TCJグローバル調査:外国人就労者調査87%が「仕事に満足」も、3割弱がサービス残業経験 住まい探しに43%が困難、日本語学習サポート有りは25%のみ外国人材受け入れ
〜「量から質へ」転換期、キャリア・生活支援が鍵に〜
株式会社TCJグローバル(所在地:東京都新宿区、代表取締役:中澤匠)は、社会人として日本語学校に通う在校生および修了生を対象に、2025年6月から8月にかけて、日本での生活や就労環境に関するアンケート調査を実施しました。仕事に満足していると答える人が多い一方で、日本語コミュニケーションや住まい確保、キャリア形成といった「生活と将来」に直結する課題を抱える外国人就労者が多い現状が明らかになりました。
1. 仕事満足度は高いが、雇用環境には改善余地
外国人就労者の9割が仕事に満足、一方で27%がサービス残業を経験と回答
外国人就労者を対象に「今の仕事や会社に満足していますか?」と尋ねたところ、全体の約9割(87%)が「とても満足」「まあまあ満足」と回答し、現状に一定の満足を示す結果となりました。「あまり満足していない」「全然満足していない」と答えた人は約13%で、不満層は少数派にとどまっています。

「無給で残業(サービス残業)をしなさい」と言われたことがあるかについて尋ねたところ、約7割(73%)が「全くない」と回答しました。「ときどきある」「たまにある」「よくある」と答えた人は合わせて約27%となり、一定数の外国人就労者がサービス残業をするように言われた経験している実態が明らかになりました。

また「仕事内容は雇用契約や求人内容と一致していますか?」という質問では、「同じ」が60%、「だいたい同じ」が28%で、約9割が大きな相違はないと回答しましたが、「少し違う」と答えた12%からは契約内容とのギャップが一部で存在していることがうかがえます。
これらの結果から、多くの外国人材は働きがい自体には高い満足度を持ちながらも、労働条件の透明性や雇用管理には課題が残っていることがわかりました。安心して働ける環境づくりには、採用時からの正確な情報開示と、雇用後の労務管理の徹底が不可欠です。
2. 日本語の壁と企業施策のミスマッチ
約半数が言語の壁に直面、9割が学習意欲も、研修提供は25%にとどまる
「日本語が通じなくて仕事で困ったことがあるか」という問いに対し、全体の8割が何らかの形で「困った経験がある」と回答しました。特に「よくある」「ときどきある」と答えた人が半数を占めており、外国人就労者にとって言語の壁が日常的な業務上の支障となっている実態が浮き彫りになりました。

また、「会社で日本語を勉強できる研修やサポートがあるか」という質問に対し、「ある」と答えた人は25%にとどまり、「ない」が48%で最も多い結果となりました。また、「たぶんある」「よくわからない」と回答した人も合わせて約27%にのぼり、制度の未整備だけでなく周知不足も課題であることが示されました。

「会社で日本語を学習できる研修などがあれば利用したいか」という質問に対し、全体の約9割(88%)が「ぜひ使いたい」「使いたい」と回答しました。特に「ぜひ使いたい」と強い意欲を示した人が7割に達しており、外国人就労者にとって日本語研修は喫緊のニーズであることが明確になりました。
一方で、実際には前問で示されたように研修やサポートがあると答えた人はわずか25%にとどまっており、高い需要に対して企業の提供体制が追いついていないギャップが浮き彫りになっています。多くの人が日本語で困難を抱え、学習意欲も高い一方で、企業による語学支援体制は整っていません。ニーズと施策のギャップを埋めることが、職場定着と生産性向上のカギとなります。
3. 住まい探しと日常生活に潜む“見えない壁”
住まい探しに約43%が困難、55%が生活上の不公平を実感
「日本で住む家を探したとき、困ったことはありますか?」では、「困ったことがある」と答えた人は43%、「困ったことはない」と答えた人は57%でした。 保証人要件、「外国人お断り」、契約書の言語壁などが主な理由です。

「日常生活で『外国人だから』と不利益を感じたことはありますか?」では、過半数(55%)が何らかの形で不公平な扱いを経験している一方で、45%はそうした経験がないと回答していました。

4. 相談体制の不足と孤立防止体制の整備が急務
3人に1人が相談相手ゼロ、約半数が十分な相談環境なし
「仕事や生活の悩みを相談できる相手がいるか」という質問では、「いる」と答えたのは53%にとどまり、「相談相手がいない」と答えた人が3割以上(33%)にのぼり、さらに「あまりいない」(15%)と合わせると約半数近くが十分な相談環境を持たないことが分かりました。
相談相手がいないことは精神的な孤立や離職意向の高まりにつながる可能性があり、外国人就労者の定着に向けた深刻な課題です。職場内の相談窓口やメンター制度、同郷コミュニティやNPOとの連携など、孤立を防ぐ仕組みの強化が急務といえます。

■コメント:株式会社TCJグローバル 日本語総合研究所 所長 徳田淳子
本調査からは、外国人就労者が仕事に高い満足度を示す一方で、住まい、日本語、キャリア形成など生活基盤や将来設計に深刻な課題を抱えている実態が明らかになりました。これまで日本社会は人材の“量”の確保を優先してきましたが、今後は“質”の向上、すなわち受け入れた人材が安心して暮らし、長期的に活躍できる環境を整えることが不可欠です。
そのためには、雇用契約の透明性、住まいを含む生活基盤の支援、日本語教育やキャリア形成の仕組み、さらに相談体制の整備といった多角的な取り組みが求められます。外国人就労者の採用は出発点に過ぎず、いかに定着を支え、能力を発揮してもらえるかが、企業の競争力だけでなく、日本社会全体の持続可能性を左右する重要な課題と言えるでしょう。
【アンケート概要】
期間:2025年6月20日~2025年8月27日
対象:TCJ日本語学院の社会人在校生および修了生
回答数:157名
【株式会社TCJグローバル(旧東京中央日本語学院)について】
所在地:所在地:東京都新宿区信濃町34 トーシン信濃町駅前ビル 4F
代表者:中澤 匠
事業内容:留学生向け日本語コース、総合日本語コースの運営(就労者・生活者、海外在住者、企業向け研修)、日本語教師養成事業、行政・教育機関・企業向けの日本語教育コンサルティング、海外教育事業、人材紹介事業
URL:https://tcj-education.com/ja/
【リリース元】TCJリクルートメントサービス(外国人材紹介・就労後教育)
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