博報堂DYホールディングス、博報堂テクノロジーズ、博報堂メディカル、グロースデータ、第40回人工知能学会全国大会(JSAI2026)にて研究成果を発表
株式会社博報堂DYホールディングス(東京都港区、代表取締役社長:西山 泰央、以下 博報堂DYホールディングス)と株式会社博報堂テクノロジーズ(東京都港区、代表取締役社長:田中 雄三、以下 博報堂テクノロジーズ)、株式会社博報堂メディカル(東京都港区、代表取締役社長:小泉 直子、以下 博報堂メディカル)、株式会社グロースデータ(東京都江東区、代表取締役社長:菊地 友幸、以下 グロースデータ)は、2026年6月8日(月)〜12日(金)に群馬で開催される第40回人工知能学会全国大会(JSAI2026)にて、研究成果についてオーガナイズドセッション2件、口頭発表14件を実施いたします。また、博報堂DYホールディングスとグロースデータは、本イベントにコアスポンサーとして協賛し、現地でのスポンサー展示を実施いたします。
人工知能学会全国大会は、人工知能学会の年次大会であり、人工知能や機械学習に関する大学・企業研究者が集まる国内最大の学会イベントです。昨年開催された第39回年次大会では、総参加者数4,939名、発表件数は1,100件を超えるなど、人工知能領域における国内最大の研究発表の場として、大学、企業を問わず国内の研究者の注目を集めています。この度の協賛は、国内の人工知能領域の研究コミュニティへの支援を目的とするものです。
博報堂DYホールディングスは、AI領域における先端研究と技術開発を推進するために、Human-Centered AI Instituteを設立し、生活者発想に基づいた「人間中心のAI」と「人間の創造性の進化・拡張」を実現するための研究開発に取り組んでいます。あわせて、マーケティング・テクノロジー・センターでは社会の急速な変化と技術革新に対応するため、生活者理解と市場理解を深めることを第一とするさまざまな研究開発に取り組んでいます。
博報堂テクノロジーズは、広告領域におけるAI開発を強みとして、AIエンジンの設計・開発や、生成AIを活用したRAG・AIエージェント等のアプリケーションをフルスクラッチで開発し、広告業界に対しユニークなプロダクト・技術を提供しています。加えて、広告領域に限らず、DX案件に関する提案活動支援や、AI・IoT技術を活用したシステム開発にも取り組んでいます。
博報堂メディカルは、医療コミュニケーションにおけるAI活用を推進するために、医療用医薬品領域の専門知識と実務経験を有するスタッフを中心に、研究開発からソリューション実装まで取り組んでいます。創業以来培ってきた医療コミュニケーションの知見と高度な医療ドメイン理解を活かし、医療現場や製薬企業が抱える課題の解決を支援しています。
グロースデータは、「データを企業の力に変える」をテーマに、戦略から実行までを一貫してサポートするデータ利活用サービス・プロダクトを提供しています。データとAIを活用した企業の成長を支援しています。
博報堂DYホールディングス、博報堂テクノロジーズ、博報堂メディカルおよびグロースデータは、今後も、博報堂DYグループの横断的なAI専門家集団HCAI Professionalsの活動として、幅広い研究開発活動を通して革新的なAIソリューションの開発を目指します。
■ オーガナイズドセッション
OS-13:AIを活用したマーケティング実践
人工知能(AI)技術の急速な発展により、マーケティング分野においても革新的な分析手法や戦略が生まれています。消費者行動分析においては大規模データの高度な分析が可能となり、機械学習を用いた高精度な需要予測、個別化された商品推薦やインセンティブ設計、さらにはコンテンツ生成に至るまで、その応用範囲は拡大しています。本オーガナイズドセッションでは、実務家がAIを活用したマーケティングの実践事例や課題を共有し、研究者がマーケティング課題に対する先端の研究を普及させるための交流と議論の場を提供することを目指します。消費者行動分析、需要予測、価格決定、推薦システム、インセンティブ設計、コンテンツ生成などマーケティングに関する幅広いテーマに関する実務家、研究者からの発表を募集します。
OS-20:AIと人のインタラクションによる価値創造とエンパワーメント
本セッションでは、AIと人間のインタラクションによる価値創造とエンパワーメントに焦点を当て、人間中心のアプローチに基づいた研究や実践を探求します。AIとのインタラクションが生み出す人間能力の拡張や意思決定の支援など、新たな価値をAIと共創する可能性を追求するとともに、生活者の視点に立った技術研究とその社会への活用を目指します。具体的には、
