【台湾情報】台湾バッテリー製造業の概況と2023年の展望<ワイズ機械業界ジャーナル2023年2月第4週号発行>
〜台湾機械・エネルギー・電子・自動車業界の最新動向を分析する〜
ワイズコンサルティング グループ(本社:中華民国台北市、代表取締役:吉本康志)は台湾機械業界専門誌「ワイズ機械業界ジャーナル」の2023年2月第4週号を発行しました。今週号ではバッテリー業界、エネルギー業界、金属加工機械業界と工作機械業界の最新動向を紹介します。
<最新号目次>
- 台湾バッテリー製造業の概況と2023年の展望
- 台湾における浮体式洋上風力発電の開発状況
- 金属加工機械メーカーの2022年の振り返り
- 台湾工作機械産業の情報セキュリティー強化策
一、産業概況
1.22年Q4の生産・販売額も2桁増へ
台湾バッテリー製造業の2022年1~10月の生産額は前年同期比15.2%増加、販売額は14.4%増加した。うち、電池産業の生産額は前年同期比9.48%増加、販売額は11.6%増加した。台湾のガソリン車・二輪車の新車に積載される大容量鉛蓄電池の需要は予想を下回ったものの、リチウムイオン電池セルの新生産ライン稼働が相次いだ。バッテリーモジュール産業の生産額は前年同期比34.3%増加、販売額は23.77%増加した。台湾産蓄電池モジュールの販売が好調だった上、電動車両用バッテリーモジュールの出荷が拡大した。
22年第4四半期(10~12月)の鉛価格は前年同期とほぼ同じ水準だが、台湾産新車の販売が好転し、鉛蓄電池の生産量、販売量の拡大が期待できるほか、大容量蓄電池モジュールの出荷拡大も続く見込みだ。このため、台湾バッテリー製造業の22年第4四半期の生産額、販売額も前年同期比2桁増となり、22年通年でも前年より大幅増加すると予想される。
2.22年Q4の輸出入額とも2桁増へ
台湾バッテリー製造業の1~10月の輸入額は前年同期比57.79%増加した。台湾のリチウムイオン電池モジュールの生産拡大に伴い、リチウム電池セルの輸入需要が増え、中国、韓国、日本からの輸入額はそれぞれ前年同期比66%増加、前年同期の3.331倍に増加、前年同期比14.6%増加した。エネルギー貯蔵用リチウム電池の輸入も増えており、台湾当産業の22年第4四半期の輸入額も前年同期比2桁増となる見通しだ。
台湾当産業の22年1~10月の輸出額は前年同期比31.7%増加した。中国のゼロコロナ政策の影響により、現地の電子製品メーカー向けの需要が減少し、同国向け輸出額は前年同期比10.3%減少したものの、家庭用蓄電池製品の需要増により日本向け輸出額が18.3%増加した。また、米国向けのリチウムイオン蓄電池と鉛蓄電池の輸出額も増加した。
鉛蓄電池と家庭用蓄電池製品は今後も需要拡大が期待できるため、台湾当産業の22年第4四半期は前年同期比2桁増となり、22年通年の輸出額も前年比2桁増となる見通しだ。
二、今後の展望
23年上半期生産・販売額は7~9%増に縮小へ
台湾では販売台数が伸びている電気自動車(EV)向けの電池、電機、電気制御製品などの生産に乗り出す企業が相次いでおり、中でも▽台湾水泥(台湾セメント、TCC)、▽鴻海精密工業、▽台塑集団(台湾プラスチックグループ)はリチウムイオン電池セル工場の増設計画を発表している。また、国家発展委員会(国発会)が22年12月28日に発表した、50年までの温室効果ガス実質排出ゼロ(ネットゼロ)実現に向けた12項目の重要戦略の一つに、再生可能エネルギーの電源構成(エネルギーミックス)比率を引き上げ、電力の供給バランス確保と電力網の強靭(きょうじん)性強化を実現するための「電力システム・エネルギー貯蔵」が位置付けられた。25年までにエネルギー貯蔵施設の容量を1.5ギガワット(GW)、30年までに5.5GWまで引き上げる目標で、エネルギー貯蔵向け電池製品の内需拡大が期待できる。さらに、サーバー用電池モジュールの台湾での生産規模も高まってきている。(続く) ワイズ機械業界ジャーナル
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