猫が好むトイレ環境に整えることで、猫のトイレの失敗やトイレいやいやサイン(※1)が減ることを確認
ライオンペット株式会社(代表取締役社長:川島 元樹)は、人とペットが求める幸せなくらしを応援するため、猫の快適なトイレ環境の実現に取り組んでいます。2020年には、猫が大きいトイレ容器(縦幅35cm・高さ20cmに固定した場合、横幅50cm以上)および鉱物系の素材の猫砂を好んで選択することを明らかにし、第16回日本獣医内科学アカデミーで発表しています(※2、3)。
そして、今回の研究では、猫が好む大きさのトイレ容器と鉱物系の猫砂を使用したときに、猫の排泄行動に変化が起きるかを調査しました。その結果、トイレ容器の外での排泄(以降、トイレの失敗)やトイレいやいやサインが減ることを確認しました。猫のこの一連の研究成果が、獣医学に関する基礎研究から応用科学、臨床研究に至る、幅広い論文を網羅する『The Journal of Veterinary Medical Science』6月号に掲載されました。
※1 猫がトイレ環境を気に入っていないときに示す行動。「トイレのヘリに足をかけて用を足す」「トイレのヘリや壁などをカリカリかく」など。
Cottam N, Dodman NH. 2007. Effect of an odor eliminator on feline litter box behavior. J Feline 337 Med Surg 9 : 44 50.
※2 井上悠美ら, 「猫が好むトイレ用砂(猫砂)およびトイレ容器の大きさに関する検討」, 第16回日本獣医内科学アカデミー, 2020年
※3 2020年4月8日発表資料:<猫のトイレに関する好みを調査> 猫が好むトイレ容器の大きさと猫砂の種類があることを確認https://www.lion-pet.co.jp/press/20200408_01.htm
■研究背景
日本の猫の飼育頭数は微増しており、一方で、保健所や動物愛護センターに引き取られた猫の数は年々減少しています。しかしながら、2023年度にこれらの施設に引き取られた猫は44,576頭、そのうち2割超の9,017頭が殺処分されています(※4)。猫が飼育放棄されている原因は多岐にわたりますが、原因の1つにトイレの失敗などの問題行動があります。また、諸外国では、トイレの失敗を含む問題行動が猫をアニマルシェルターへ引き渡す原因となっているとの報告(※5)もあります。
このようなことから、当社は飼い主が困るトイレの失敗を減らし、猫と飼い主が共に快適に暮らせる環境づくりを目指しています。そのため、猫にとって快適なトイレ環境を明らかにする行動学的研究や、猫と飼い主が快適に使用できる製品に関する研究を長年にわたり続けてまいりました。
※4 環境省 統計資料「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」 対象期間:令和5年4月1日~令和6年3月31日
※5 Jensen JBH et al. 2020. Owner-related reasons matter more than behavioural problems-A study of why owners
relinquished dogs and cats to a Danish animal shelter from 1996 to 2017. Animals 10(6):
1064.
Marston LC, Bennett PC. 2009. Admissions of cats to animal welfare shelters in Melbourne, Australia. J Appl Anim Welf Sci 12(3): 189–213.
Salman MD et al. 2000. Behavioral reasons for relinquishment of dogs and cats to 12 shelters. J Appl Anim Welf Sci 3: 93–106.
■調査結果
猫が好む大きさのトイレ容器と鉱物系の猫砂を組み合わせることで、トイレの失敗およびトイレいやいやサインが減少することを確認
トイレの失敗やトイレいやいやサインを示す猫に、縦幅35㎝×高さ20cm×横幅50cmのトイレ容器『獣医師開発(※6) ニオイをとる砂専用 猫トイレ』と猫砂『ニオイをとる砂(鉱物系)』を使用させて排泄行動を観察しました。その結果、トイレ容器の外での排泄、および3種類のトイレいやいやサイン(トイレのヘリに足をかけて用を足す、トイレのヘリや壁などをカリカリかく、空中をかくようなしぐさをする)が減少しました(図1)。
※6 東京猫医療センター服部獣医師と当社獣医師の共同開発

<調査設計>

調査対象 |
一般家庭で飼育されている成猫20頭で、かかりつけの獣医師がトイレの失敗の主な原因がトイレ環境だと判断した猫、およびトイレいやいやサインを示す猫。 |
調査方法 |
成猫20頭をランダムに2つのグループに分けて、下記のように行動観察を行った。 ・グループ1:前半2週間は各家庭で従来使用しているトイレ容器と猫砂、後半2週間は提供品のトイレ容器と猫砂を使用した。 ・グループ2:前半2週間は提供品のトイレ容器と猫砂、後半2週間は各家庭で従来使用しているトイレ容器と猫砂を使用した。 【提供品】 当社製品 ・トイレ容器『獣医師開発(※6) ニオイをとる砂専用 猫トイレ』 ・猫砂『ニオイをとる砂(鉱物系)』 |
調査条件 |
・提供品のトイレは、トイレ容器の底面から5cmの高さまで猫砂を敷いて使用した。 ・従来使用しているトイレは、従来使用している猫砂を従来通りの量敷いて使用した。 |
調査項目 |
調査期間中は、以下の項目を飼い主が評価し記録した。 ・トイレ内での排泄回数、およびトイレの外での排泄回数 ・下記のトイレいやいやサイン4種類の発生頻度 ①トイレのヘリに足をかけて排泄、②トイレのヘリや壁などをかく、③空中をかくようなしぐさをする、④排泄後砂かきせずに急いで出る なお、トイレいやいやサインは、総排泄回数に対するそれぞれの発生率を0~4の5段階スコア(0%,20%,50%,75%,100%)で記録した。 |
■今後の展望
当社は、これまで明らかにしてきた猫が好むトイレの大きさと猫砂の素材の知見を基に、それらを組み合わせて猫の好むトイレ環境を整備すると、トイレの失敗が減るなど猫の排泄行動に良い影響があることを確認しました。今回の研究結果は、トイレの失敗で悩む飼い主とトイレ環境が気に入っていない猫にとって有益であり、また、猫と飼い主の幸せな共生生活の一助となると考えます。これからも、猫にとって快適なトイレ環境を追求する研究および製品開発をさらに推進してまいります。
【掲載論文情報】
論文名:Litter box size and litter type preference and their associated behavioral changes in cats
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jvms/87/6/87_24-0468/_article/-char/en
著者:Yumi IWABUCHI-INOUE, Yuki HATTORI, Takefumi KIKUSUI
雑誌名:The Journal of Veterinary Medical Science
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