(1) AIと人間の協働による創造性の向上や問題解決能力の強化
(2) AIによる人の創造性支援や意思決定支援の方法論
(3) 価値創造を促進するAIシステムに求められる要件
(4) 現状のAI技術における限界や課題
(5) 倫理的・社会的な配慮事項
などを議論します。本セッションを通じて、AIと人間の協調による新たな価値創造の可能性を探り、人間中心の視点からAI技術の発展と社会実装を議論する場を提供し、AIがより豊かで持続可能な社会の実現に貢献することを目的とします。
■ 口頭発表
博報堂DYホールディングス
タイトル:テレビ情報空間における発信・受信情報多様性の定量的評価
著者:岩井 千妃呂¹、猪谷 誠一¹、堀川 祐生²、鳥海 不二夫²(1. 博報堂DYホールディングス、2. 東京大学)
6/8(月) 15:40-15:55 H会場(中会議室202B) 1H4-OS-5a-01
概要:現代社会において、生活者がどのような情報に触れ、どれだけ多様な視点を獲得できているかという「情報的健康」の状態は、意思決定の質や社会の健全性に直結する重要な課題です。本研究では、生活者の情報接触という点に注目し、テレビ番組とその視聴データを用いて生活者が触れる情報の性質を客観的に測る手法を検討しました。結果として、視聴パターンにより受け取る情報の性質が異なることを発見し、「情報的健康」の定量的把握に向けた第一歩を示しました。
タイトル:大規模言語モデルにおける限定合理性:価格品質ヒューリスティックとセルフコントロール
著者:北代 絢大¹、熊谷 雄介²、安永 遼真²(1. 東京大学、2. 博報堂DYホールディングス)
6/9(火) 9:00-9:15 F会場(メインホールB) 2F1-OS-20-01
概要:人間は様々な制約のもとで、限られた合理性(限定合理性)にもとづいて意思決定を行っていることが知られています。本研究では、消費者行動に関する代表的な場面において、大規模言語モデル(LLM)が人間と同様に限定合理性を示すのか検証しました。具体的には、「LLM は安すぎる商品を怪しいと思う」といった価格品質ヒューリスティックと、「いざ選択を目の前にすると事前の計画とは矛盾する行動を取ってしまう」といったセルフコントロール問題という、二種類の現象について検証を実施しました。実験の結果、LLMの振る舞いが人間と一致する度合いはタスクによって大きく異なることが明らかになりました。
タイトル:制約付き選好バッチベイズ最適化
著者:岩井 皓暉¹、熊谷 雄介¹、小山 裕己²、濱崎 雅弘²、後藤 真孝²(1. 博報堂DYホールディングス、2. 産業技術総合研究所)
6/11(木)9:15-9:30 M会場(中会議室302A) 4M1-GS-2a-02
概要:デジタル広告やWebコンテンツの改善では、複数の候補をA/Bテストで比較し、その結果をもとに次の候補を作る反復的な運用が行われることがあります。本研究では、「どの候補がより良かったか」という相対比較を活用し、実運用上の制約を満たしながら、複数候補を効率的に選択する新しい最適化手法を提案しました。シミュレーション実験により、提案手法が限られた試行回数でも有望な候補を探索できることを示しました。
タイトル:ワッサースタイン距離を用いた識別不能部分集合の探索
著者:牛久 雅崇¹(1. 博報堂DYホールディングス)
6/11(木)9:45-10:00 M会場(中会議室302A) 4M1-GS-2a-04
概要:高度なマーケティング支援を行うためには、人間がもつ深い生活者理解と、AIによるデータに基づく予測の双方が不可欠です。人とAIがもつそれぞれの強みを最大限に活かすには、「AIが予測に迷う、人間の専門知識こそが価値をもつケース」を見極めて、人間の知見を適用するアプローチが有効です。そこで、本研究では「最適輸送」という機械学習分野の知見を用いて、多数のAIが共通して予測に迷うケースを自動で抽出する新たな手法を提案しました。
タイトル:オフライン評価手法を用いたA/Bテストによるアルゴリズム比較の精度向上
著者:小西 宏樹¹、牛久 雅崇¹、齋藤 優太²(1. 博報堂DYホールディングス、2. コーネル大学)
6/11(木)15:30-15:45 L会場(中会議室302B) 4L5-GS-1b-01
概要:Webマーケティング等において、異なるアルゴリズムの性能を大小比較するには、実環境での試行を行うA/Bテストが最も信頼できる手法の一つとされています。本研究では、性能評価に過去のログデータしか利用できない「オフライン評価」の方が、特定の条件下で、A/Bテストより高い精度で効果の大きいアルゴリズムを特定できることを発見しました。また、オフライン評価でこの現象が起こるメカニズムを活用し、A/Bテストにおいても性能の大小比較の精度を向上させる手法を提案しました。
