国際NGOプラン・インターナショナルが、アジア太平洋地域における早すぎる結婚(児童婚)の調査レポートを発表「今こそ行動を!常識を変えていく」

5人に1人の女の子や女性が経験している児童婚を防ぐ鍵は、社会規範・ジェンダー規範の変革

国際NGOプラン・インターナショナル(所在地:東京都世田谷区 理事長:池上清子 以下、プラン)は、アジア太平洋地域に根強く残る、早すぎる結婚(児童婚)、強制結婚の要因となっている社会規範・ジェンダー規範の弊害を特定し、ジェンダー・トランスフォーマティブ・アプローチによる戦略的な行動を取ることの重要性を提言するレポート「今こそ行動を!常識を変えていく」(原題 Time to Act! Storming the Norms)を発表しました。

「今こそ行動を!  常識を変えていく」 出版年: 2022年
● 英語版全編(108ページ)(PDF:4 MB)
https://www.plan-international.jp/about/pdf/2211_Storming_the_Norms.pdf
● 日本語版全編(108ページ)(PDF:5 MB)
https://www.plan-international.jp/about/pdf/2211_Storming_the_Norms_JP.pdf

増え続けるアジア太平洋地域における早すぎる結婚(児童婚)
早すぎる結婚(児童婚)、強制結婚は、女の子や女性の権利侵害にあたる有害な慣習です。世界では、約6億5000万人の女の子や女性たちが18歳未満での結婚を経験しています。過去10年間で、児童婚を経験した女性の割合は、約4人に1人から5人に1人と減少傾向にありますが、その進捗は国や地域によって異なります。世界の既婚の女の子の3人に1人、約1600万人がインドに暮らしており、その他、バングラデシュの250万人、パキスタンとインドネシアがそれぞれ120万人と高い数値を示しています。

アジア太平洋地域では、持続可能な開発目標(SDGs)の目標5「ジェンダーの平等を実現しよう」のターゲット5.3「未成年者の結婚、早期結婚、強制結婚、および女性器切除など、あらゆる有害な慣行を撤廃する」の達成に向けた進捗は遅々としており、道筋が立っていない状況です。

早すぎる結婚(児童婚)防止に向けた改善策がほとんど取られないまま年月が過ぎる中、多くの幼い女の子たちが結婚を強いられ、あらゆる形態の暴力の対象となってしまっています。児童婚は男の子よりも女の子に多大な影響を及ぼします。女の子から教育、社会参加、エンパワーメントの機会を奪い、性と生殖に関する健康と権利を侵害し、自立の機会を制限するとともに、性的・身体的暴力に遭う危険性を高めます。とりわけ、児童婚により、資源へのアクセスが制限され、社会的義務を背負った女の子たちは、嫁ぎ先の義理の家族に依存するしかない負の連鎖に陥ってしまいがちです。

児童婚が存続する根本的な要因は複雑であり、特有の要因が相互に関連していることを示す証拠がある一方で、共通のパターンも確認されています。児童婚が発生する最も大きな要因は、貧困、娘の安全や家族の名誉に対する両親の懸念、女の子の教育機会の欠如、結婚以外の選択肢の欠如、人道危機、若年妊娠などです。

早すぎる結婚(児童婚)、強制結婚を根付かせている社会規範・ジェンダー規範
本調査は詳細な文献調査と情報提供者へのインタビューに基づき、アジア太平洋地域において、早すぎる結婚(児童婚)、強制結婚を根付かせている社会規範・ジェンダー規範を明らかにしています。また、社会規範やジェンダー規範が、さまざまな構造やセクターにおいてどのように増幅されているかを検証し、これらの有害な規範に対抗するための提言を作成。社会規範やジェンダー規範の変化を測るための指標や測定基準、また有害な規範を変革するための有望な実践やアプローチとともに、ポジティブな規範の事例も提示しています。

この調査を通じ、早すぎる結婚(児童婚)防止の近道は、性別の役割分担、性別に基づく資源へのアクセスとコントロールの度合い、家庭内の意思決定や自身の身体や人生に関する選択における意思決定の際に見られるジェンダー・バイアスやジェンダー規範、社会規範を変えることであることが明確になりました。

 ジェンダーの不平等や有害な社会規範は、女の子や女性が軽視され意思決定の場への参加を制限する要因であると同時に、早すぎる結婚(児童婚)、強制された結婚を根付かせている根本原因でもあります。社会規範とジェンダー規範の両方を理解し変革を試みることが、この課題に取り組む上で必要不可欠であると言えます。

早すぎる結婚(児童婚)、強制結婚を継続させる社会規範・ジェンダー規範に対抗する提言
• 女の子をエンパワーメントする取り組みへの投資と実施
• ユース主導型活動のパートナーとしての若者の参画
• 有害な社会規範・ジェンダー規範変革へ向けた信仰に基づく指導者との活動
• 女の子の教育に影響を及ぼす社会規範・ジェンダー規範に関する各家庭およびコミュニティの啓発活動
• ジェンダーに配慮し、文脈に応じた包括的な性教育とSRHR情報およびサービスの提供
• 変革の主体としての男の子や男性の参画
• 有害な規範と行動の変容とジェンダー平等に関する法の最適化とその実施強化のための多角的な戦略

*社会規範とは
自身が属する準拠集団(人の価値観、信念、態度、行動などに強い影響を与える集団)にいる他の人々の考えや行動を信じること、または人々がとるべき典型的行動や行動への期待のこと

*ジェンダー規範とは
社会規範のサブセットであり、「ある集団や社会における女性と男性の許容範囲や適切な行動を定義する社会規範」のこと。ジェンダー規範は、制度や社会的相互作用の中に組み込まれ、再生産されるものであり、人々がそれを遵守することで利益を得る権力者によって強制されるものである

 *ジェンダートランスフォーマティブ・アプローチとは
子どもたちの権利と女の子に対する平等を達成するために、あらゆる活動とインフルエンシングにおいてジェンダー平等を目指すために活用する手法。ジェンダー・トランスフォーマティブ・アプローチとは、プランが実施するあらゆる活動において、ジェンダー不平等の根本原因、とりわけジェンダー間の不平等な力関係、差別的な社会規範と法律の是正に積極的に取り組むことを意味する
【参考資料】ジェンダー・ トランスフォーマティブ・ プログラム ガイドブック
https://www.plan-international.jp/about/pdf/2104_GTP_guidebook.pdf

 

プラン・インターナショナルは、女の子が本来持つ力を引き出すことで地域社会に前向きな変化をもたらし、世界が直面している課題の解決に取り組む国際NGOです。世界75カ国以上で活動。世界規模のネットワークと長年の経験に基づく豊富な知見で、弱い立場に置かれがちな女の子が尊重され、自分の人生を主体的に選択することができる世界の実現に取り組んでいます。

 

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。

すべての画像


会社概要

URL
https://www.plan-international.jp/
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
東京都世田谷区三軒茶屋2-11-22 サンタワーズセンタービル10階・11階
電話番号
03-5481-6100
代表者名
池上 清子
上場
未上場
資本金
-
設立
1983年05月