広告業界の倒産、4年連続増加の可能性も
年末に向けた新型コロナの影響を警戒
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、多くの業界、企業がダメージを受けるなか、その余波が広告業界にも及んでいる。経済産業省発表の『特定サービス産業動態統計調査』では、4月~6月の広告業売上高の合計は約1兆303億円となり、前年同期から24.4%の落ち込みを見せている。マス4媒体に代わり、近年成長が著しかったインターネット広告においても売上高は前年を下回っており、消費低迷と各企業による広告費の縮減が深刻な状況であることがわかる。
広告関連業界は2019年まで3年連続で倒産件数が増加しており、新型コロナウイルスがこの先どのように影響を与えるのか、倒産件数推移への注目度は高い。
広告関連業界は2019年まで3年連続で倒産件数が増加しており、新型コロナウイルスがこの先どのように影響を与えるのか、倒産件数推移への注目度は高い。
<調査結果(要旨)>
2020 年は 4 年連続で前年比増加の可能性
「広告代理業」が 2020 年を上回るペースで推移
負債総額は「5000 万円未満」が最多
年末にかけて倒産が増加する可能性も
2020 年の広告関連業者の倒産は、9 月末までで 108 件。前年をわずかに上回るペースで推移しており、4 年連続して前年比増加の可能性がある。新型コロナウイルス感染拡大の影響は、広告業界にも暗い影を落としており、すでに広告関連業者の新型コロナウイルス関連倒産は6件確認 されている。帝国データバンクの実施している景気動向調査においても、飲食店、アパレル関連業者、旅館・ホテルなどに次いで、景況感は悪化しており、ダメージの大きさが見て取れる。今後、倒産件数の増加が懸念されている。
他方、今回の新型コロナ禍において、固定費率が高い業種ほど、倒産が増加しやすい傾向がみられる中で、広告業界は比較的固定費率が低いことが急増に至っていない要因とみられる。また、 景気変動の影響を遅れて受けることが多いとされる業界であるため、年末にかけて倒産が増加する可能性を抱えており、小規模事業者を中心に引き続き倒産動向に注視が必要であろう。
- 2020年1月~9月の広告関連業者の倒産件数は108件。2009年(258件)にピークを迎え、以降は減少傾向が続いていたが、2017年以降は増加に転じ、2020年も9月までのペースで発生すると、4年連続で前年を上回る可能性がある
- 業種別にみると、「広告代理業」が57件(構成比52.8%)で最多
- 負債規模別にみると、「5000万円未満」の小規模倒産が74件(構成比68.5%)で最多。10億円以上の倒産は発生していない
2020 年は 4 年連続で前年比増加の可能性
広告関連業者の倒産件数推移(月次)
「広告代理業」が 2020 年を上回るペースで推移
業種別
負債総額は「5000 万円未満」が最多
負債額別
年末にかけて倒産が増加する可能性も
2020 年の広告関連業者の倒産は、9 月末までで 108 件。前年をわずかに上回るペースで推移しており、4 年連続して前年比増加の可能性がある。新型コロナウイルス感染拡大の影響は、広告業界にも暗い影を落としており、すでに広告関連業者の新型コロナウイルス関連倒産は6件確認 されている。帝国データバンクの実施している景気動向調査においても、飲食店、アパレル関連業者、旅館・ホテルなどに次いで、景況感は悪化しており、ダメージの大きさが見て取れる。今後、倒産件数の増加が懸念されている。
他方、今回の新型コロナ禍において、固定費率が高い業種ほど、倒産が増加しやすい傾向がみられる中で、広告業界は比較的固定費率が低いことが急増に至っていない要因とみられる。また、 景気変動の影響を遅れて受けることが多いとされる業界であるため、年末にかけて倒産が増加する可能性を抱えており、小規模事業者を中心に引き続き倒産動向に注視が必要であろう。
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