スペースデータ、3D都市モデル上で大規模人流を再現する「People Flow Simulator」をリリース
屋内地図の上に数万体規模の歩行者エージェントを重畳し、駅構内から地下街・周辺ビルまでの人の流れを階層別に再現。通信キャリア・交通系ICデータとの接続による高度化も視野

株式会社スペースデータ(本社:東京都港区、代表取締役社長:佐藤航陽、以下「スペースデータ」)は、宇宙AIプラットフォーム「SpaceBrain(スペースブレイン)」のレジリエンス領域「Geo-Resilience(ジオレジリエンス)」の新たなデモンストレーションとして、新宿駅とその周辺エリアを対象に、3D都市モデルと人流シミュレーションを統合した人流デジタルツイン「People Flow Simulator」をリリースしました。
「People Flow Simulator」は、これまで個別に構築してきた3D都市モデルと人流シミュレーションを組み合わせ、新宿駅の駅構内・地下街から周辺ビルの各フロアまでを一体の3D都市空間として再現し、その上を流れる大規模な歩行者エージェントを描画するものです。屋上から地下4階までのフロアを選択しながら、「どの階を・どれだけの人が・どの方向に」流れているのかを階層別に確認できます。今回のデモ版は、公開統計の傾向をもとに生成した推計人流データによるデモンストレーションであり、実測の人流を示すものではありません。駅・地下街・周辺施設の混雑検討や図上訓練、都市開発における歩行者動線の検討など、関係者による状況認識の共有を支援します。
■ 背景:地上と地下で分断されてきた、都市の人流把握
「世界で最も利用者の多い駅」としてギネス世界記録に認定された新宿駅は、駅構内・地下街・周辺ビルが立体的に接続する、世界でも類を見ない複雑な歩行者空間を形成しています。一方、従来の人流分析は屋外の地上空間を平面的に扱うものが中心で、地下街や駅構内、ビルの上層階を含む「立体的な人の流れ」を、都市スケールで連続的に捉えることは容易ではありませんでした。
建物単位ではBIM(Building Information Modeling:建物の3次元形状と属性情報を統合したデータモデル)による屋内シミュレーションが進む一方、都市単位のGIS・3D都市モデルとは扱うデータやスケールが異なるため、駅とまちをまたぐ人流の全体像を、関係者が同じ画面で確認しながら検討できる環境は限られていました。スペースデータは、惑星規模(プラネタリースケール)のデジタルツイン技術で培った広域データ処理と、BIM・屋内地図・3D都市モデルの統合により、この分断をひとつの画面で乗り越えることを目指しました。
■ Geo-Resilienceシリーズと本デモンストレーションの位置づけ
スペースデータは、宇宙AIプラットフォーム「SpaceBrain」において地球側のレジリエンスを担う構想「Geo-Resilience」のもと、風水害・火山・干ばつ・地盤変動といったリスクを地図上で直感的に理解できるようにする可視化シリーズを拡充してきました。本デモンストレーションはその新たな一角として、対象を自然災害から都市レジリエンスへと広げ、BIMと都市デジタルツインの統合という新たなユースケースを提示するものです。雑踏事故の防止や災害時の避難検討など、都市のレジリエンスを「人の流れ」の面から支える起点と位置づけています。
■ 「People Flow Simulator」の主な特徴

※本デモンストレーションでは、国土交通省PLATEAU(建築物モデル・地下街モデル)、国土地理院の標高データ、屋内地図・建物データ、衛星画像、SNS由来の実測人流サンプル等を活用しています。人流データは、公開統計の傾向をもとに生成した推計データです。
1. 地上・地下・屋内をまたぐ、階層別の人流シミュレーション
屋上から地下4階までのフロアを切り替えながら、屋内地図(階別の動線・壁など)や地下鉄軌道、周辺700棟以上の階別フロア描画が切り替わり、人流の描写と密度が階ごとに変化します。1階では約6.4万人相当、屋上階では約4,500人相当と、階が上がる・深くなるほど人流が疎になる実態に即した階別人口の差別化を行っています。
2. 実在する歩行動線にもとづく、数万体規模の歩行者エージェント
