ABEJA、NEDO公募「日本語版医療特化型LLMの社会実装に向けた安全性検証・実証」 における研究開発を開始

ABEJA

  人とAIの協調により「ゆたかな世界を、実装する」株式会社ABEJA(本社:東京都港区、代表取締役CEO:岡田 陽介、以下「ABEJA」)は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」)が公募した「日本語版医療特化型LLMの社会実装に向けた安全性検証・実証」(以下「当該事業」)に関する研究開発につきまして、当該事業の代表法人であるさくらインターネット株式会社(以下「さくらインターネット」)と正式に契約を締結いたしました。 

 当該事業は、医療現場において安全で安心して利用できるAIの実現を目的に、内閣府の「研究開発とSociety 5.0との橋渡しプログラム(BRIDGE)※1」における施策として、NEDOが実施する事業です。 

 ABEJAは、さくらインターネットおよび関係各所と協力し、医療LLMの社会実装に向けて取り組んでまいります。 

 ■ 背景および目的 

 ABEJAは、「ゆたかな世界を、実装する」を経営理念に掲げ、ミッションクリティカル業務へのAI導入支援のため、基盤システムとなるABEJA Platformの開発・導入・運用を行う「デジタルプラットフォーム事業」を展開しています。ABEJAは、2012年の創業時よりディープラーニング、2018年からLLM(大規模言語モデル)、2019年から量子コンピューティングなどの前衛的研究開発を積極的に行っており、随時、研究開発成果をABEJA Platformに搭載しております。 

 またABEJAは、経済産業省が立ち上げた「GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)」の元、NEDOが進めるプロジェクトに、第一期(2024年2月~2024年8月)および第二期(2024年10月~2025年4月)に採択されるなど、LLMの社会実装に貢献してまいりました。 

 現在、国内においては、医療従事者の不足や過重労働、少子高齢化に伴う医療需要の増大が見込まれており、限られた医療資源の効率的な活用を進めることが重要な課題となっています。 

 この課題解決に向けて、近年、マイナンバーカードを用いたオンライン資格確認や電子処方箋など、政府が主体となった医療機関のDX化が進んでいます。中でも、皆保険制度のある日本においては、高い質と量の医療データがすでに全国規模で蓄積されており、医療情報の一元管理と共有を実現し、全国どこでも高い医療を受けられるようになるためのアプローチとして、電子カルテの活用があげられます。 

 政府は、電子カルテのデータを統合し、医療機関間での連携、患者によるパーソナルヘルスレコード(PHR)※2の利用などを推進していますが、電子カルテのフォーマットは各医療機関で異なり、データの収集や加工に多大な労力を必要とするため、活用が進んでいないのが現状です。 

 こうした現状の電子カルテの課題解決に有効な手法が、先駆的な医療LLMの実装です。各医療機関で異なるフォーマットの電子カルテデータを、医療LLMを用いて繋ぎ、データの収集や変換を自動化することで、電子カルテデータの標準化およびレジストリ※3の実現を目指すことが可能となります。また医療機関間でデータが統合されることで、医療機関を横断した被験者の探索や被験者データの抽出、データトラッキングなど、医療におけるプロセスの効率化が大幅に向上します。 

 特に医療LLMを用いて医療機関間の電子カルテの違いを超え、高品質なレジストリを構築することは、日本の創薬力を飛躍的に向上させるデータ環境と研究基盤を確立し、国際競争力を強化すると同時に、国内の医療産業の発展と患者の最適治療を両立できる可能性を創出します。 

 当該事業は、医療DXにおける電子カルテデータの標準化および電子カルテと連携したレジストリの構築を目的に、安全性の担保された最高性能の医療LLMを開発します。このたびの採択において、ABEJAは、LLMおよび周辺技術の研究開発、実装の実績を評価いただき、主にLLMシステムの開発に携わることとなりました。ABEJAにおいても、国益につながる当該事業に携わることは、「ゆたかな世界を、実装する」という経営理念を実現する上でも意義のある取り組みであると考えております。 

 ABEJAは、2012年から研究開発をしてきたMLOpsの研究成果に基づいて、LLMに加えLLMがデータを効率よく取り入れられる周辺技術の研究開発を進めてまいりました。ABEJAは現在、人とAIが協調してオペレーションする「Human in the Loop」、LLMが自律的なアクションを計画・実行できる「Agent機能」、不適切な出力をフィルタリングする「ガードレールシステム」、誤情報や個人情報、機密情報の学習を防ぐ「プライバシーフィルター」などを包含する「ABEJA LLM Series」をABEJA Platformに統合し、提供しております。関係各所と協力し、ABEJAが培ってきたノウハウを当該事業で発揮し、医療現場での実装を実現する、安全性と最高性能を備えた医療LLMの構築を進めてまいります。 

