【OIL by 美術手帖ギャラリー】「仮想世代陶芸 Virtual generation pottery」展を2月19日より開催。出展作家は宮下サトシ、酒井智也、乙うたろう
OIL by 美術手帖ギャラリー(渋谷パルコ2F)にて、2月19日〜3月8日にかけて陶芸のグループ展「仮想世代陶芸 Virtual generation pottery」を開催。
このたびOIL by 美術手帖ギャラリー(運営:株式会社 美術出版社)では、陶芸のグループ展「仮想世代陶芸 Virtual generation pottery」を開催します。当ギャラリーでの陶芸の展覧会は、昨年12月に開催した「渋谷パルコ陶器売り場」展に続き、2度目となります。
本展に出展する宮下サトシ、酒井智也、乙うたろうは、それぞれ東京、瀬戸、神戸を拠点に活動。ともに1990年前後に生まれた若手陶芸家たちです。宮下の呼びかけによって集い、陶芸という同じ分野で活動しながらもそれぞれ異なるアプローチを試みる3人ですが、そこには共通点があると言います。それは、幼少期から映画やアニメ、マンガなどの「仮想世界」への興味が、制作のための大切なモチベーションになっていること、そしてその仮想世界を表現するのに陶という素材、形態が必要不可欠だということです。本展では3人の「仮想世界」とのつながりや経験から、作家たち自身が「仮想世代陶芸」というテーマを掲げました。
本展出品作品は、会場のほか、ECサイト「OIL by 美術手帖」でもオンラインでご購入が可能です。
□作家より本展に寄せて
宮下サトシ
幼少期、少年時代に受けた影響が、今の自分の作品に大きく影響を与えている。
カートゥーン ネットワーク(アメリカのケーブルテレビ)でずっと見ていた、古いアメリカのアニメーション、『モンテッソーリ子供の家』、粘土細工や工作、兄の持っていた手塚治虫の『火の鳥(鳳凰編)』、漠然とした恐怖、高熱を出したときの記憶、楽しかった記憶など……。最近では特に、「カートゥーン、サイケデリック、瞑想」などをテーマの主軸とした陶芸作品の制作を進めているが、そのテーマは自分の原体験(架空の体験も含む)から発生したテーマである。
以前はカートゥーンと瞑想という、一見関係のないもの(動と静、陰陽のようなもの)になぜ同時に興味があるのか自分でも戸惑っていたが、『ミッドナイト・ゴスペル』(NETFLIXで現在配信しているアニメーション)を見て、何かが腑に落ちるようになり、原初的な体験に立ち返ることで、陰陽のようなものが同時に存在することを自分で許せるようになった。
陶芸という技法は、土に触れながら、イメージを形にしていくことができるという、プリミティブな技法であり、その行為自体が瞑想的でもある。そして、焼成した作品は重みを持ってそこに存在する。
以前はクレイアニメーションも制作していたが、完成した作品が物質としてそこに長く存在するという点で、大きな違いがある。また、空気を内包する形を持つ場合、内側に精神的、物質的な空間が生まれる。今回はそこを覗き込みたくなるような作品を、自分のテーマと紐付け、いくつか制作した。本展は自分にとって、次の展開への大事な一歩目になると思う。
酒井智也
インターネットや SNS などの情報革命により、私たちは日々情報を浴び続けている。多くの情報のなかで、自分自身を形成してきた重要な記憶でさえ、無意識の底に消えていってしまう。
私はロクロでの制作を通して、余分な情報から自身を切り離し、瞑想するように自己と向き合うことができる。そして、頭の中でカオスのように存在している情報や記憶を整理するように制作をしていく。また、力を加えると形を記憶する粘土の可塑性という特徴は、無意識下における身体表現をそのままの形で宿すことができる。ロクロという技法、粘土という素材を使って無意識に眠るイメージを探り、それらを意識的に再構築しながら作品をつくり上げる。
私の作品は、過去に見た景色、情報、アニメ、映画、様々なイメージが多層的に潜んでいる。それらのイメージはすべての人と共通する部分があり、作品を観ることで無意識下に消えてしまった重要な記憶を呼び覚ますきっかけになればと思う。
