スペースデータ、河川氾濫の進行を3Dで再現する「River Flooding Simulator」をリリース
宇宙AIプラットフォーム「SpaceBrain」のGeo-Resilience新機能。令和元年東日本台風時の多摩川下流域の外水氾濫を、越水から堤防決壊・浸水拡大まで時系列で可視化

株式会社スペースデータ(本社:東京都港区、代表取締役社長:佐藤航陽、以下「スペースデータ」)は、宇宙AIプラットフォーム「SpaceBrain」のレジリエンス領域「Geo-Resilience」の新機能として、河川の氾濫や堤防の決壊によって市街地に水が流れ込む「外水氾濫」の発生から拡大までの過程を3Dでシミュレーションする「River Flooding Simulator」をリリースしました。第一弾として、令和元年東日本台風(2019年・台風19号)で氾濫が発生した多摩川下流域を対象に、越水の発生から堤防決壊、浸水拡大にいたる一連の進行を、実際の地形データに基づいてWebブラウザ上で時系列再生できます。
背景
外水氾濫は、多量の雨により河川が氾濫したり、堤防が決壊したりすることで市街地に水が流れ込む現象です。少しずつ市街地が水に浸かる内水氾濫とは異なり、勢いよく水が流れ込むため、河川に近いエリアほど被害が大きくなる懸念があります。住宅や自動車が水で押し流される、高齢者や子どもが逃げ遅れるといった物的・人的被害も予想されます。
一方、こうしたリスクを伝える主要な手段であるハザードマップは静的な情報にとどまり、「氾濫がどこから始まり、どの順で、どのように広がるのか」という時間的なプロセスを直感的に理解することは容易ではありませんでした。防災教育やリスクコミュニケーションの現場では、実際の地形に沿って氾濫の進行を視覚的に体感できるツールが求められています。
スペースデータは、地球環境を精密に再現するAI技術やデジタルツイン技術を防災領域に応用し、気象災害やインフラ途絶の被害を予測・評価する機能群を提供してきました。今回の機能はその一環として、河川氾濫の進行過程そのものを立体的に可視化するものです。
「River Flooding Simulator」の本リリース概要

多摩川下流域(狛江~二子玉川~田園調布~河口付近)を対象に、堤防の低い4カ所の越水地点から浸水が拡大していく過程を、「台風の接近→越水→氾濫拡大→ピーク→水位低下」の5段階のタイムラインで時系列にシミュレーションしており、3D地図上には以下を統合的に表示します。
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実地形に沿った浸水拡大の再現:国土地理院の数値標高モデル(DEM)に基づき、越水地点から周辺の低地へ浸水が広がる様子を再生します。
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堤防決壊プロセスの可視化:越水による堤防の侵食から決壊、堤内地(堤防に守られた市街地側)への濁流の噴出、飛沫の飛散までの一連の進行を3Dで表現します。
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防災情報の統合表示:気象・洪水情報・避難情報のパネルに加え、広域浸水マップや、氾濫危険水位と対比した河川水位の推移グラフを1つの画面に集約します。
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Webブラウザのみで動作:専用ソフトウェアを必要とせず、ブラウザだけで3D表示・操作が可能です。
技術的な特徴
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実標高データに基づく氾濫フロント計算:国土地理院の数値標高モデル(DEM)を読み込み、対象領域を512×384のグリッドに分割。各地点の地形標高と水面標高の比較判定によって水面を描画することで、実地形に忠実な氾濫フロント(浸水の先端)の拡大を再現します。氾濫フロントの到達時刻は、水位が越流開始水位を超えた分の時間積分によって算出しています。
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査読論文の知見に基づく堤防決壊・飛沫の表現:越水による堤防裏側斜面(裏法面)の侵食が法肩から法尻へと進行し、越流水深と越流時間の大きい地点で決壊にいたる過程を、河川工学分野の査読論文(福島ら, 河川技術論文集 第28巻, 2022)の知見に基づき3Dで表現。決壊噴出に伴う飛沫の飛散も、越波飛沫に関する実験的研究(山城ら, 土木学会論文集B2〈海岸工学〉Vol.76, 2020)を踏まえ、風による移流を含む粒子シミュレーションで描画しています。
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実データの統合:Google Photorealistic 3D Tilesによる実写ベースの3D都市モデル、衛星画像、3D建物データを統合。地形・標高・衛星画像・建物・河道および河道中心線の位置には実データを使用しています。
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軽量な3Dリアルタイム描画:3D地図エンジンを採用し、フレームワークに依存しない軽量な構成でブラウザ上で動作。水面はGPUシェーダによるカスタムマテリアルで描画し、濁流の色調や泡、氾濫フロントまでリアルタイムに表現しています。
なお、水位・浸水範囲・被害などの数値は令和元年東日本台風に相当する代表値を用いたデモンストレーションであり(堤防決壊・飛沫の表現は可視化用の近似を含みます)、実際の氾濫予測を行うものではありません。防災教育・研修やリスクコミュニケーションでの活用を想定しています。
今後の展望
スペースデータは今回のリリースを足がかりに、対象河川・地域の拡大や、Geo-Resilienceが提供するAIによる被害予測・評価機能との連携を進めていきます。衛星データとデジタルツイン技術によって災害の進行を「見える化」することで、一人ひとりが災害リスクを自分ごととして捉えられる社会、そして災害へのレジリエンス(回復力)を備えた社会の実現に貢献してまいります。
株式会社スペースデータについて
株式会社スペースデータは、「宇宙を誰もが活用できる社会へ」という思いのもと、宇宙とデジタル技術の融合によって新たな産業や社会基盤を創造するテクノロジースタートアップです。地球・宇宙環境を精密に再現するデジタルツイン技術を活用して、宇宙から都市開発、防災、安全保障まで、次の未来を支えるデジタルプラットフォームの構築を目指しています。さらに、宇宙ロボット・宇宙ステーションの運用基盤開発を通じて、宇宙社会の実現に向けて取り組んでいます。
スペースデータの公式サイトでは、「NEWS」にて最新の取り組みや発表をご紹介しています。
詳細はhttps://spacedata.jp/newsをご覧ください。
社名:株式会社スペースデータ
代表:佐藤航陽
所在地:東京都港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー 15階
資本金:15億1300万円
事業内容:宇宙開発に関わる投資と研究
HP:https://spacedata.jp
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