NTTとKCCS、物流業界初となる倉庫内のエコセントラルコンピューティングの実現
~物流DXとGXの両立をめざし、IOWN APNで倉庫のAI/GPU処理を再エネ100%データセンターへ集約~
発表のポイント:
◆ IOWN APNを用いて、物流倉庫のAI/GPU処理を再エネ100%のゼロエミッション・データセンターに集約する「エコセントラルコンピューティング」を実証しました。
◆ 倉庫業務において、カメラ映像の遠隔AI解析により安全監視・動線可視化やロボット制御など、物流倉庫業務への遠隔AI処理の適用可能性を確認しました。
◆ 倉庫側の設備投資・保守運用負担を低減し、物流DXとGXの両立に向けた実装モデルを提示しました。
NTT株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田 明、以下NTT)と京セラコミュニケーションシステム株式会社(本社:京都市伏見区、代表取締役社長:河之口 達也、以下KCCS)は、北海道石狩市にて常時再生可能エネルギー100%で運営する「ゼロエミッション・データセンター 石狩(以下ZED石狩(※1))」と千葉県流山市の物流倉庫を直結する「物流倉庫DX」の提供に向けた技術検証を完了しました。物流業界においてIOWN APN(All Photonics Network(※2))を適用し、物流倉庫と再生可能エネルギー100%で稼働するデータセンターを接続した取り組みは日本初(※3)となります。
今後、実証実験を通じて構築した基盤を用いて、物流業界の課題を解決する持続可能な「物流倉庫DX」の早期商用展開をめざします。
1. 背景
物流業界では、深刻な労働力不足やコスト上昇に加え、脱炭素化への対応が求められています。業界全体で、倉庫業務の省人化・高度化を目的としたDXが進められていますが、現状では、一部作業の自動化にとどまり、倉庫全体を俯瞰した最適化や、エネルギー消費を含めたGXの持続可能な仕組みづくりが課題です。また、倉庫のロボット化や画像解析の高度化に伴い、AI処理に必要なGPU利用の増加による電力消費の拡大も新たな課題となっています。
本取り組みでは、物流倉庫における入出荷作業の自動化を想定し、ロボット制御および画像解析に必要なAI処理を低遅延なIOWN APNを介して遠隔地のZED石狩に集約する「エコセントラルコンピューティング」の構成について検証を実施しました。その結果、GPUリソースの効率的な利用や、消費電力およびCO₂排出量削減に寄与する可能性を確認しました。

2. 技術検証成果
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APNによる遠隔AI処理基盤の構築と再エネ活用の実現
千葉県流山市の物流倉庫とZED石狩間をIOWN APNで直結し、倉庫内で取得した映像データを遠隔地のデータセンターでAI処理する環境を構築しました。これにより、AI処理を再生可能エネルギー100%で実行できる環境を実現しました。
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カメラ映像による人流分析
倉庫内の複数カメラの映像を遠隔地でAI解析し、リアルタイムで作業員の動線可視化や異常検知を行うモニタリングが可能であることを検証しました。
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遠隔地GPUサーバーからのロボット制御および動線予測
入出荷作業への適用を想定し、遠隔地のGPUサーバーからアームロボットを制御する通信環境を設計しました。その結果、ネットワーク遅延の影響を最小限に抑えた遠隔ロボット制御が可能であることを検証しました。
また、NTTドコモソリューションズ株式会社が開発した未来位置推定技術とカメラ映像による人流分析により、人とロボットが衝突を回避しながら、協調業務を行えることを確認しました。衝突回避については、未来位置推定による衝突予測から、遠隔地のロボットの回避制御送信までを1秒未満で実行できることを検証しました。
3. 技術適用による期待効果
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環境負荷の低減
AI処理をZED石狩に集約することで、倉庫現場の電力消費を抑制し、脱炭素化を推進します。
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運用の効率化・コスト削減
自動化・業務効率化によるコスト削減とともに、倉庫現場に配置するITリソースを最小限とする構成により、設備投資やシステムメンテナンスコストを削減します。また、IT専門人員への依存を低減し、人手不足の解消にも貢献します。
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人とロボットが協調する安全な作業環境
IOWN APNによるミリ秒単位の低遅延通信により、遠隔地からのロボット制御を実現するとともに人とロボットが同一エリア内で協調しながら作業を効率化します。さらに専用エリアを設けず、安全性と空間活用の両立を実現します。
4. 各社の役割
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NTT
IOWN APNのアーキテクチャ設計およびネットワーク設計、ならびに人・ロボット協調制御技術の開発を担当しました。今後、物流倉庫内のラストワンマイルを含めた物流課題解消に寄与するユースケース検討をNTT研究所保有の技術をもって進めてまいります。
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KCCS
物流倉庫DXユースケースの企画設計、倉庫現場環境の提供、アームロボット制御およびカメラ映像解析などのフィジカルAI技術の実装・評価を担当しました。
また、今後は千葉県流山市の物流倉庫を実証フィールドとし、社内外の関係者と連携したオープンラボとしても活用するとともに、常時再生可能エネルギー100%で運営する「ZED石狩」におけるGPU処理基盤の構築および運用検証を進めてまいります。
5. 今後の展開
NTTとKCCSは、世界の業界リーダーが集うIOWN Global Forum(※4)において、パートナーメンバーと共に、再生可能エネルギーを最大限活用した倉庫業務最適化の実現に向けて、IOWN APN適用を検討するチームを立ち上げて活動をしています。
今後実証実験を通じて、構築した基盤を用いた物流倉庫業務最適化ユースケースを創出し、物流業界の課題を解決する持続可能な「物流倉庫DX」の早期商用展開をめざします。さらに、製造業や社会インフラ分野への応用も視野に入れ、IOWN APNを活用した新たな産業ユースケースの創出に取り組んでまいります。
【用語解説】
※1 ZED石狩
2024年10月に国内のデータセンターで初となる常時再エネ100%(24/7カーボンフリーエネルギー)を実現したデータセンター。
https://biz.kccs.co.jp/service/zero-emission-dc/
※2 APN (All Photonics Network)
APNとしてNTTドコモビジネス社が提供する「Arcstar Universal Oneイーサネット専用線」サービス。
https://www.ntt.com/business/services/network/private-network/arcleasedline.html
※3 物流倉庫と再生可能エネルギー100%で稼働するデータセンターを接続した取り組みは日本初
両社調べ。業務オペレーションへの常設APNとして適用。
※4 IOWN Global Forum
これからの時代のデータや情報処理に対する要求に応えるために、新規技術、フレームワーク、技術仕様、リファレンスデザインの開発を通じ、シリコンフォトニクスを含むオールフォトニクス・ネットワーク、エッジコンピューティング、無線分散コンピューティングから構成される新たなコミュニケーション基盤の実現を促進する業界フォーラム。
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