介護・看護事業者向け口腔状態評価アプリ『クチミル』実証実験を11月から開始
高齢者の良好な口腔状態維持と介護職員の業務負荷軽減に貢献
アサヒグループジャパン株式会社(本社 東京、社長 濱田賢司)は、AI医療機器開発のスタートアップであるアイリス株式会社(本社 東京、社長 沖山翔)との協業により、介護・看護事業者向け口腔状態評価アプリ『クチミル』を開発しました。実用化に向け、介護事業所を運営している社会福祉法人善光会(本社 東京、理事長 西田日出美)および株式会社善光総合研究所(本社 東京、代表取締役社長 宮本隆史)などと連携し、被介護者を対象に11月から実証実験を開始します。実証実験では、介護現場における本サービスの有用性を評価し、実用化に向けたアプリの改善につなげます。
『クチミル』は、専用アプリケーションにより主に高齢者の口腔の健康状態を評価するサービスです。
介護職員や看護師がスマートフォンにより『クチミル』で口腔動画を撮影し、観察記録とともにアップロードすると、歯科医師や歯科衛生士など知識やノウハウをもつ専門スタッフにより口腔内の健康状態が評価され、自動で報告書が作成されます。
当サービスの口腔内評価方法に関しては、東京科学大学大学院(旧東京医科歯科大学大学院)松尾浩一郎教授の監修を受けています。
昨今、口腔状態はさまざまな疾患との関連が考えられており、特に高齢者は口腔状態を良好に保つことが重要といわれています。一方で、要介護者の60%以上が歯科医療や口腔健康管理が必要であるものの、実際に口腔の健康が管理されている割合は約2%で、多くの高齢者の口腔が放置されている状況※1です。このような背景のもと、令和6年度介護報酬改定により、報酬の項目として口腔連携強化加算※2が新設されました。これにより、在宅介護を中心に介護職員が行った口腔チェックの内容を、歯科医療機関やケアマネジャーに情報連携し、適切な口腔管理を行う取り組みが進められています。しかし、介護職員による評価はバラつきがあることに加え、重い作業負荷も課題となっていました。そこで当社は、資本業務提携をしているアイリス社と協業し、簡単に適切な口腔評価と報告書作成ができるアプリケーション『クチミル』とWEBシステムを開発しました。介護事業者は、『クチミル』を導入することで、職員に専門的な知識がなくても、適切な口腔評価の実現を可能とします。作業は簡単で、約70%の業務負荷削減を見込んでいます。今後は、AIによる評価機能を実装し、サービス品質や評価スピードの向上を目指します。
※1 出典:令和元年日本歯科医学会「フレイルおよび認知症と口腔健康の関係に焦点化した人生100年時代を見据えた歯科治療指針作成に関する研究」
※2 口腔の健康状態を評価する方法や在宅歯科医療等について、介護事業者が歯科医療機関に相談できる体制をつくるとともに、口腔状態の評価と歯科医療機関・ケアマネジャーへの情報提供を評価する新たな加算。利用者の同意を得た上で、口腔の状態を確認・評価し、歯科医院などに情報を提供することで介護事業者に支払われる報酬に加算される。
口腔ケア商品を展開しているアサヒグループでは、これまでも清潔で健やかな口内環境づくりをサポートしてきました。今回の取り組みにより、良好な口腔状態維持の阻害要因となるさまざまな課題を解決し、“誰もが食べることを楽しめる世界”を実現させることを目指します。
アサヒグループジャパンは、新たな事業分野の開拓やAI技術の活用などを推進するため、Future Creation Headquarters(以下、FCH)を2023年1月に創設しました。FCHは今回の介護・看護事業者向け口腔状態評価アプリ提供の取り組みのほか、今後もさまざまな企業や人材と共創し、新価値の創出に挑戦し続けます。
■監修者:東京科学大学大学院(旧東京医科歯科大学大学院) 松尾浩一郎 教授
1999年東京医科歯科大学歯学部卒業。同大高齢者歯科学講座に進み,2002年より米国ジョンズホプキンス大学にて研究員、Assistant Professorとして研究に従事。2008年に帰国後、松本歯科大学、藤田医科大学を経て2021年より現職。専門は、高齢者歯科、病院歯科、摂食嚥下リハビリテーション。国際的に広く使用されている口腔評価ツールOHAT(Oral Health Assessment Tool)の日本語版作成者でもある。
■アイリス株式会社
所在地:東京都中央区 代表者:代表取締役 沖山 翔
事業内容:AI技術を用いた医療機器の開発・製造・販売及び人工知能技術の研究開発
設立:2017年11月
・本社所在地:〒104-0028 東京都中央区八重洲2-2-1 八重洲セントラルタワー7階
・企業URL:https://aillis.jp/
「みんなで共創できる、ひらかれた医療をつくる。」をミッションに掲げ、2017年に創業。現役医師である代表・沖山をはじめ、医療従事者、厚生労働省・経済産業省ほかの行政出身者、AI医療領域に特化したデータサイエンティスト、大手医療機器メーカー出身者など多数のプロフェッショナルが揃い、深層学習技術(AI技術)を活用し、医師のもつ匠の技をデジタル化するAI医療機器を開発しています。
■社会福祉法人 善光会、株式会社善光総合研究所
善光会本部所在地:東京都大田区 代表者:理事長 西田 日出美
善光総研本部所在地:東京都港区 代表者:代表取締役社長 宮本 隆史
事業概要:善光会は、福祉事業者や関連団体と連携強化を図り、持続可能な介護事業モデルの確立に取り組む法人です。善光総研は善光会から派生した企業です。社会課題解決のため、両社で協力しながら社会変革の実現を目指し、スマート介護プラットフォーム“SCOP”の開発や、介護現場のデジタル化を推進するためスマート介護士資格試験を通じた人材育成事業、その他介護事業所や地方自治体向けに生産性向上パッケージの提供も推進しています。
善光会URL:https://www.zenkoukai.jp/
善光総研URL:https://zenkou-lab.co.jp/
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