タイトル:個別化と分布カバレッジによる LLM を用いた仮想個人の定量評価
著者:熊谷 雄介¹(1. 博報堂DYホールディングス)
6/12(金) 12:00-12:15 F会場(メインホールB) 5F2-GS-10m-01
概要:大規模言語モデル(LLM)には、性格や設定を指定することで架空の人物を構築し、社会シミュレーションやインタビューを行う応用例があります。本研究では、これまで既存研究が取り組んでいた「構築した架空の人物の『らしさ』」だけでなく、「架空の人物の集合が、実際の多様な人間の集合をどの程度網羅できるのか」について、複数の実データにもとづく検証を行い、その課題や限界を示しました。
タイトル:意識調査データを用いた大規模言語モデルの教師ありファインチューニング
著者:野沢 悠哉¹、牛久 雅崇¹、小西 宏樹¹、田中 稔也¹、黄 橙白¹、熊谷 雄介¹(1. 博報堂DYホールディングス)
6/12(金) 12:30-12:45 F会場(メインホールB) 5F2-GS-10m-03
概要:広告効果や新商品に対する反応、人同士のコミュニケーションを予測する社会シミュレーションは、高度なマーケティング活動を実現します。本研究では、より実態に即した社会シミュレーションの実現を目指し、生活者の意識調査データによって大規模言語モデル(LLM)を学習し、高精度な「仮想個人」の構築に取り組みました。実データを用いたモデル学習と評価実験の結果、学習済みのLLMは、未学習のモデルや商用モデルよりも、個人の意識調査アンケートに対する回答を高精度に予測することを示しました。
タイトル:インフルエンサーの投稿行動とエンゲージメントの相互作用分析
著者:堀川 祐生¹、鳥海 不二夫¹、猪谷 誠一²、岩井 千妃呂²(1. 東京大学、2. 博報堂DYホールディングス)
6/12(金)13:00-13:15 N会場(中会議室301B) 5N2-GS-11h-05
概要:ソーシャルメディア上で多くのフォロワーを持つインフルエンサーは、情報拡散や世論形成に大きな影響を与えています。一方で、フォロワーからの反応がインフルエンサー自身の投稿行動にどのような影響を与えるかは、十分に明らかになっていません。本研究では、X上のインフルエンサーによる投稿を対象に、高いエンゲージメントを得た投稿の前後で投稿内容がどのように変化するかを分析しました。その結果、高エンゲージメント投稿の後には、短期的に類似した内容の投稿が増える傾向があり、特に政治系のインフルエンサーなどで反応が顕著であることが分かりました。本研究は、ソーシャルメディアにおける発信者と受け手の相互作用を定量的に捉える手がかりを示すものです。
博報堂テクノロジーズ
タイトル:予測不確実性に頑健な広告予算配分-Moment-based DROによるアプローチ-
著者:川上 孝介¹,²、中田 和秀² (1. 博報堂テクノロジーズ、2. 東京科学大学)
6/8(月) 13:40-13:55 G会場(メインホールA) 1G3-OS-13a-01
概要:オンライン広告の予算配分では、確率的変動や予測モデルの推定誤差などの不確実性により、配分の最適性が損なわれるという課題があります。本研究では、実績KPIと予測KPIの比率を用いて不確実性を定式化し、分布的ロバスト最適化を適用することで、将来の不確実性に頑健な予算配分手法を提案しました。90案件の実データを用いた検証の結果、提案手法は最悪ケースにおけるKPIを大幅に改善し、分布的ロバスト化によって効率的かつ安定した予算配分が可能であることを確認しました。
タイトル:大規模言語モデルの持つ価値観の定量化
著者:安達 瑠斗¹、星野 智紀²、石塚 湖太²、川上 孝介²、市瀬 龍太郎¹(1. 東京科学大学、2. 博報堂テクノロジーズ)
6/8(月) 15:55-16:10 G会場(メインホールA) 1G4-OS-13b-02
概要:大規模言語モデル(LLM)は高い性能を示す一方で、人間の価値観をどの程度再現しているかは十分に明らかになっていません。本研究では、人々の日常的な意思決定場面を想定した質問データセットを用い、LLMが生成する価値観と日本の実際の人間集団の価値観との整合性を定量的に評価しました。分析の結果、LLMは一部の価値観を捉えているものの、日本人の価値観の分布特性全体を十分には反映できていない可能性が示されました。本研究は、LLMを人間の代理として利用する際の限界と、価値観検証の重要性を示すものです。