新宿駅周辺の実在の街路・コンコースを結ぶ17本のOD回廊(出発地と目的地を結ぶ人の通り道)に沿って、数万体規模のエージェントが約2m/sの物理歩行速度で連続的に移動します。さらに、平常時に加え、東側・西側出入口の閉鎖やバリアフリー動線の制約、テロなどによる地下空間の局所的な被害地点の設定といった遮断シナリオを切り替えることで、通行可能な経路の変化に応じた人流の集中や迂回の状況を再現できます。
3. PLATEAU・地下街3Dによる、都市データの多層重畳
国土交通省PLATEAUの建築物モデル(新宿区・渋谷区+周辺8区)と地下街3Dモデルを重ね、地下表示時には地表を半透明化して地下構造を立体的に確認できます。3D表示とワイヤーフレーム表示、地下の人流を横から見る断面ビューの切り替えにも対応します。
4. 実測データとの重畳比較
SNS投稿に由来する実測人流サンプルをオーバーレイ表示し、生成した人流の傾向を実データと照らし合わせて確認もできます。
■ 描画・シミュレーションを支える技術
「People Flow Simulator」は、WebGLベースの3D地図エンジンの上に、数万体規模の歩行者エージェントをリアルタイムに描画する設計を採用しています。位置・色・サイズ・透過度をフレームごとに更新するとともに、局所密度や時間帯に応じたローパス平滑化処理を適用することで、点滅やノイズの少ない滑らかな人流表現を実現しました。
■ 今後の展望
本デモンストレーションで用いている人流は、公開統計の傾向をもとに生成した推計データですが、描画・シミュレーション基盤は入力データに依存しない設計となっています。朝夕のピークを反映した時間帯係数に加え、朝ラッシュ・休日・イベント・大雨・地震避難など、さまざまなシナリオを段階的に再現できる構成としており、今後は通信キャリアの人口動態データや交通系ICカードの乗降データなどの実測データと連携することで、より高精度な人流デジタルツインへ発展させることが可能です。
スペースデータは今後、駅・地下街・大規模施設における混雑対策やイベント運営計画、都市開発における歩行者動線の検討、防災訓練や避難計画の検討など、「駅とまちをまたぐ人の流れ」を可視化・分析するさまざまな用途への展開を見据え、「Geo-Resilience」における都市レジリエンス領域の拡充を進めてまいります。また、人流データや施設データを保有する事業者、BIM・まちづくり分野のパートナーとの連携を通じて、既存データやサービスと組み合わせた都市デジタルツインの高度化と、その活用領域のさらなる拡大を目指してまいります。
なお、「People Flow Simulator」の詳細や、デモンストレーションのご希望については、下記のお問い合わせフォームよりご連絡ください。
■ 株式会社スペースデータについて
株式会社スペースデータは、「宇宙を誰もが活用できる社会へ」という思いのもと、宇宙とデジタル技術の融合によって新たな産業や社会基盤を創造するテクノロジースタートアップです。
地球・宇宙環境を精密に再現するデジタルツイン技術を活用して、宇宙から都市開発、防災、安全保障まで、次の未来を支えるデジタルプラットフォームの構築を目指しています。さらに、宇宙ロボット・宇宙ステーションの運用基盤開発を通じて、宇宙社会の実現に向けて取り組んでいます。
スペースデータの公式サイトでは、「NEWS」にて最新の取り組みや発表をご紹介しています。
詳細は https://spacedata.jp/news をご覧ください。
社名:株式会社スペースデータ
代表:佐藤航陽
所在地:東京都港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー 15階
資本金:15億1300万円
事業内容:宇宙開発に関わる投資と研究
NEWS:https://spacedata.jp/news
LinkedIn:https://www.linkedin.com/company/spacedatajp/
採用情報:https://www.wantedly.com/companies/spacedata/projects
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