 ■ 概要 

 当該事業においては、電子カルテデータの標準化、創薬における電子カルテと連携したレジストリをユースケースに想定し、LLM開発エンジニアと医療従事者が緊密に連携しながら、医療現場で利活用できる水準の安全性や精度を担保した日本語版医療特化型LLMの開発を進めてまいります。 

 ABEJAは、LLMシステムの開発を担い、関係各所と協力し、医学知識安全性を備えたモデル学習、開発したLLMのインターフェイスやバックエンドなどデータおよびシステムの開発を推進します。具体的に当該事業において、ABEJAは、関係各所と連携し、異なるフォーマットの電子カルテのデータの対応関係を自動的に把握し、レジストリ構築や任意形式への変換作業を自動化し、予後データの自動トラッキングなどを随時アップデートする医療LLMシステムの構築を目指しております。 

 電子カルテのような複雑な構造を持つ情報を把握し、専門的な内容を正確に理解したうえで、必要な情報を自律的に参照し指定された形式で出力するタスクは難易度が格段に高いものとなります。電子カ

ルテデータと連携し、自律的にデータを扱えるLLMを開発するために、構築した医療LLMが最高水準の精度を達成することを視野に取り組んでまいります。 

 

 また、開発したLLMを医療現場において利活用するためには、倫理や責任、個人情報保護、セキュリティなど極めて高い水準の医療特有の安全性や信頼性が求められます。現状、医療現場でLLMが遵守すべき安全性の具体的な項目はまだ確立されていないものの、今後、LLMを臨床業務の中核に社会実装していくためには、医療現場で求められる安全性のフレームワークの構築も必要不可欠と考えております。 

 ABEJAは、2019年より、AIに関する課題について外部の有識者が倫理、法務的観点から討議する委員会「Ethical Approach to AI」(EAA)を設立し、客観性、独立性を担保した意見や知見を鑑みつつ、各課題に対応しております。このノウハウを用いて、最新の医療ガイドラインを含む様々な医療情報に準拠したモデルの出力や判断の根拠となる出典の明示、状況に応じて機密情報の出力レベルを厳密に制御できる仕組みの実装などを進めてまいります。 

公募事業名 :日本語版医療特化型LLMの社会実装に向けた安全性検証・実証 

代表法人: さくらインターネット株式会社 

事業期間 :2025年度(1年間) 

NEDO公表内容 :採択結果公表ページ URL https://www.nedo.go.jp/koubo/CD3_100392.html

参照リンク:https://www.abejainc.com/news/20250423/1 

                                         当該事業で目指す日本語版医療特化型LLMの概要図(イメージ) 

※1 研究開発とSociety5.0との橋渡しプログラム(BRIDGE):https://www8.cao.go.jp/cstp/bridge/index.html 

※2 パーソナルヘルスレコード(PHR):個人の健康や医療、介護に関する情報を、患者自身がデジタルで一元的に管理し、活用する仕組み 

※3 レジストリ:特定の疾患や治療に関する情報を収集・管理するためのデータベース 

 ■ 株式会社ABEJAについて 

 ABEJAは、「ゆたかな世界を、実装する」を経営理念に掲げ、ミッションクリティカル業務へのAI導入支援のため、基盤システムとなるABEJA Platformの開発・導入・運用を行う「デジタルプラットフォーム事業」を展開しています。ABEJA Platformは、ミッションクリティカル業務における堅牢で安定した基盤システムとアプリケーション群であり、生成AIをはじめとする最先端技術による運用が人とAIの協調により実現可能です。ABEJAは、2012年の創業時よりABEJA Platformの研究開発を進めており、顧客企業からの信頼のもと、数多くの導入を進めることで「テクノロジーの力で産業構造を変革する」ミッションに取り組んでいます。 

本 社 :東京都港区三田一丁目1番14号 Bizflex麻布十番2階 

設 立 :2012年9月10日 

代 表 :代表取締役CEO 岡田 陽介 

事 業 :ミッションクリティカル業務へのAI導入支援のため、基盤システムとなる ABEJA Platformの開発・導入・運用を行う「デジタルプラットフォーム事業」 

URL :https://abejainc.com 

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会社概要

株式会社ABEJA

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URL
http://www.abejainc.com/
業種
情報通信
本社所在地
東京都 港区三田一丁目1番14号 Bizflex麻布十番2階
電話番号
-
代表者名
岡田陽介
上場
東証グロース
資本金
-
設立
2012年09月