タイトル:実業務ドキュメントコーパスを用いたRAG手法の体系的性能比較
著者:田中 孝明¹、大坪 舜²、伊藤 孝太朗²、畠山 卓也¹、吉田 隆史¹、石川 信行¹(1. 博報堂テクノロジーズ、2. 株式会社NTTデータ数理システム)
6/9(火) 13:45-14:00 E会場(メインホールC) 2E4-GS-10l-02
概要:大規模言語モデル(LLM)を用いたRetrieval-Augmented Generation(RAG)システムは、外部知識を活用して質疑応答の精度を向上させる技術です。本研究では、我々が開発しているLLMマルチエージェントシステムNomatica(ノーマティカ)を用いて、実業務で使用される114文書・約2,000万文字のドキュメントコーパスからQA評価データセットを自動生成し、4つのRAG手法(Multi-Vector、木構造ベース検索、GraphRAG、マルチエージェント協調)を比較評価しました。評価の結果、木構造ベース検索が比較的高い性能を示し、QAの難易度やタイプによって適したRAG手法が異なることが明らかになりました。本研究は、タスク特性に応じたRAG手法選択の指針を提供するものです。
博報堂メディカル
博報堂メディカルは、医療用医薬品プロモーション資材の検証支援サービス「AIメディカルチェッカー(特許取得済み)」の研究開発に関連し、2件の口頭発表を行います。
タイトル:生成AI時代の医療プロモーション資材における構造・論理分離アプローチ:監査可能性の確立と検証プロセスの「質と量」の両立
著者:小泉 直子¹、八角 潤一¹、薮 紘明¹、後藤 誠¹、後藤田 達哉²、田中 和哉²,³(1. 博報堂メディカル、2. scheme verge 株式会社、3. 政策研究大学院大学)
6/9(火)10:00-10:15 F会場(メインホールB) 2F1-OS-20-05
概要:本発表では、生成AIにより医療用医薬品プロモーション資材を含む文書作成が高速化・大量化する一方で、医療情報に求められる正確性と監査可能性をどのように担保するかという課題に対し、文書構造の抽出と論理検証を分離した検証支援アーキテクチャを提案します。明文化されたルール検証をAIが支援することで、人間が文脈理解や表現判断などの高度な専門判断に集中できる可能性を示しました。
タイトル:進化的メンテナンス:医療用医薬品文書検査ルールのデータ駆動型自動保守フレームワーク
著者:八角 潤一¹、小泉 直子¹、薮 紘明¹、後藤 誠¹、後藤田 達哉²、田中 和哉²,³(1. 博報堂メディカル、2. scheme verge 株式会社、3. 政策研究大学院大学)
6/9(火)10:15-10:30 F会場(メインホールB) 2F1-OS-20-06
概要:本発表では、上記の検証支援アーキテクチャの実装過程で明らかになった、検査ルールの拡張に伴う保守負荷の増大という課題に対し、過検出や見落としの原因をデータ駆動で診断する自動保守フレームワークを提案します。検査ルールの評価・診断・改善を統合することで、監査可能な文書検証プロセスを継続的に改善する仕組みを検証しました。
グロースデータ
タイトル:観測データのみを用いた因果的寄与分解によるKPI変動要因の特定
著者:松田 亜登夢¹、今井 優作¹(1. グロースデータ)
6/12(金)12:15-12:30 M会場(中会議室302A) 5M2-GS-2c-02
概要:今月の売り上げ低下に、何がどの程度影響したのか?このような問いは、ビジネスの現場で日常的に生じますが、「正確に答える」ことは非常に難しい問題です。現実のKPI変動は、広告・価格・季節性など複数の要因が同時に変化した結果であるため、従来の統計分析では本当に効いた要因と偶然一緒に動いた要因を区別できません。本研究では、要因間の因果関係の構造(因果グラフ)を活用することで、観測データだけから「KPIの変動全体を、各要因の貢献分に正しく分解する」手法を提案。ECサイトを模した実験データを用いた検証により、提案手法が各要因の真の寄与を高い精度で特定できることを示しました。
<第40回人工知能学会全国大会(JSAI2026)概要>
日時:2026年6月8日(月)〜12日(金)
主催:一般社団法人 人工知能学会
会場:Gメッセ群馬(〒370-0044 群馬県高崎市岩押町12番24号)
参加には、参加登録用ウェブサイトからの登録が必要です(有料)
JSAI2026公式サイト:https://conf.ai-gakkai.or.jp/jsai2026/
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