界の背景:データセンター急拡大が生む「電力供給ギャップ」
生成AIの普及に伴い、データセンターの電力需要はこれまでにないペースで拡大しています。生成AI向けのワークロードは従来のITワークロードとは桁違いの電力密度を必要とし、単一のデータセンターが数百メガワット、時にはギガワット級の電力を要求する時代に入りました。一方で、これを支えるべき送配電網の整備は、需要拡大のスピードに追いついていません。新規発電設備や送電線の建設には許認可手続きだけで数年を要し、系統への接続待ちも各地で数年単位に膨らんでいます。この結果、電力を確保できるかどうかが、データセンター開発のスケジュールそのものを左右するボトルネックとなりつつあります。
こうした状況を受け、系統からの受電を待たずに施設内で発電する「自律分散型電源」への関心が急速に高まっています。しかし、ディーゼル発電機やガスタービンといった従来の自律分散型電源は、大気汚染物質の排出や騒音、広大な設置面積、燃料調達の制約といった課題を抱えており、恒久的な電源というよりは非常用のバックアップという位置づけにとどまってきました。データセンター事業者が本当に必要としているのは、系統電源に匹敵する信頼性とコスト効率を持ちながら、環境規制の厳しい地域でも導入でき、需要拡大のペースに合わせて段階的に増設できる電源です。
日本国内においても、この課題は同様に深刻です。データセンター新増設に伴う最大需要電力は、電力広域的運営推進機関(OCCTO)の見通しで2025年度の約47万kWから2034年度には約616万kWへ、約13倍に拡大すると予測されています。千葉県印西市では新規データセンターの受電開始まで最大10年待ちという事例も報じられる一方、秋田市では整備費2兆円規模の大型データセンター計画も進んでおり、投資の勢いに系統整備が追いつかないという構図が全国的に広がっています。系統接続を待たずに稼働できる高効率な自律分散型電源へのニーズは、日本市場においても急速に高まりつつあります。同様の構図は東南アジアでも見られます。マレーシア・ジョホール州では、データセンターの電力需要が急拡大する一方、送配電インフラの整備が追いつかず、開発のペースを左右する制約となっています。
次世代固体酸化物形燃料電池(SOFC)技術が拓く、自律分散型電源の新たな可能性
SOFCは、まさにこの要件に適した技術です。燃焼を伴わない電気化学反応によって発電するため、大気汚染物質やCO2の排出量が従来の内燃機関型電源と比べて大幅に少なく、都市近郊や産業地域でも設置しやすいという利点があります。また、モジュール構造を採用することで、データセンターの段階的な増設計画に合わせて発電容量を柔軟に拡張でき、稼働率や発電効率も従来の発電方式を上回る水準を実現できます。さらに天然ガスや水素など複数の燃料に対応できる燃料柔軟性を備えており、将来の燃料転換や炭素回収技術との組み合わせにも対応可能です。系統に依存しすぎない、強靭性の高い自律分散型電源として、SOFCはデータセンター・産業・電力会社それぞれのニーズに応えうる技術だと言えます。一方で、SOFCは技術としての優位性が知られながらも、これまでコスト・応答性・出力密度の面で商用化のハードルが高く、分散型電源として広く普及するには至っていませんでした。
Teragen Energy社は、CEOのRuofan Wang博士がバークレー国立研究所で共同発明した独自の固体酸化物形燃料電池の設計により、この商用化の壁を打ち破ります。同社の技術は、分散型電源用途において、コスト・効率・出力密度・応答性のすべてを同時に業界最高水準へ引き上げる道を切り拓くものであり、SOFCを「有望だが実用化が難しい技術」から「データセンターや産業拠点が今すぐ導入できる電源」へと変えるものです。さらにTeragen Energy社の技術は燃料の種類を選ばず、局所的な大気汚染物質の排出をほぼゼロに抑えつつ、エネルギー貯蔵や炭素回収機能をオプションとして構成することも可能であり、電力会社や産業拠点が将来の脱炭素要件に合わせて拡張できる柔軟性も備えています。
この技術的ブレークスルーを支えるのは、材料科学から事業開発までを一体で推進できる創業チームです。CEOのRuofan Wang博士は本技術の開発をバークレー国立研究所で主導してきた電気化学エンジニアであり、CTOのJoshua Persky氏は20年以上にわたりセラミックス材料・燃料電池技術のスケールアップに携わってきた専門家です。CCOのEmerson Reiter氏も、電力会社・クリーンエネルギー分野のプロジェクト開発で15年以上の経験を持ちます。技術開発・量産化・事業化の各領域に精通したメンバーが揃っていることは、Teragen Energy社の大きな強みです。同社の技術の中核をなすセラミックス材料の分野では、当社のLPである岩谷産業株式会社との連携強化を図っています。

米国を代表するVCがリードし、UntroDが東南アジア・日本進出を支える戦略的パートナーに
本ラウンドは、米国エネルギー産業をリードするBEVCおよびEnergy Capital Ventures®が共同主導しており、Teragen Energyの技術力と事業性が欧米の主要投資家から高く評価されていることを示しています。当社は、英国のAP Ventures、米国のAIC Ventures・MassCECといった欧米の有力投資家と並び、アジアからの唯一の参画者として本ラウンドに加わりました。
日本国内のSOFC市場はこれまで家庭用・小規模業務用を中心に発展してきましたが、データセンターが要求する数百メガワット級の電力密度・応答性・拡張性に対応する大規模分散型電源という領域は、これから本格的に立ち上がる新しい市場です。一方で、前述の通り、日本国内でもデータセンター新増設に伴う電力需要が急速に拡大しており、高効率な自律分散型電源へのニーズは、今後ますます高まることが見込まれます。
この構造的なギャップこそが、Teragen Energyにとって日本・東南アジア市場への大きな展開機会であると当社は考えています。当社は、Teragen Energyが技術優位性を活かして日本・東南アジア市場に参入する際の、現地パートナー・顧客開拓における架け橋としての役割を担ってまいります。本出資は、米国発の先端リアルテック企業とアジア市場を繋ぐ戦略的なポジショニングを確立するものです。
UntroD(アントロッド)について
地球や人類の課題解決に資する研究開発型の革新的テクノロジーを有するディープテックスタートアップの社会実装を目的とした「リアルテックファンド」を2015年に設立し、シード・アーリーステージのスタートアップへのリード投資およびハンズオン支援を行ってきました。現在までに、リアルテックファンド1号~4号(日本ファンド)、リアルテックグローバルファンド1号・2号(グローバルファンド)、リアルテックグロースファンド1号(日本ファンド)を運用し、運用総額は480億円以上に達しています。社会に必要とされながら資本が流れにくい未踏領域に誰よりも最初に踏み出し、その経済性を証明することで資本や人材が供給され続ける持続的な仕組み創りを目指す、その意志をより一層体現するため、「未踏」を意味する「UntroD」を社名として掲げ、2024年6月に再始動しました。
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UntroD Capital Asia Pte Ltd
広報担当:成田
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