乙うたろう
土を積み、線を刻み、うまれたつぼみ。どこにいても、どんなときでも、空のつぼみは包みこむ。世界の外の輪郭も。
壺にキャラクターを描き、依り代をつくる。人の性、身体にとらわれない形。陶器の長い年月にのせて。
□プロフィール
宮下サトシ Satoshi Miyashita
1992年東京都生まれ。2016年多摩美術大学工芸学科陶専攻卒業。近年の主な展覧会に、19年キュレーションおよび出展「ceramic scramble」(五反田ゲンロンアトリエ、東京)、「TOKYO2021 慰霊のエンジニアリング」(戸田建設、東京)、「ART AS GIFT」(オン・サンデーズ、東京)、20年「Satoshi Miyashita popup」(BEAMS JAPAN 新宿、東京)、「BROCKHEAD MOTORS RC CAR EXHIBITION」(TOKYO CULTUART by BEAMS、東京)、「once again」(TOKYO cultuart by BEAMS、東京)、「Y-generation artist」(銀座 蔦屋書店アトリウム、東京)、「Beautiful Dreamer」(ware house gallery、香港)、21年「Gallery of taboo」(日本橋、東京)など。
酒井智也 Tomoya Sakai
1989年愛知県西尾市生まれ。現在、愛知県瀬戸市にて活動。2015年名古屋芸術大学陶芸コース卒業。19年多治見市陶磁器意匠研究所修了。主な受賞歴に、14年「第10回国際陶磁器展美濃」入選、17年・19年「金沢・世界工芸コンペティション」入選、20年「台湾国際陶磁ビエンナーレ」入選。
乙うたろう Kotaro
1994年兵庫県生まれ。現在、兵庫県神戸市にて活動。2016年京都精華大学デザイン学部卒業。キャラクターの身体をテーマに、壺を身体に見立てた陶器作品《つぼみ》を制作。主な展覧会に、14年「キャラクラッシュ!」展(カオス*ラウンジ、東京)、16年「乙うたろう・名もなき実昌『jpegと幽霊』」展(ゲンロン カオス*ラウンジ五反田アトリエ、東京)、17年「大寺俊紀+乙うたろう『やわらかな脊椎』」展(CAS、大阪)、19年「Small impact」展(KUNST ARZT、京都)。
□作品販売について
本展出品作品は、オンラインでも販売いたします。ECサイト「OIL by 美術手帖」にて、2月20日(土)16:00から順次公開します。
□展覧会概要
「仮想世代陶芸 Virtual generation pottery」
会場 OIL by 美術手帖
会期 2021年2月19日(金)〜3月8日(月)会期中無休
開場時間 11:00〜20:00
※「緊急事態宣言」の発令をうけて、渋谷PARCO全館において営業時間を変更しています。
※状況に応じて変更の可能性がございます。最新の開館状況は渋谷PARCO公式ウェブサイトをご確認ください。
住所 〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷パルコ2階
電話番号 03-6868-3064
観覧料 無料
アクセス 渋谷駅ハチ公口徒歩5分
URL https://oil-gallery.bijutsutecho.com/
Twitter @OILbyBT
Instagram @OILbyBT
〈OIL by 美術手帖について〉
これまでアートシーンの動向を伝えてきた『美術手帖』が、日本を代表するギャラリーやアートストアとともにつくる、アートのマーケットプレイスです。メディアとしてアートと社会をつなぐ役割を担ってきた『美術手帖』は、このサービスを通じて「アート作品の購入」という体験をお届けします。2019年秋に新生・渋谷パルコの2階に実店舗をオープン。〈Gallery〉〈Cafe〉〈Shelf〉という3つの機能を展開し、アート作品との出合いの場を創っています。
https://oil.bijutsutecho.com/
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